1-3
俺は、魔法で地面を冷却してから、結界を解除した。
きれいな更地が、眼前に広がっている、
豪邸消失の調査に来る人たちは、せいぜい首をひねる事だろう。
えっ?組長の家族には責任が無いって?
お年寄り達から、巻き上げた金で、
贅沢な暮らしをしていたんだから、
組長と同罪さ、
俺は、別に正義の味方じゃない、
官憲が裁けない悪人を、
俺が気に食わないから、私的に裁いてるだけさ。
明朝、出勤すると、
社長が笑顔で、出迎えてくれた。
「おはよう!田中くん、
今朝はグッドニュースがあるわよ、
ナント吉崎さんから連絡があって、
オレオレ詐欺犯が全額送り返して来たって言うのよ、
それも、手紙が添えてあって、
『私たちが調べて周っていたので、不安になったから返す。』って、
書いてあったんだって。
吉崎さんも、全額返ってきたから、
捜査費用は、はずんでくれるって言ってたわ。」
「へ~、そりゃ良かったな、
初仕事が大成功でおわったな。」
「ええ、犯人が捕まえられなかったのは残念だけど、
それは警察の仕事だからね。」
もちろん、犯人が改心するなんてありえない、
俺が、精神魔法でやらせたのだ、
実行犯の連中は今頃、遠洋漁業の船に乗って、
どこかの海外の海で働いているはずだ、
今まで騙した、お年寄りの皆さんに、
全額返済し終わるまで働いているので、
生きて帰ってこれるかは不明だ、
えっ?死んじゃったらどうするって?
その時は、保険金が被害者の会に振り込まれるように、
なっているので無問題だ、
今回の事件の顛末は、こんな感じだ、
また次の機会があったら、新たな事件でお会いしよう。