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7 - 5

次の日になり、一郎は一人で黒姥根くろぼね村の麓の森に魔法で転移した。


「ある程度の警戒も必要だし、ここからは歩いて村まで行くか。」

一郎は飛翔魔法は使わずに徒歩で村へと向かう事にする。


「こうして見ると、別段変わりの無い森だな・・・」

気配感知を展開しながら歩いているが、

反応があるのは普通の小動物たちで、

たまにシカや猪の反応があるくらいで、

宇宙人の地球侵略映画のように、

動物がまったく居ないとか、謎生物が生息している事は無いようだ、

小一時間程歩くと無事に村へと到着して、

何らかの接触があると思っていた一郎とすれば、

肩透かしを食らった感じだ。


村に入ると、村人らしい男が一郎の方をジッと見ていた。

「すいません、僕は田中と言う者ですが、

村長の暮井くれいさんに、お取次ぎ願えませんか?」


「・・・・・」

男は無言のまま一郎の方を見ている。


「あの~」


「今、村長を呼んだ。」

それだけ言うと男は立ち去って行った。


(村人同士でテレパシーみたいなものが使えるのか?)


男の言葉通りに、村の集落から村長が数人の男たちを引き連れて、

こちらへと歩いて来た。

「誰か尋ねて来たと言うから見に来れば、

昨日の者か、わざわざ自分から捕らわれに来たのか。」


「い~や、村長さんから、

星降山ほしふりやまの中に埋まってる物の事を聞こうと思ってね。」


「やはり、知っておったか、

突然消えたから、ただの人間ではないと思っておったが、

アレを手に入れるのが目的なのか?」


「い~や、あんな物は全然いらないぜ、単なる好奇心だな。

目的としては、大善寺だいぜんじ 徳朗とくろうって人物を探しているんだ。」


「船が目的ではないと?

大善寺と言うのは、あのハグレ者の事か・・・

お主は何者なのだ。」


「ある依頼者から、大善寺の行方を知れべてくれと頼まれた探偵さ。」


「探偵だと?

では、この村が目的で来たのでは無いのか。」


「ああ、ここに来たのは偶然さ、

大善寺を探していたら、この村に行きついたんだ、

星降山の件は知的好奇心を満たす為だな。」


「くそっ!あのハグレ者め、余計な者を呼び込みおってからに。

だが理由はどうあれ、船の存在を知られたお主を、

このまま帰す訳にはいかんな。」


「それは、俺を消すって事かな?」


「いや、捕えて記憶を失くして貰うだけだ。」


「こんな、面白そうな事を忘れたく無いんだけど。」


「忘れて貰わんとワシたちが困るんでな、

悪く思わんでくれよ、よし捕えよ!」


一郎は体に見えない力が絡みつくのを感じた。


「どうだ、これがワシたちの力だ、

お主も変わった力を持っておるようだが動けまいて。」


「いや、全然、動けるんだけど。」

一郎はスタスタと歩いて見せる。


「バカなっ!?これ程の人数で押さえつけておるのだぞ、

お主、本当に地球の人間か?」


「正真正銘の地球人さ、ただし『最強の』だけどね。」


「それ程の力があれば、ワシらを力で制圧する事もできたであろう、

何故、そうせんかったのだ?」


「さっきも言ったけど、船?とやらの事が聞きたかっただけだからさ。」


「変わった男だの・・・まあ良いわ、

どのみちワシらの力では、お主を捕える事は叶わんからの、

ワシらの話を聞かせてやろう。

こちらに来るが良い。」

一郎は村長の案内で、村の集会場へと案内された。


集会場には、村長がテレパシーで呼び出したのか、

老若男女合わせて50人程が集まっていた。


「ふむ、皆、集まったようだの、

今日は村の行く末に関わる問題が起きたので、

皆にも集まって貰ったのだ、

こちらの田中と言う者は、ワシらの力を凌駕する力を持っておる、

そして船の話を聞かせて貰いたいとの事なのだ、

船自体には、さほど興味が無いようなので、

ワシらの歴史を語って聞かせようと思う、

皆も立ち会ってくれ。」

村人たちは無言で頷いた。


「今から400年以上前の話だが・・・」



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