7 - 2
「この写真の人物なんだけど・・・」
「なる程・・・大丈夫、分かるみたいだから地図を出してくれるか。」
「ええ、ちょっと待ってね。」
姫花がテーブルの上に日本地図を広げた。
「う~んと、大体この辺りに居るみたいだなぁ・・・」
「山形県の山沿いの方ね、
やっぱり故郷近辺に居るのは間違いなさそうね。」
「そうだな、あとは近くに行かないと分からないから、
いつもの様に、取り敢えず俺が先行して行ってくるよ。」
「分かったわ。」
一郎は、今回は山形県と遠出になるので、
自宅に帰って数日分の着替えなどをリュックに詰め込んだ、
現金は、結構な金額がアイテムボックスに入れてあるので、
銀行から下ろしてくる必要は無いだろう。
電車での移動が好きな一郎は、
余程の急ぎでは無い限り電車を利用する、
超特急や特急、急行など地方ごとに微妙に違っているので楽しみだった。
今回も、山形新幹線を利用して、そこからは在来線を乗り継いで、
やや最寄と言える駅まで行った。
そこからは、一日数本というバスの利用となるので、
バスが来るまで近くの飲食店で食事を摂る事にした。
驚いた事に、目的地の村はかなり閉鎖的なようで、
バスで数時間掛かるとはいえ、村の事を知っている人が皆無だった。
時間になったのでバスに乗って、村に一番近いバス停を目指す、
近いと言ってもネットで検索して一番近かっただけなので、
そこから山道を歩いて2時間も掛かるらしい。
喉が渇いたので、バス停がある村の雑貨屋でジュースを購入がてら、
店の小母ちゃんに村の事を聞いてみた。
「あんた、あの村に行くのかい!?
悪い事は言わないから、止めた方が良いよ。」
「何でですか?」
「あの村の連中は普通じゃ無いんだよ。」
「と言いますと?」
「この前、詐欺事件でニュースに出てた、ナンたらって男が居たろ、
あの人が、数百年振りに、あの村から出て来た村人なんだよ。」
「え?どう言う事ですか?」
「そのままの意味だよ、あの村の人間は学校を卒業すると、
あの村から出て来なくなるのさ。」
「そんなんで生活できるんですかね?」
「出来ているんだろうよ、なにせ私の曾爺さんの頃から、
そうだってんだから。」
「そんな昔からなんですか、そりゃ筋金入りですね。」
「それに変わった人が多いらしいよ。」
「変わったとは?」
「災害が起きるのが前もって分かるとか、無くした物の場所が分かるとかね。」
「ああ、占い師みたいな人ですね、
でも、そんな人、どこの村にも一人ぐらい居るんじゃないですか?」
「一人ならね、でも、あの村の連中は皆なんだ・・・」
「え?」
「村人全員が変な能力を持っているんだよ。」
「そんな事あるんですか、良く今まで話題にならなかったですね。」
「そりゃ、記事にしようと考える記者や、
テレビ局の人とかが村を訪ねた事もあったさ。」
「何で、未だに知られて居ないんですか?」
「記事にしようと思った連中が、皆、変死したからだよ。」
「まさかぁ、村の連中に暗殺でもされたって言うんですか?」
「いや、皆、自然死らしいけど、報道しようとした関係者全部だよ!?
この辺の報道関係者じゃ、あの村には関わらないのが常識さ。」
「そりゃ、凄いですね。」
「だから、あんたも若いんだから、
いたずらに命を縮めるんじゃないよ。」
「いえ、俺は報道関係者って訳じゃ無くて、
地方の民俗学を勉強してるんですけど、
この辺で有名な昔話とか、ありますか?」
「おや、そうなのかい、なら良いけど・・・
昔話かい?そう言えば、あの村には嘘か真か知らないけど、
昔から言われている事があってね、
何でも、あの村の連中は大昔に、流れ星に乗ってやって来たって言うのさ。」
「それは、興味深い話ですね。」




