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まず俺たちは、ジャネットの家族の安全から確保する事にして、
家族が暮らすサンフランシスコへと向かった。
監視してるヤツらに見つかると不味いから、
ジャネットは、この辺に隠れていてくれ。
「分かったわ。」
俺は、社長と一緒に観光客を装って、
ジャネットの実家の周囲を見回って見た。
「居た、居た、車が2台で見張ってるな。」
「どうするの?」
「こうする。」
俺が魔法を使うと、2台の車が突然、消え去った。
「あの車は、どこに行ったの?」
「アマゾンの奥地に、ご招待しといた、
運が良ければ、生きて帰れるんじゃないか。」
「そう、月とかじゃないだけ、親切なのかしら?」
姫花も、少し一郎の影響を受け始めているようだ。
ジャネットを呼んで、姫花にボディガードを務めてもらい、
一郎から連絡が入るまで、どこかのホテルにでも避難して貰う事にした。
「んじゃ、行ってくるわ。」
「一応、気を付けてね。」
「政府関係の施設に、忍び込むのに一応って・・・」
「田中くんには、大統領の寝室でも同じだと思いますよ。」
「それ程なのね・・・」
一郎はステルス魔法を掛けて、空を飛びながら、
目的地であるエリア51を目指して、
エリアに入る前に、一応、光学警報装置対策として、
空間魔法も使って、自分の周りの空間を繋げて、
赤外線などが、自分を素通りするようにした。
「これで、大丈夫かな。」
ジャネットから、建物の位置と形状を聞いてあったので、
目的の建物は、すぐに見つかった。
「そんじゃ、お邪魔しま~す。」
一郎は、探知魔法で人が居ない部屋を探して、
壁を通り抜けた。
「え~と、城ヶ崎博士の気配は・・・
お~、お約束な事に、地下に居るな。」
一郎は、監視カメラや監視員をスルーしながら、
地下にある、博士が監禁されている部屋を目指してゆく。
博士の部屋の前まで着くと、部屋の中に博士以外にも反応があるので、
中の様子を覗き見てみた。
(う~ん、英語で何か話してるな、
俺、英語分からないから、思考を直接読めば分かるかな?)
『どうですか、博士、我々に協力していただけるように、
考えていただけましたか?』
『ふん!私の研究は、たくさんの人々に役立てて貰おうと考えた物だ、
一部の人間のみが独占して良い物ではない!』
『今回、博士が発表された研究は、我々が長い事進めてきた研究に、
酷似しています、やっと実用化の目途が立った物を、
一般に広められては、我々のアドバンテージが不意になるのでね、
どうか、考え直していただけませんか?』
『なんと、言われようと私に協力する気は無い!』
『そう言えば、博士には可愛らしい、お嬢さんが居られましたな。』
『何!光に何かしたら許さんぞ!』
『いえ、博士が協力的になるように、
お嬢さんも、こちらに、ご招待しようかと思いましてね。』
(これで、こいつらがクロって確認できたな。)
一郎は壁を通り抜けて、姿を現した。
「博士、お迎えに上がりました。」
「むっ、誰だね君は、今、どうやって入って来たんだ?」
『お前は何者だ!今、どこから現れた!』
「え~と、俺は政府の秘密情報員で、
ただいま、極秘裏に博士の救出作戦を展開中なのです。」
俺は探偵と言っても信じて貰えないと思ったので、
あらかじめ考えて置いた設定を話した。
『私の質問に答えないつもりか、
良いだろう直接お前の脳に聞けば分かる事だからな!』
(ほう、こいつがジャネットが言っていた、脳を覗くってヤツか、
いいぜ大サービスしてやるよ!)
一郎は自分の記憶を100万倍に増幅して、送り込んでやった。
『ぐぁっ!』ドサッ!
「うわっ!気持ち悪っ!」
男は目、鼻、耳、口から血を噴き出して倒れ込んだ、
膨大な情報量によって、脳がパンクしたようだ。
「彼は、どうしたんだね?」
「分不相応な能力を使って自滅したようです。」
「なるほどな、やはり能力の開発には、加減が必要と言う事か・・・」
「では、博士行きましょう。」
「君は、本当に政府の者かね?」
「何故ですか?」
「それほど、優秀には見えんでね。」
「助ける気が無くなるから、黙ってて下さい。」
一郎は、博士を魔法で眠らせて、担いで脱出する事にした。




