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「あら、それは頼もしいわね。」
当然ながら、ジャネットは本気にしていないようだ。
「それで、ジャネットの事情っていうのを、
聞かせてもらえるか?」
「ええ、
と言っても、ありきたりの話よ、
ある日、謎の組織の人間が接触してきて、
今まで、誰にも話したことが無い、私の本名や、
家族の事を指摘してきて、
協力しなければ、家族に危害を加えるって言われたの、
こんな事が起きないように、細心の注意を払って来たんだけど、
直接、頭の中を覗かれたら、どうしようも無いわね。」
「なるほどな、
確かに、ありきたりだが、
最低な、やり方だぜ!」
「本当ね。」
「ジャネットの事情は、分かったよ、
ご家族は、俺たちが責任を持って守るから、
連中の情報を教えてくれないか?」
「あなたは、ともかく、
こちらの、お嬢さんは一般人にしか見えないんだけど?」
「ああ、見た目は普通だからな、
そうだな・・・・ああ、あれが良いか。」
さすがに、高級ホテルだけあって、
使えるかどうかな分からないが暖炉がある、
俺は、そこに置かれた鉄製の、火かき棒を取ってきて、
ジャネットに手渡した。
「それで、社長を殴ってみな。」
「えっ!でも・・・」
「大丈夫だから、
心配だったら、最初は軽めに、やってみれば良いさ。」
ジャネットが、恐る恐るという感じで、
軽めに叩いてみると、社長に当たる手前で、
見えない壁に、カン!と阻まれた。
「ええ!?」
ビックリした、ジャネットは、今度は少し強めに、
カン!カン!叩いて確かめている。
「その、障壁は、ライフルの弾丸も跳ね返すぜ。」
「彼女も、能力者なの?」
「いや、俺の力を、分け与えている感じかな。
それと、社長、槍を出してくれるか?」
「彼女に見せても良いの?」
「ああ、彼女は信用して大丈夫な人だ、
俺は、向こうの暮らしで、
見た感じで、その辺が分かるようになったからな。」
「田中くんが、そう言うなら出すわね。」
ジャネットは、俺たちの会話を訝しげに聞いていたが、
社長がバックから、とても収まりきれない長さの、
槍を取り出すのを見て、目を剥いた。
「ちょっと、それ、貸してくれるか。」
俺は、ジャネットから、火かき棒を受け取ると、
机に立てかけて、社長に言った。
「社長、やっちゃって。」
俺の掛け声と共に、社長がブン!ブン!ブン!と槍を振り回すと、
火かき棒が、カラカラカランと、バラバラになって、
床に転がった。
「あの槍は、戦車でも切れるぜ。」
切れた、火かき棒の破片を、
ジャネットに手渡しながら言った。
「その槍も、あなたの力なの?」
「ああ、社長に、自分の身を守ってもらうように、
プレゼントしたんだ。」
「あなた、一体、何者なの・・・?」
「そうだな・・・
悪人に取っての天敵ってとこかな。」
俺は、バラバラになった、火かき棒を魔法で、
元に戻しながら言った。
その光景を見て、
「神様の使いって、訳じゃないのね?」と聞いてきたので、
「ああ、そんな大それたもんじゃないぜ、
神様だったら、極悪人にも赦しを与えるんだろうけど、
俺は、ぶっ殺さなきゃいられないからな。」と答えて置いた。
「その、考えには共感できるわね。」
「ああ、俺も、あんたを見て、
こちら側の人間だと思ったんだよ。」
「それで、敵の情報を教えてもらえるかな?」
「ええ、あなた達に賭けて見るわ、
ルーレットじゃ、あなたに負けちゃったけど、
私は、賭け事には強いのよ。」
「そんな、感じだな。」
「敵の本拠地を教えるから、
地図は、あるかしら?」
「ええ、私が持ってます。」
社長がバックから取り出して、机に広げた。
「ここ、ラスベガスから、
北北西方向に行ってネバダ州の、この辺にあるわ。」
「ここって・・・」
「そう、エリア51よ。」




