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ラスベガスに着いた俺たちは、
まずホテルを借りて、
社長には、ここで待機してもらう事にした。
「英語できないのに、大丈夫なの?」
「とりあえず、ジャネットは日本語が分かるから、
捕まえて、ここに連れてくるよ。」
「了解。」
ジャネットはカジノに居るようなので、
スーツに着替えて出かけることにする、
この、スーツは俺の部屋に置いてあったので、
俺が、異世界に行って行方不明になっていた時に、
親が、成人式用に作ったんだろう。
(泣ける話だぜ。)
カジノを探すと、
ジャネットが、ルーレット台に居るのを見つけたので、
俺も正面の席に腰掛けた。
ジャネットは、楽しんでいると言うよりも、
憂さを晴らしているようで、機嫌が悪そうだ、
俺は、ジャネットと逆目にはって、
3回立て続けて的中させた。
(もちろん、魔法を使ってだが・・・)
ジャネットは、こちらの方をキッ!と睨んできた。
「ちょっと、付き合ってもらって良いか?」
日本語で話しかけると、
ジャネットは少し意外そうな顔をしながら、
「ええ。」と返事を返した。
カジノのカウンターバーへと、移動した俺たちは、
カクテルを注文してから、話し始める、
「もう、私には関わらない約束よ!」
「何か、勘違いをしてないか?」
「とぼけないで!
さっきカジノで、力を使ってたじゃない!」
「力って、これの事か?」
俺は、ジャネットが持っている、
ドライマティーニのグラスから、
オリーブの実を浮かび上がらせた。
「やっぱり、やつらの仲間なのね!」
「君が、言っている『やつら』が誰を指すか分からないが、
俺は違うぜ。」
「あいつらの他にも、力を使える者が居るの・・・?」
(どうやら、誘拐グループには、
超能力らしき力を使う者が居るらしい。)
「俺が、何者か説明するから、
仲間の居るホテルに、一緒に来て貰えるか?」
「ええ、どうせ逃げられない事だし、良いわよ。」
俺は、ジャネットを連れて、
社長が待つホテルへと向かった。
「ただいま~。」
「おかえり。」
「あなた達、いったい何者なの?」
俺たちを出迎えた社長は、
どう見ても一般人なので、
ジャネットとしては、正体を掴みかねて、
戸惑っているようだ。
「俺たちは、こういう者さ。」
俺は、探偵事務所の名刺を差し出した。
「日本の探偵事務所・・・?」
「ああ、そうだ、
行方不明になった、城ヶ崎博士を探して、
アメリカに来たって訳さ。」
「でも、どうやって、ここまで・・・
ああ、あなたの力は、
さっきのだけじゃ無いって事ね。」
「ああ、さすがスパイのプロだな、
頭の回転が速いようだ。」
「城ヶ崎博士には、悪いことをしたけど、
私も、やつらに脅されていたから、仕方が無かったのよ。」
「ああ、その辺の事情も含めて話してもらえるか?
はっきり言わせてもらえば、
相手に、どんな能力を持つ者が居るとしても、
俺、以上のやつなんて居ないから。」
「どう言う事?」
社長が訪ねてきたので、
「誘拐グループには、超能力者が居るらしいんだ。」と教えると、
「ああ、超能力ぐらいじゃね・・・」と納得したようだ。
「超能力ぐらいって、あなた達、いったい・・・」
「試した訳じゃ無いけど、
たぶん、俺は地球最強だぜ。」




