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次の日、
俺は、また京子さんの大学の前で待っていた。
・・・と言っても、京子さんを待っていたわけではない、
京子さんは体調を崩して、
今日は大学を休んでいるからだ、
では、誰を待っているかと言うと・・・来た!
「こんにちは、御門 響矢くん。」
「おどろきました。
昨日の、今日で、もう名前まで分かったんですか。」
「こう見えてもプロなんでね。」
「プロ?」
俺は、御門くんに名刺を渡した。
「探偵さんですか。」
「ああ、昨日帰ってから、
俺が描いた、この似顔絵を京子さんに見せたら、
すぐに、君のことは分かったよ、
君は、この大学でも有名人らしいからね。」
京子さんが、うっすらと頬を染めていたのは、
気のせいに違いない・・・チクショウ・・・
「すごいですね!まるで、写真みたいな似顔絵ですね、
それも、探偵のスキルなんですか?」
「これは、俺の特技の一つみたいなもんだな。
それで、今日は、京子さんの後を附けていた理由を、
教えてもらえるのかな?」
「ええ、信じてもらえるかは分かりませんが、
お話しましょう。」
俺たちは、近くの公園に移動して、
缶コーヒーを飲みながら、話を始めた。
「ここの公園は、目立たない場所にあるので、
落ち着いて話をするのに、最適なんですよ。」
確かに、昼下がりの公園は、他に人気がなく、
俺たちの独占状態だ。
「まずは、吉雪さんを附けていた理由を、お話する前に、
ぼくの身の上を説明させてください。
田中さんは、陰陽師という職業をご存じですか?」
「陰陽師っていうと、小説や映画で、式神を使ったり、
悪霊を祓ったりしてる、アレか?」
「そうです。
一般的な認識として、それで間違いはありません。
ぼくの家系である御門家は、
先祖代々(せんぞだいだい)、陰陽師を生業としていまして、
ぼくは、祓うほどの力は無いのですが、霊視ことはできるんですよ。」
「つまり・・・」
「ええ、吉雪さんに、良くないもの・・・
それも、結構な力を持ったモノが憑いています。」
「そういう事だったのか。」
「信じていただけるのですか?
大抵この手の話をすると、冗談と思われるか、
キャラ作りか?と言われるんですが。」
「まあな、職業柄、相手が本当の話をしているかぐらいは、
分かるからな。」
実際には、真偽の魔法を使っているんだが・・・
「そうなんですか、探偵ってスペックが高いんですね。」
「まあ、皆が皆、分かるとは言えんがな。」
とりあえず、御門くんが、京子さんの後を附けていた理由は判明したので、
体調を崩して、大学を休んでいる京子さんが心配だと言う、
御門くんと一緒に、お見舞いに行く事とした。




