4 - 5
「うおりゃ~~~」
「おんどりゃ~~~」
組員たちが、ドスや日本刀を持って、
一郎に切りかかった。
キン!カン!バキッ!
片っ端に、ドスが弾かれたり、
日本刀が折れた。
「拳銃だ!拳銃を使え!」
組員たちは、次々と拳銃や散弾銃を一郎に向けると、発砲した。
パン!パン!ドン!
キン!キン!チュイン!
あえて、弾丸を避けなかった、
一郎が着る神の鎧が、
すべて、弾き飛ばした。
「きゃ~~~!」
あちこちに、飛び跳ねる跳弾に、
姫花が悲鳴をあげる。
組事務所に乗り込んだ時点で、
姫花にはシールドの魔法が施してあるので、
実際には危険が無いのだが、
本人は知らないので、仕方がない。
「ばっ、ばかな!
この銃は防弾チョッキも貫通するんだぞ!
あんな金属板で防げるはずが無い!」
「この鎧を貫ける武器は、
たぶん地球上には存在しないぞ。」
一郎は、淡々(たんたん)と答えた。
「そんじゃ、今度は、こちらから行かせてもらうぞ。」
一郎は無詠唱で、
魔力弾の魔法を発動した。
次々(つぎつぎ)と、見えない弾丸に貫かれて倒れていく、
仲間の姿に、組員たちはパニックになった。
「にっ、逃げろ!」
「ドッ、ドアが開かねぇ!」
「助けてくれぇ~!」
事務所には、結界が施してあるので、
ドアは開かないし、中の音も外には聞こえない。
幾らもしない内に、
組員たちは全員負傷して、床に倒れ伏した。
一郎は、イスに縛られていた姫花を解放して、
声を掛けた。
「お嬢さん、大丈夫ですか?」
「ありがとう、怪我は無いわ。
ところで田中くん、何で、そんなカッコしてるの?」
「なっ!何を言ってるんですか?
たっ、田中とは誰のことですか?」
「そんな、カッコしてるけど、
声は、そのままよ。」
「しっ、しまった~!
そんな所に落とし穴が潜んでいるとは~!」
「いや、普通気付くでしょ。
それに、あいつらを倒したのは、どうやったの?」
一郎は、姫花を誤魔化そうかと、
一瞬考えたが、
今後、一緒に仕事をしていくことを考えると、
姫花には、自分の力のことを、話しておいたほうが良いと、
考え直した。
「うちの事務所に帰ってから、俺の力のことを、社長に教えるから、
とりあえず、警察を呼んで、暴力団同士の抗争ってことで、
この場を収めてくれないかな?」
「あとで、ちゃんと教えてくれるのね。
じゃあ、いいわ、知り合いに連絡して、警官を寄越してもらうわ。」
「了解、じゃあ俺は消えるから。」
目の前で、シュッと消えた一郎に、
目を丸くして、
「いったい、どんな話が聞けるのやら・・・」と、
姫花は呟いた。




