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その頃、K&T探偵事務所では、
帰りが遅い姫花を心配する、一郎の姿があった。
「社長遅いな・・・
直接帰る時には、いつも連絡くれるし、
携帯は繋がらないし・・・」
S会に捕えられた姫花は、米俵会長らに、
イスに縛られた状態で、尋問を受けていた。
「おう、ねえちゃん、
うちのことをコソコソ嗅ぎまわっていたらしいな、
何を調べていたんだ?」
「あなた達に、教える義理はないわ。」
「自分の立場が分かっていないようだな、
その体に聞いてもいいんだぜ・・・」
「探偵は、どんなことがあっても、
お客さんのことは、話さないわよ。」
強気の言葉とは裏腹に、姫花は小さく震えていた。
そこへ、姫花のバッグを調べていた、
若頭の佐門次がやってきた。
「会長、この女は探偵事務所の社長で、
手帳を調べたところ、
どうやら銃を仕入れた時に利用した、
業者の関係で調べていたようです。」
「そっちからか、どうやってウチに目を付けたんだ?」
「分かりません、ヤク(麻薬)のほうも、
足が付かないように、細心の注意を払っていたので、
ウチには辿り着かないはずなんですが・・・」
「まあ、それは、この美人社長さんの口を割らせればいいだろう。
あとは、探偵事務所の他の社員の口も封じた方がほうがいいな、
その辺の調べは付いているのか?」
「はい、この社長の他に、社員が一名でやっているようです。」
「そうか、じゃあ、こいつをエサに呼び出して、始末しとけ。」
「はい、分かりました。」
社長からの連絡を事務所で待つ、
一郎の元に、一本の電話が入った。
「もしもし、K&T探偵事務所です。」
『おたくの社長さんを預かっているんだが、
引き取りに来てくれないか?』
「どちら様ですか?」
『いま、お前たちが調べている事件の相手だよ。』
「なるほど・・・
それで、うちの社長は無事なんだろうな?」
『それは、おたくの協力次第だろうな。』
「社長が無事だって証拠に、声を聞かせてくれないか?」
『いいぜ、おい何か話せ。』
『田中くん?
私よ、ごめんねドジ踏んじゃった。
私のことは、いいから、絶対に来ちゃダメよ!』
一郎は姫花が、その場に居るのを確認したので、
ただちに、神の鎧を装備すると転移魔法を使った。
『どうだ、社長さんの確認は出来ただろう?
じゃあ、大人しく、こっちに来てもらおうか・・・
・・・もしもし?・・・もしもし?』
「呼ばれて!飛び出て!どんがらがっしゃんしゃ~ん!!」
「だっ、誰だテメェは!変なカッコしやがって!」
その場に居た組員たちは、
突然、現れた白銀の鎧男に驚愕していたが、
姫花は別のことに驚いていた。
(えっ!今の声って・・・)
「俺は、正義の味方シルバー仮面だ!!
この世の悪は、叩き潰す!!」
「なにぃ!シルバー仮面だと!
ふざけたカッコしやがって、おめぇら殺っちまえ!」
(何なの、これ・・・)
姫花は、少し前の緊迫した状況から、
一転して脱力していた。




