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姫花は、その足でK市へと向かい、S会の聞き込み調査を行うことにした。
(田中くんばかりに、頼っていられないしね・・・)
数時間後、S会の会長である、米俵 権蔵は、
若頭の佐門次から、ある報告を受けた。
「何、うちの組を探ってる女が居るだと?」
「ええ、うちの息がかかってる店から、何件か連絡がありました。」
「察(警察)か?」
「いえ、探偵と名乗っていたそうです。」
「探偵だと・・・
よし、若いやつらを何人か行かせて、捕まえさせろ。」
「はい、分かりました。」
姫花は、市内を聞き込み周った結果、
確かに最近、S会が絡んだと見られる発砲事件が増えているのを、
聞き出していた。
しかも、拳銃だけではなく、多種の銃火器が使われたらしい。
今までは、使われていなかったことを鑑みると、
最近になって入手したと考えるのが正しいだろう。
(何とか、S会内部の情報に詳しい人に、会えないかしら・・・)
それから、何軒かの店に聞き込んでみると、
その内の、1軒のマスターが、
S会の情報に詳しい人物を紹介できるとの話をしてくれた。
(これは、田中くんより活躍するチャンスかも!)
姫花は、マスターに頼んで、
その人物を紹介してもらうこととした。
「この住所のスナックに、S会の幹部の常連客が居るから、
ママさんに聞けば、かなり詳しい話が聞けると思うよ。」
「はい、分かりました。
さっそく伺ってみますので、ありがとうございました。」
姫花が店を後にして暫くすると、
マスターは受話器を取った。
「もしもし、私ですが・・・
ええ、そちらに向かうよう手配しましたので・・・
いえ、S会さんには、いつもお世話になっていますから、
また、何かの際は、よろしくお願いします。」
(なかなかの美人だったから、話を聞き出した後は、
お楽しみだろうな・・・)
姫花は、教えられたスナックを訪ねるとママに声をかけた。
「すいません。
K&T探偵事務所の香月と申しますが・・・」
「ああ、マスターから聞いているわ、
もうすぐ、お店を開けなくちゃならないから、
奥の部屋に来てくれる?」
「はい、分かりました。」
姫花は、ママの案内で、店の奥にある部屋のドアをくぐったところで、
何者かに口を塞がれた。
何らかの薬品を使われたようで、
薄れゆく意識のなかで、
もう少し警戒するべきだったと、後悔をした。
(田中くん・・・)
意識を失うとき、頼りになる同僚の顔が浮かんで消えた・・・




