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コンテナの中は、警察が調べただけあって、
チリひとつ落ちていない状態だ。
「警察も調べている事だし、ここには何もなさそうね。」
社長が言ったが、俺には気になる物があった。
「長宗我部さん、あのロープって、
品物が固定してあったものですか?」
「長宗我部って呼びにくいだろうから、沙織でいいわよ。
ええ、そうよ、警察が調べても何もなかったから、返してくれたの。」
俺はロープを拾い上げると、過去見の魔法を使った。
確かにオブジェは存在していたが、
運び出している男達の会話からすると、
ただのオブジェじゃ無かったようだ・・・
「でも、麻薬を密輸したのに、
何で真犯人たちは取りに現れなかったのかしら?」
「麻薬が隠れ蓑で、
実際には他の目的があったんじゃないか?」
「なるほど、麻薬に警察の目を向けておいて、
関心を逸らしたってことか・・・
でも、麻薬以上の目的って何だったのかしら?」
俺は、コンテナの周りを調べるフリをして、
物陰に入ると、
想像魔法を使って、目的の物を作りだした。
「これ、ちょっと離れた所に落ちていたんだけど、
何か分かるか?」
「何かのバネみたいね。」
「俺が海外に旅行していた時に見たことがあるんだけど、
これは拳銃の部品だ。」
「えっ!それって・・・」
「そう、つまりオブジェっていうのは、
分解された銃火器だったって事さ。」
「だから、麻薬を取りに現れなかったのね。」
「そう、連中は欲しいものを既に手に入れていたからな。」
「私、その部品を持って、
知り合いの警察関係者に話てみるわ。」
「おう、出来れば最近拳銃がらみの事件が増えた地域が無いか、
聞き出してきてくれ。」
「オッケー!」
俺たちは、沙織さんと別れて、それぞれ捜査にのり出した。
姫花は知り合いが居る、県警本部を訪れると、
例の部品を見せた。
「これを、あの現場で?」
「ええ、コンテナから少し離れた場所に、落ちていたの。」
「しかし、これを見落としていたなんて、
現場に出ていた連中には、
ひとこと言ってやらなきゃならないわね!」
姫花の知り合いは、最上 知恵といって、
父親の仕事の関係で、アメリカで生まれ育ち、
有名大学で犯罪学を学び、
帰国後、警察に勤めて、
若くして警視正まで出世したエリートだ。
「麻薬密輸事件を担当してる班に連絡しておくわ、
あと、最近、拳銃を使った犯罪が急増しているのは、
K市ね、暴力団同士の縄張り争いで、
今までは力が均衡していたのに、
S会って所が、銃火器を使って縄張りを拡大しているわ、
相手は、暴力団よ、調査するなら、十分に注意してね。」
「はい、分かりました。」




