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3 - 3

(くそっ!探偵なんて頼みやがって!

教育委員会がイジメは無かったって言ってるんだから、

それで納得すればいいんだ!

こんな事で、僕の出世しゅっせの道がざされてたまるか!

剣持のヤツめ、これ見よがしに自殺なんてしやがって、

イジメられるなんて、本人に問題があるんだよ!)

山岡はイライラする気持ちを静めようと、

帰宅してからシャワーをびることとした。


洗髪しながら、ふと浴室の鏡を見ると、

自分の後ろに子供が立っているのが見えた。

「ひっ!?」

びっくりして振り返ったが、誰も居ない、

もう一度、鏡を見たが、何も映って無かった。

「ただの気のせいか?」


シャワーを終えて、気持ちを切り替えると、

冷蔵庫から小玉スイカを取り出して、食べることにした。

まな板にスイカをせて、包丁で切ろうとすると、

スイカが良典の顔に変った。

「ひぃぃぃ!」

悲鳴をあげて放り出すと、床の上でスイカがくだけた。


「・・・疲れているから、

変な幻覚げんかくを見るんだ・・・」

床のスイカを掃除して、早々に眠ることにした。


ベットに入ったが、

気持ちがたかぶっているのか、中々(なかなか)寝付けない、

ゴロゴロと寝返りを打っていると、誰かの視線を感じるような気がする、

(ただの気のせいだ・・・)自分に言い聞かせて、

ふと、天井を見ると、

天井からニュッと、良典の顔が付きだして、

ニヤリと笑った。

「ぎゃ~~~っ!!」

山岡は頭からタオルケットをかぶると、

「僕じゃない!僕が悪いんじゃない!」と、

大声でわめらした。


「山岡先生、大丈夫ですか?}

日毎ひごとに顔色が悪く、

目の下のくまくなっていく様子ようすに、

同僚の教師たちが心配して声を掛けた。


「だっ、大丈夫です。

なっ、何の心配もありません。」

挙動不審にキョロキョロと視線を動かすさまは、

とても大丈夫には見えない。


「山岡くん、今日は、もういいから帰りたまえ。」

見かねた教頭が帰宅をうながした。


「はぁ・・・」

教頭に指示されたので、ようやく帰宅する気になったようだ。


駐車場で、車に乗り込もうとすると声を掛けられた、

「山岡先生、だいぶまいられてるようですね。」


「君は、確か・・・」


「ええ、探偵の田中です。」


「今日は忙しいから、

これで、失礼させてもらうよ。」


車に乗り込もうとすると、ふたたび声が掛けられた。

「先生、この手紙に見覚えがありませんか?」


確かに見覚えがある封筒と表書きだ、

「ばっ!バカなっ!

その遺書は、破いて焼却炉で燃やしたはずだ!」


「そうです。

先生が燃やされた他に、もう一部あったんですよ。」

実際じっさいは、魔法で複製したものだが・・・


「そっ!その遺書をよこせ!」


山岡は、遺書を取り上げようと手を伸ばすが、

「止まれ!!」

一郎は精神魔法で、山岡を縛った。


「なっ、何で?」

山岡は突然、動かなくなった体に困惑している。


「良典くんは、確かにイジメを苦に、自らの命を絶ってしまったが、

一番の原因は遺書にも書いてある通り、

自殺の数日前に、イジメの現場に通りかかったにもかかわらず、

見て見ぬ振りをしたアンタに絶望したからだ、

唯一ゆいいつ、良典くんをすくたアンタが、

身可愛みかわいさ見捨てたせいだ・・・」


「ぼっ、僕のせいじゃない!

僕は悪くないんだ!」


「もう、良いよ、アンタの責任は世間に判断してもらうとしよう。」


俺は精神魔法で、

山岡に、良典くんの遺書を持って、

新聞社に行って、洗いざらい話すように指示をした。


数日後、新聞にたんはっした事件は、

週刊誌やテレビなどのマスコミによって、

一大いちだいセンセーショナルを巻き起こした。


イジメの中心人物の親や、事件の封じ込めをはかった教頭は、

体調不良を理由に辞任したようだ。


教頭の話を鵜呑うのみにして、

ろくに調査を行わなかった教育委員会は、

大規模な処分が行われたようだ。


山岡先生は、遺書を処分した件で罪に問われるようだが、

精神を病んで入院しているとのことだ。


そして、イジメっ子たちだが、親の後ろだてが無くなって、

今度はイジメられる方になってるらしいが、

自業自得じごうじとくなので、少しも同情どうじょうできない。


社長のところに、

剣持夫妻から、「真実が明らかになって、

少しは息子の死に正面から向き合えるようになりました。」との、

お礼の連絡があったそうだ、

立ち直るには、まだ長い時間が必要だと思うが、

良典くんが御両親にあやまりたい思いを残していたので、

魔法で、夢の中で話せる機会を作ろうと考えている。


これが、今回の事件の顛末てんまつだ、

また、次の事件まで、

それじゃあ、また・・・

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