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エピローグ どうしてこうなるんだ!!(桜アフター)

桜あふたーです。長いです! ごめんなさい!

 桜です。うん、なんだか思わせぶりな終わり方でしたね。


 さて、五反先輩とお友達になった後に俺と先輩の関係がどうなったのか皆さんは気になりますか?


 そうですよね~普通であれば気になりますよね~


 ふふふ、ですが教えません!


 俺はそんなに皆さんに優しくないのです!


 だから皆さんは想像して下さい。俺がどうなったのかを!


 ああ、そうそう、俺って身持ちが固いからエロゲのヒロインみたいに簡単に落ちたりしないからな?

 だいたいエロゲは簡単に落ちすぎなんだよな。出会ってまだそんなに時間の経過してないヒロインが、なんであんなに簡単に心と体を許すんだ?

 俺はいっつもそれが疑問だったんだよ。


「桜?」


 まぁ、ゲームだし、ご都合展開で進まなきゃうまくストーリーをつくれないのは納得するけどさ。


「おい」


 所詮はゲーム。リアルはそう簡単じゃ……


「桜っ!」


 ぎゅっと桜の背中から抱きつく五反。ぶるんと体を震わせる桜。


「せ、先輩?」

「先輩? じゃないぞ。桜はなにをしていたんだ? まぁ深く追求はしないが、っとほら、これ。つきあって一ヶ月の記念の約束の時計だ」

「ちょ、ちょっと待って! い、今はちょっと!?」

「? ちょっとって何だ? さっき桜と一緒にそこで時計を買ったんだろ? 桜が勝手に先に進んで行っていただけじゃないか」

「いや、えっと、それには理由があった訳で、あと語り中に割り込みはすこぶる困る訳で……」

「語り? 誰に語るんだ?」


 さ、作者! こういうシーンで語らせるのはやめろって言うか、語りが現実世界で買い物中とか、そういう設定はやめてくれ!


【ああ、この小説もご都合主義なので】


「桜?」

「あ、えっと……と、とりあえず今は黙っててもらえますか?」

「黙っててて? 相思相愛になって一ヶ月の記念日なのに、すごい扱い方をされているな僕は」

「だ、だから……それはごめんなさい。でも、まだ誰にもつきあってるって言ってないんだから、ここで誰かに聞かれたらどうするの!? 例えば未來とかお父さんとかお母さんにバレたらどうする「つもりなのかな? 桜さん?」」


 冷や汗が出た。聞き覚えのある声が俺の台詞にかぶってきたからだ。

 ああ、うん、あるあるこういうシーン。ゲームでよくあるよね。

 流石ご都合主義小説だな……作者おいこら!


「……」


 振り向けば奴がいた。そう、未來さんが。

 ああ、なんで未來さんがここに? それもすごい女らしいワンピで可愛いらしい格好なの?

 まぁ今は春休みだし、行動は自由だけどさ。


「桜さん? 先ほどの話を詳しく聞かせてもらおうか?」

「き、気にしたら負けだぞ?」

「負けでいいよ」

「うぐ」


 そして俺の語り継続は失敗した。

 まさかのショッピングモールの休憩所で未來とばったり。

 これってさ、ゲームのBADエンド方面の展開っぽくないか?


「五反さん、桜をちょっと借りますね」

「お、おいこら!」


 ☆★★


 そしてそれから?


「桜、あれってどういう事だったのかな?」


 俺は自分の部屋に戻っています。

 そして、なぜか正座をさせられています。

 部屋には未來。そしてなんでだろう親父とお母さんまでいるんですが。


「ど、どうって、先輩とはお友達になっただけだよ? 先輩が私を助けてくれたから、そのお礼で」


 未來の表情が歪んだ。


「へぇ……お友達関係なの? それで『つきあって一ヶ月記念の時計』なんてものがもらえるんだ? すっごい名称だね? つきあってないのに、つきあってる記念ってあるんだ?」


 俺は慌てて机の上の時計(の入った紙袋)を隠した。


「ねぇ、本当の事を話してくれる? 桜はあの五反って人とつきあってるの?」

「お、お友達だよ? 本当にそれだけ」

「じゃあ、あの人が勝手に桜を彼女だと思い込んでるだけ?」


 なんでこんなにも未來に攻撃をされなきゃいけなんだろう?

 あと、なんで俺って付き合ってるって言い切れないんだろう?

 なんか後ろめたいから? それとも俺って未來との関係も大事にしたいのか?


「……」

「黙ってないで答えてくれないかな?」


 ああ、未來が怖いよ。


「お父さんも不純異性交際は許可できないな」


 お父さんまで口を出すとか……でも、俺を女の子として大事に思ってるって事なのか? にしても不純異性交際とかいつの時代だよ。


「桜、お母さんに相談してくれればよかったのに。あと、これだけは言っておくわね? この街には青少年条例があるの。もし、相手の男性とエッチをしてたら相手の男性は未成年に対するわいせつ行為で捕まっちゃう。そうじゃなくっても性交類似行為はわいせつ行為として禁止されているんだよ? ふふふ、つかまらなきゃいいわね、そのゴータウンって先輩」

「か、お母さん……」


 なんだろう? この黒い母さんは……あとゴータウンって何!? わざとだよね?


「桜? 私は何がいいたいかって言うと、おつきあいしたいならちゃんとお母さんとお父さんと、あと未來さんに紹介しなさいって事なの。そして本気で結婚を前提としておつきあいするのであれば……」


 ぽっと頬が染まる俺以外のメンバー。


「エロ展開もあり! いや、むしろないとおかしい!」


 エロ展開もありとか言っちゃだめでしょ? 俺はエロゲのヒロインじゃないぞ? あと、なんで未來にも相談しにゃきゃいけないんだよ?


「お母様、エロ展開はNGです! だって私が認めないから! あと、桜は元は男だったんです! だからきっとその五反って奴にだまされているんです! 騙されたままエロ展開もありえないです!」

「いやいや、なにもかもおかしいだろ?」

「桜は黙って聞いてなさい!」

「ひっ」


 ああ、未來さんが怖い。あと、俺って弱い。


「桜は男としては経験をつんだかもしれません。しかし、女としてはまったくの素人です。やっぱり騙されてます! あんなイケメンで病院の息子でお金持ちが桜なんかで満足するはずがないです! やられるだけやられて、桜は最後には捨てられるんです!」


 熱弁をふるう未來にちょっとイラっとした。


「待ってくれよ未來! お前は先輩を知らないだろ? 先輩は優しんだぞ? 知らないのに言い切りとか、お前何様な……ん……うっ」


 ああ、睨まないで下さい。怖いです。マジ怖いですよ。


「知らないからこそ客観的な意見を言えるんでしょ! ゲームプレイだってやってるよりも見てる方が状況判断しやすいんだよ! なんで自走砲の癖に突っ込むんだよ! 軽戦車なら偵察しろよ! すぐに判断できる!」

「未來さん、落ち着いて」


 ここでお母さんの再登場。この中でいちばん落ち着いてるけど、でもさっきの言動があるし、何を言うのか怖い。


「桜、お母さんはちゃんと私たちにきちんと紹介をすれば、例えエロゲ展開になってR18指定行為に及んで子供ができても覚悟をするって事なのよ?」

「待って! ぶっちゃけるけど、私と先輩はキスもしてないからね!?」

「えっ? 桜ってプアなの?」

「プアじゃなくってピュアね? ピュア! プアって何?」


 やばい、足がしびれてきた。もう……くっそ、どうしよう。

 このままじゃらちがあかないよな? いっしょ付き合ってるって言っちゃうか?

 確かに俺は五反先輩と付き合ってるし……

 でもそうなるとどういう経緯でとか、どういう告白されたのかとか聞かれるよな?

 となるとやばい……まさかあれを話す訳にはいかない。

 それは今から一ヶ月前の俺の……。


 ☆★☆


 一ヶ月前。

 私は雪混じりの雨の中で先輩と二人でお買い物をした。

 お友達になってから、私は何度か五反先輩と買い物に行った。

 何度があっているうちに五反先輩は思ったよりも普通の人だと理解した。

 あと、実は私と同じヘタレだった。

 女の子に告白をされても付き合わないのは、本音では面倒くさいのとどうつきあって良いのかがわからないから。

 見た目ではあんなに強気だったのに、ライオンの皮を被ったハムスターだった。

 そして、気を抜いた五反先輩はなんて言うか、話していても楽しいし、私も勝手な思い込みで嫌いになってただけなんだって反省すらした。

 いつしか私は五反先輩と買い物……ううん、デートをするのが楽しくなっていた。

 でも、私と五反先輩は友達であって彼氏彼女ではない。

 私も元は男だし、男と付き合った事なんて皆無だし、本当に怖いというか、今のこの五反先輩に対する感覚はもしかすると良き友と出会った感覚であって、恋愛感情ではないのかもしれない。

 そんな色々な感情が脳内をぐるぐると回りだして私はなんだか胸が痛くなっていた。


 そして、買物も終わり五反先輩に自宅の近くまで送ってもらう途中。

 車が勢いよく私たちの横を通過した。

 道路にたまった水がばさーっと撥ねる。

 冷たい泥水が私に一直線。と思ったら、私は少ししかぬれなかった。

 そう、私をかばってくれたのは五反先輩だった。

 傘と体で私を泥水から守ってくれた。


 ……あ、やばい、回想で乙女モードになってる!

 回想で私とか言っちゃってる!

 でもまぁいいか。私は乙女だもんね!(おいおい)


 で、私はそんなどんなゲームのイベントなんだって胸キュンキュンしちゃった。

 それから『君が無事でよかったよ』なんて男らしい台詞まで吐くとか、もう顔が熱くなっちゃって……

 私は自覚した。私はきっと五反先輩に好意を持っているって。だけど……


『先輩、その子は?』


 その後にバッタリ出会ったのは五反先輩の大学の後輩。


『俺の大事な友達だが?』


 いつもの他人行儀な五反先輩に戻り、冷たく彼女に対応する。


『ふーん……そうなんだ? それで先輩、私の告白の返事はいつ頂けますか? ずっと待っているんですよ?』


 私をちらりと見ながら、わざとらしく言われた。

 そして、私が表情が少し崩れた五反先輩を見逃さなかった。

 ちらりと私を見て、もう一度彼女を見る先輩。

 なんだか不安がよぎった。

 そうだ、五反先輩はモテるんだった。

 確かに私に告白をしてくれた、だけど私は返事をしていない。

 そんな私にいつか愛想をつかせて離れてしまうんじゃないのか?

 やばい、私ってなんだかんだと五反先輩が離れるのが嫌になっている。


『だからそれは前にも話したが……』

『いいんです! 言わないでください! 私は待ってますから! 先輩の返事を待ってますから!』


 彼女は真面目な表情でいい切った。

 私は思わず彼女から視線を逸らしてしまう。


『そうか、ではここでハッキリ言っておこう。君を僕の彼女にはしない』

『えっ、どうしてなの? 私じゃダメなの?』


 彼女は口を押さえて驚いていた。私も声こそ出さないが驚いていた。

 私もいつかこんなふうつ言われるんじゃって不安に襲われた。

 やばい、なんてネガティブなんだろう? でも……やっぱり不安だ。

 すると五反先輩が私の頭にぽんっと手をおいた。


『僕には返事を待っている彼女ひとがいるんだ……』

『……』


 見上げると五反先輩と目があった。そしてニコリ……

 な、なんだこのイベント? わ、わたしってもしかしてヒロイン?

 ゲームいえばヒロインポジション?

 あ、あれだよね? その返事を待ってるって私の事だよね!?


 彼女は理解したようで、キリっと私を睨んだ。

 彼女は私よりも年上で、そして私よりも綺麗で可愛くって、五反先輩にお似合いの女性に見える……


『私、そんなには負けない! 待ってるから!』


 一時の私に対する五反先輩のように、まだ諦めないと言い切って彼女は去って行った。


『まったく……前の僕も君にたいしてあんな態度だったのかな?』

『せ、先輩……』


 確かに、私は五反先輩があの当初はうざいって感じた。だから断った。


『別に急がない。僕は待つことに決めたんだ』


 そして今の私の気持ちは違う。そして五反先輩だっていつまでも待つなんて……信じられるはずない!


『わ、私は……』


 くそ、ドキドキして言えない。勇気だせよヘタレ!

 いいじゃないか、これで人生が決まる訳じゃないんだ!


『どうしたんだ? もしかして僕の事が嫌いなのか?』

『そ、そうじゃない! えっと、だから、ま、まずはお試しで!』


 ぐっと五反先輩の手を握ってみた。もう恥ずかしくって顔を見れない。

 おいおい、なんだこのヘタレヒロイン。


『えっと? それって……僕の彼女になってくれるって事かい?』


 ここまできて引けるはずない。


『お、お試しからでお願いします』

『うん、よろしくお願いします』


 恥ずかしい回想は終わり!


 ☆★☆


 まぁ、うん、ようするにこういう事です。


【俺が五反先輩に告白した!】に近いよねこれ?


 やばい、これは言えねぇ……恐ろしくって両親にも未來にも言えねぇ……

 男から女に戻って一年も経ってないのに俺から彼氏をつくったとか言えねぇよ!


『あのぉ? そろそろ登場してもよろしいでしょうか?』


 俺は聞き覚えのある声にはっとして天井を見た。

 すると足が……足が天井を抜けてきてる!?

 これって前に一回あったよね? って言うかさ、あんたもう二度と俺に逢わないって言ってなかった? あれは嘘なの? あ、嘘だよね? だって現に現れてるし……って、天使が嘘ついていいのかよ!


「リリアか」

『はい』

「まだ呼んでないだろ? ちょっと待ってろよ」


 嘘つき天使の登場で母さんがちょっと男らしい口調になってるううう。って、待ってくれ、心が読める天使を相手に隠し事なんてできるはずないだろ!

 茨木桜、最大のピンチです!


 がっつりと体中に汗をかく。やばい程に動揺する。

 もう殺すなら殺してくれと言いたいくらいに顔が熱くなる。

 しかし、この後の展開は俺の予想のはるか斜め上をいっていた。


『桜さん、大丈夫ですよ? 五反正一さんは茨木桜さんの【運命の赤い糸】で結ばれた相手なのですから』


 リリアさん!? いきなりなんですか!?


 俺は硬直した。それでも頑張って顔を上げる。

 目の前にはリリアの笑顔。本気で満面の笑みです。はい、天使ですもんね? うわーん。


「運命の赤い糸? リリア、なんだそれ?」

『あら? 行幸さん、赤い糸とはそのままですよ? ですので桜さん、おめでとございます♪ 貴女はお母さんと違って、きちんと運命を受け入れたみたいですね。そして、こうやっておおやけの場で公表をしたからには結婚までいってくださいね? ああ、違いますね。結婚から墓場まで宜しくお願いします』


 おいおい、恋愛の天使、ここでなんて事を暴露してんだよ!

 いきなりひど過ぎるだろ……マジで泣きたい。


「待ってくれ! あ、あれだぞ? 俺はまだお試し期間であって、五反先輩と結婚するまで考えてないし、まだそういう関係じゃないし! しょ、しょ……だし!」

「ちょっと待って? それってどういう意味なの? 桜? まさか五反先輩とつきあってる? あはは……ないよね?」


 未來さん、怖い!


「いや、えっと?」

『はい! すでに恋人関係になって頂いております』


 リリアの余計な一言で未來の顔がすごい事になった。


「み、未來、話あおう。暴力はよくない! そうだ、うん、よくないぞ?」


 しかし未來は暴力なんて振るってこなかった。逆に涙目になって。


「ま、待ってよ……桜はこれから私と百合展開に発展して……い、いちゃいちゃするはずだったのに!」

「未來さん? 待って、百合展開ってなに!?」

「あらあら、百合展開なの?」

「母さんまで何!?」

「百合よりもBLの方が売れる」

「親父! ゲームじゃねーよ! 冷静な判断するなよ!」


 こうしてバタバタの暴露劇は終わり、夕方になった俺の部屋はオレンジ色に染まっていた。

 俺の心は吹雪で真冬になってるけどね。


 横を見ればベッドに座った未來。

 そう、今の部屋の中には未來と俺の二人。


「ねぇ、桜さ、本当は記憶をぜんぶ思い出してたんでしょ?」


 ベッドに体育座りをして未來は俺を優しく見つめていた。

 ドキッとしたけど、未來の優しい表情を見てすぐにそれも収まった。

 でも逆に別の意味でドキドキする。


「う、うん……」

「そっか……だよね」


 未來は四つん這いで俺に近づく。そしてそっと俺の左手に右手を重ねてきた。


「み、未來……」

「あのね、ここではっきりしておくけど……」

「な、なにかな?」

「例え桜が男の子じゃなくって、私は桜が好きだよ?」


 潤んだ瞳で俺を見て微笑む未來。ああ、こいつもヒロインだなって感じた。

 いや、それよりも俺、告白されたのか? エピローグで!


「み、未來さん? 私は五反先輩と……【シャラップ!】」

「ひっ?」

「茨城桜! 黙ってきけ!」

「は、はい」

「あのね、私ね、正直に言うと百合展開ってないって思ってたんだよね。でもね?」


 そのまま立ち上がった未來は俺にそっと抱きついてきた。


「ちょ、ちょっと」胸が当たってるんだけど

 っ! って俺、女だったっ!


「私は桜が好きなの……本当に大好きなの……だから五反なんかにとられたくない!」

「だ、だけど……私は女だし……」


 俺から告白したとか絶対に言えない。


「そんなの関係ない! はい、おぱp」

「待って! 古い! 古いからそれ!」

「だから好き! 本気で好き!」

「だからがつながってないからっ!」

「もうっ! 好きなんだよ! アホ! 馬鹿……」

「未來さん!?」


「さくらぁ? 私の大好きな……さ・く・ら」


 そのまま首筋にふっと息をかけられた。背中がぞくぞくっとしてしまう。


「あのね、私から桜に提案があるの」

「えっ? 提案ってなに?」

「願い、バイセクシャルになって! 願いします!」

「ヘっ? な、なにをおっしゃってるんですか!」


 マジでなにを言い出すんだこの子!


「簡単に言えば両刀使いだよ! 男も女もOKってやつ! かっこいーじゃん! 軽戦車も巡洋艦も宇宙船もOKみたいなヤツダヨ」


 なんか違うだろそれ!


「いやいや、まったく格好よくないから! 例もよくわかんないから!」

「お願い! 私を桜の彼女にして! 何でもしてあげるから!」


 な、なんでも!? あんなR18やこんなR18も?(おい


「私も貴女の彼女になりたいの」


 って、なんでここで別人の声が聞こえるの? ってこの声は……嘘ですよね?


「ゆ、百合香!?」

「鈴木さん!? なんでここに!?」


 なんでマジで部屋に百合香が入ってくるの?


「私は男の子のフリまでして桜に好意を寄せてたんじゃけぇ! ここで負けるとかないけぇ! 五反先輩にも貴女にもまけん! うちが本当の彼女じゃけぇ!」


 どうしてここに百合香がいるんだ? 百合香は記憶を喪失してたんじゃないのか? まさかエピローグで俺を思い出したのか? おいおい。


「なんでここにいるのよ! あんた桜を忘れたんじゃないの?」

「忘れた。確かに忘れてたわ! でも思い出したの! 私の恋人は桜だったって思い出したの!」


 どういう原因で百合香まで思い出したのかわからないけど、これってある意味修羅場じゃないのか?


「桜は女になったんだよ? もう彼氏彼女には戻れないんだから諦めなよ! あと、出てくるの遅いんだよ! もう終わりなのに出るなよ!」


 ああ、未來の口が悪い。あとメタ話しすぎてつらい。

 しかしヘタレは傍観しているのでせいいっぱいです。


「遅い早いの問題じゃないじゃろうが! それに私だって桜っていう人間が好きなの! 貴女だってそうなんじゃろ?」

「ユリカ空気嫁よ!」

「なんなん! あんたなんなん!? 自分から告白もできなくって私に一度は恋人関係を取られた幼馴染のくせに!」


 百合香もひどい言い方になってる。でも当たってる。


「え、えっと、だから俺には五反先輩という「黙れ!」「だまっちょって!」」


 うぐぐ……マジなんだこれ?


【君が~瞳を閉じたときに~】


 ここでいきなりエロゲのテーマソングが鳴る。

 そう、俺の携帯の着信音だ。机の上でぶるぶるしてる。


「あ、五反からじゃ!」


 百合香が即座に俺の携帯を取った。そして……


「差kるあは!」


 しまった、俺としたことがかみまくccた。


 語りでもかんだっ!


「もしもし!? あなたに桜はあげんけぇ!」

「ちょ、ちょっと待て! って!?」


 がっちりと俺の体がホールドだと? いや、飴じゃないよ?

 見れば未來さんが俺の体を固めてますが!


「百合香! 五反から桜を守れ!」

「了解! 五反先輩! 桜はあなたの毒牙にかけさせないけぇね!」

「百合香!? ちょっとやめろって、おい」

「やだっ! 私は桜が好きだから諦めない!」

「だから、俺は女なんだって! マジで考えろ! 百合展開とかありえないだろ? お前らもふつうに結婚して子供うみたくないのか?」


 あれ? なんで睨まれる?


「少し前まで男だった桜に言われたくない!」

「うちもじゃけぇ!」


 ご、ごもっとも。

 でもさ? あなたたちってさっきまで喧嘩してたよね? 実は仲良し?


「と、とりあえず先輩は関係ないだろ?」

「五反! よく聞けっ! 私は桜が大好きっ! 大好きじゃけぇ……」


 ばっと俺に突進する百合香。


「!?」

「……ぶち好き」


【チュ……】


 そして百合香に唇を奪われた!?


「な、なにしてんのよ! 私だって桜が大好きなんだよ?」

「きゃっ」


 百合香が弾き飛ばされた!?


「ずっと前から好きだったんだよ? うん……好き……」

「!?!?」


【チュ……れちゅ】


 未來にも奪われた!? っていうか舌いれただろ!


「ひ、平沢未來!」

「鈴木百合香! 今の敵は私じゃなでしょ!」


 はっとして携帯を再び手に取る百合香。マジあんたら打ち合わせてきたんじゃないのか?


「五反! 桜の唇は私、鈴木百合香と平沢未來が頂いたけぇね!」


 はっきりは聞こえないけど五反先輩の声が少し響いている。

 ああ、なんて言ってるんだろ? 文句かな?


「そんなこんなでバイバイきーん!」


 ああ、また古い。


「鈴木さん、ぐっじょぶ!」


 って、待て!


「あぁぁぁぁぁ! 切っちゃだめだっ!」


【プチ】


 はい、切れました。躊躇なくね。


 夕日の差し込む部屋の中で、女の子が、それもJKが三人でこんなに入り乱れるとか、どんな百合ゲーなんだよ……


 こうして、なぜかGOODエンドを迎えたつもりだった俺だったが、まったく予想していないBADエンド? へと突入するのだった。

 この騒動に決着がつくのはいつになるのやら……


 マジ……ほんっと……


「どうしてこうなるんだ!!」


 終わり










 そして天界。


『ふふふ、うまくゆきました♪ 五反さんの携帯電話にあった桜さんの写真を残しておいて正解でした♪』


『まったく、リリア姉ぇは行幸の件をまだ引きずってるのか?』


『ち、違います! 別に行幸さんの恋愛がうまく成就できなかったから、娘さんでなんて思っていません! ただ、私は今度こそきちんとした恋愛を成就させたかっただけですっ! ほんとに!』


『だからって、こんな小細工しなくってもよかっただろ?』


『小細工ではありません! 運命です! あの二人は運命の赤い糸で結ばれていたんです!』


『あーはいはい。でもな?』


『どうかしましたか?』


『桜はあの行幸の娘なんだぞ? そんなにうまくゆくはずないだろ?』


『ま、まさか!? こ、これは!? 嘘ですよね? なんで?』


『あはは、ほんっとマジであつと一緒は飽きないよな?』


 見せて貰おうか。行幸の娘の人生とやらを!


【完】

どうしてこうなるんだ!! はこれにて完結です。

この後は、本編とは関係のない行幸あふたーで終わりです。

ぶっちゃけ期待しないで待っててね?

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