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018 俺の夏休みは終わりました

 カレンダーをめくる。

 明日から9月。

 私の有意義でなかった夏休みは終わり、二学期が始まる。


 ふと考える。金髪ツインテール。

 母さんとの不思議な会話。

 でも、あの金髪ツインテールの女の子はあれ以来は家へこなかった。


 いった何のためにあの子はうちに来たのか?

 母さんとどういう関係なのか? そんな事は追及していない。


 だけど、あの時に聞いた魔法やら記憶操作やらの話。私は次の日から不安でいっぱいになった。

 だけどそれもいつの間に落ち着き、私は通常の生活に戻っていた。

 普通の女の子としての生活に。


 だけど、実は私の生活は実は色々とおかしかった。

 まず買い物に行った時に、無意識のまま男子トイレに入ってしまった。

 でも、男子トイレなのに何も恥ずかしさがなかった。

 もしかして私は痴女かと思ったけど、だけどそんなはずない。

 そりゃちょっとエッチな女の子だけどね。


 そして、家でもおかしかった事があった。

 気が付けば無意識にお父さんの前でトップレスを披露していた。

 ぷるんと震える私の胸を見たお父さんの動揺ったらすごかった。

 真っ赤な顔で、それでも私の成長した胸を見ずにはいられない。

 いやいや、あの反応は逆面白かった。

 そういや私っていつまでお父さんとお風呂に入っていたんだろう?

 まったく記憶がない。


 だけどダメだね。パンツだけでリビングに出るとか、年頃の女の子としてどうなんだろうね?


 でもね? ここでもまったく恥ずかしくはなかったんだ。

 これって親子だからだよね?

 それともやっぱり私って痴女なの?

 兄弟がいないのに私がえっちなゲームが好きなのは痴女だから?

 こんな趣味、彼氏に言えないよね。

 BLよりひどい。エロゲ好きな女子とか。

 まぁ私は恋人なんていないけど。


 その時だった。

 ピンっと一瞬だけど脳裏に女性の顔が思い浮かんだ。


 ??? だれだろう? 今の……


 ちなみに、今日は意識して下着をつけてお風呂を出たよ。

 そして、緊張の赴きのお父さんを横目に自分の部屋に戻ってきてる。


「よし、明日から学校だし寝ようっと」


 私はそのままベッドへ横になって布団にもぐった。

 すると、いつもの匂いがする。その匂いは私のベッドなのに私じゃない匂いだ。

 でもどうしてだろう? 本当に私の匂いじゃない匂いベッドからするのって。

 それはちょっと男っぽい匂い。

 だけど、誰かがこのベッドを使った事もないし、不思議。そしてなぜか懐かしい匂いだった。


 ……私って何か重要な事を忘れてるような気がする……

 この匂いを嗅ぐと不意にそう思う時が今までもあった。


 だけど私の周囲は普段通りで何の変化もない。

 私は私として扱われるし、そして日々は普通に過ぎてきた。


 だけど、何でかしっくりこなかった。

 普通の日々なのに何かがおかしく感じた。


 ★☆★


 二学期も無事に始まり、最初の日曜日。

 私は壊れた時計に何が秘密があるんじゃないかって色々といじってみた。

 だけど、結局は何もわからなかった。

 解ったのは私に機械いじりのセンスがないって事だけ。

 時計はまったく直る気配を見せない。


「私の機械音痴は天下一品だね!」


 とは言いつつもパソコンは組める。不思議だなぁ……なんで女の子なのにこんな趣味持ってるのかな?

 でも、やっぱり私はパソコンが好きだった。


 そしてその日の夜。

 私は押入れの奥にあった小学校の時の卒業アルバムを見つけた。


「わぁ……懐かしいなぁ」

「この頃の私ってどんな子だったんだろ? もうわすちゃってるよ」


 期待に胸を膨らませて小学校の卒業アルバムを見ると……


「あ、あれ?」


 なぜか私の写真だけがなかった。

 ううん、私に関わる項目がなかった。写真もだけど卒業文集もない。

 おかしい、書いた記憶はあるのに……


「なんで? なんでなの?」


 学校名を確認するけどやっぱり通っていた学校だ。


「お、お母さん!」


 私は慌ててリビングへ駆け下りた。

 そして、キッチンにいた母さんにその事を質問してみたけど、なんだかうまくはぐらかされた。


「あなたは体が弱くて休みがちだった? そんな記憶ないよ? だって夏休みとかいっぱい遊んだもん」


 だけど、結局は母さんには追及する事ができなかった。


 ベッドに戻った私。いつもの匂いを嗅ぎながら心拍があがる。

 もしかして、本当に私には秘密があるのかもしれない。なんて思う。

 あの金髪ツインテールの女の子の会話の件もあるし、本当に私には秘密があるかもしれない。


「記憶操作……」


 やっぱり私は記憶をいじられてる?

 だけど、その割には周囲が普通すぎる。

 幼馴染の未來だって私を普通に扱うし、学校の人もふつうに私を扱う。


 だけど違和感はぬぐえなかったのも事実だ。

 もしも、私に秘密があるのなら知りたい。


 そう思いつつ、本当は本当の事を知るのが怖い気もしていた。


 月曜日の朝。

 私はまた壊れた時計を弄っていた。

 どうしてもこの時計が気になって仕方ないから。


「この壊れた時計に秘密があるのかな?」


 時計は11時43分で止まっている。たぶん、私がこれを壊した時間だ。

 でも、私には時計を壊した記憶はない。

 それ所か、この時計を壊した日の記憶が思い出せない。

 そう、なぜだか記憶を失っていた。

 この日に私に何があったんだろう? 何か重大事件でもあったのかな?


「桜ぁ! 時間よぉ!」


 母さんの声がドア越しに聞こえた。

 どうやらリビングから呼んでるみたいだ。


「はぁい! いまいくー」


 私は大きな声で返事をした。

 そして制服に着替えると壊れた時計が目に入る。

 どうも気になる。今日は特に……


【今日はこれ持っていこうかな】


 結局、私は壊れた時計を鞄に入れてしまい、家を後にした。


 そして……この時計が私の運命の歯車を妙な方向へと動かし出す事を今はまだ知らなかった。

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