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⑨
一時間ほど経つと、男は部屋から戻ってきた。
「入れ」
安藤は目覚めた部屋に行く。部屋に入ると、目覚めたボロボロのベッドに寝るように指示が出た。
安藤がベッドに横になると、男息をゆっくりと吐いてから、自己紹介を始めた。
「自己紹介がまだだったな。改造屋の和田改だ。改造する相手には全員にやってるんだ」
和田は手を出して、握手を求める。
「あんど……ノンチョーカです」
ノンチョーカという名前で自己紹介するのは、安藤にはまだ慣れていなかった。
二人は握手をすると、安藤はチューブのついたマスクをさせられた。チューブは大きなボンベに繋がっている。そこから何かを吸引させる仕組みらしい。
安藤は昨日目覚めたベッドに横になる。安藤の意識は起きたばかりだというのに、すぐに薄くなる。薄れていく意識の中で和田が言った。
「償いや責任のために生きようとするな、東という少女を守れなかった過去の自分を乗り越えるために自分は生まれ変わる。そう思うんだ」
そんな言葉を聞きながら、安藤は再び眠ってしまった。