7話:強さとは
私が旅に出てから五十一年。時空間暦で言う百三年。私は、管理局に戻ってきた。
「お帰りなさい。隊長」
白城が迎えてくれた。大分態度も軟化している。
「ただいま。白城」
「どうでした?旅は」
「う~ん、まずまずかしら。白城は大分強くなったみたいね。もう、深紅より強いと思うわよ」
それに関しては、おそらく事実だろう。
「そうですか……。やはりまだ、植野二門には届いていないんですね」
「……う~ん。強いって言葉だけど。あなたは、何を基準にしている?」
「えっと、戦って勝てるかどうかでは?」
「じゃあ、例えば、ハルカがボロボロの状態で戦ってあなたが勝ったら、それはあなたのほうが強い?」
「いえ、それは対等な状況ではありませんから」
ふむ、やはり。
「じゃあ、もし、対等な状態で戦って、偶然、災害が起こって、ハルカが死んだら?」
「それは、自分がとどめをさしたものではありません」
「それでも勝ちは勝ちよね。どちらが強いか。勝ったほうが強いなら、あなたが強いかしら」
「つまり、隊長。貴女は、場合によって勝てることもある。勝負は、ようは運であるってことを言いたいのですか?」
「そういうこと」
まあ、最も、私のように、規格外の運ですら届かない相手が居ることがあるかもしれないけれどね。
「では、聞き返しますけど、例えば、象と蟻が戦った場合、運でも勝てないと思うのですが、それは」
あらら、思ってたことを聞かれちゃったよ。
「確かに、そういうこともあるわ。そうね。子供と貴女が戦った場合、どちらが強いかしら」
「それは、無論、自分です」
「そうかもね。でも、その子が、強力な、世界ひとつ滅ぼせるような爆弾を持って居たらどうかしら。攻撃する前に、道連れドカン」
私は、手でジェスチャーを交えながら説明する。
「象と蟻も同じ。蟻の中には毒をもつ蟻も居るの。象が潰した蟻が飛び散らした毒を像が喰らえば、象も御陀仏」
「ですが、それは、相討ちでは?」
「そうね……」
そう、相討ちだ。それは、意味のないこと。だけど、私の場合は……。