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三神物語  作者: 桃姫
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5話:妖精の力

 白城の入隊から二十三年の月日が過ぎた。時が経つのは早い。白城は、二十三年の間に、鍛え、未来より少し劣る程度の実力を身につけていた。私たちの見た目は、相変わらずそのままである。


 時空間暦で言う三十八年。私は、ある任務により、《時空間統括管理局》から遠く離れた、ある世界にやってきていた。

「これは、驚いたわね……」

美人の世界というべきか。まさに美しい女優先の女尊男卑の世界。


「もう追いかけてこないで!!」

 そんな怒声が聞こえ、私は振り返る。そして、ぶつかった。黒服の女性から逃げるように走っていたドレスの女性。事情は分からないが、ドレスの女性は、黒服の女性から逃げている途中なのだろう。

「す、すみません」

「いえ、大丈夫よ」

私にぶつかったため、ドレスの女性は、黒服の女性に追いつかれてしまった。

「お嬢様!御自覚ください!貴女はファラーレル家の次期当主なのですよ!」

黒服の言葉に、女性は、怒りで答える。

「あたしは、こんな家なんて継ぎたくないの!自由に生きたいのよ」

自由に生きたい?どうやらお嬢様のようだ。英才教育で、箱入り娘として育てられたのが反抗期になって、外にでたい欲求が爆発したのだろう。私も経験した覚えのあることだ。

「ちょいと、黒服さん。私に任せてくれませんか?」

私は、説得を試みるため、黒服さんに提案。

「どこのどなたか知りませんが、貴方には関係ないでしょう!」

こりゃダメだ。こんな堅物に囲まれてたら、こうなっても仕方ない。

「同情するよ。こんな堅物に囲まれてたら自由なんてないよね……」

「そうなのよ」

やれやれとわざとらしく肩を竦める。すると黒服は、いらついたような顔をして、舌打ち混じりに文句を垂れる。

「あなた、こちら側ではなかったのですか?まあ、いいです。力ずくでも連れ帰ります!」

「あんた、私の話聞かなかったじゃない」

文句に正論(?)で返す。

「アレイフ!」

黒服が声を上げる。瞬間、黒服の手の辺りに緑色の光の塊が生まれる。それが鞭のように広がる。そして、私を捉えるように延びる。

「チッ。問答無用って感じ?」

足に力を込め、上に飛び上がる。そして、黒服の頭上を越え、後ろに着地した。

「なっ!妖精の力(フェアリーライフ)を使わずに?!」

私は、後ろから黒服の首に刃を当てる。

「貴女、一体何者ですか……?」

「ひ・み・つ♪」


 フェアリーライフというのがこの世界で、主に使われている魔法の名称らしい。フェアリーは妖精。ライフは命ではなく人生、生き方という意味のほうだ。この世界の中心には、魔力の塊があり、そこから、力を集め、放つのがフェアリーライフの仕組みというものだ。この世界以外でも使うことができるが、他の場所からの魔力の供給が必要不可欠という欠点がある。しかし、やりようによっては、疲れることなく、永久に魔法が発動できる興味深い魔法である。黒服が言った「アレイフ」というのは、「草の妖精よ」という意味のこの世界での古代言語らしい。


 ルシファ・ファラーレルというのが、ドレスの女性の名前だ。

「ルシファ・サーリス・アミテシア・ウィル・キリア・ファラーレルです」

と名乗られたのだが、流石に長すぎる。何でも、公用名が今ので、一般名称がルシファ・ファラーレルというそうだ。

「貴女、お名前は」

「私は、篠宮無双」

「シノミヤムソウ?聞いたことありませんね?」

黒服が疑問そうな声を上げる。当たり前だ。こんなあだ名、他に付けられた奴いないだろう。

「ルシファ。アンタ、自由に生きたいって言ってたわよね?」

「は、はい」

「だったら、一つだけ。あんたが自由に生きたいなら、自由に生きれるように、家を、人を、仕来りを、世界を変えないさい」

それだけ言うと私はその場を去った。


 さて、一騒動あったが、私は任務続行のため、この世界の中心都市にある、国の王に会うことにした。

「お待ちください。謁見許可を取っていただかないと御通しできません」

入り口で、警備員の女性に止められる。そして二十人くらいの騎士に囲まれた。

「怪しい者は、力ずくで追い出させてもらう」

女騎士たちは、私に切っ先を突きつける。しかし、私は、足に力を込め、思いっきり地面を踏みつける。

――ズゥン!

地面にクレーターが出来上がる。私を中心に、半径三メートル弱。騎士たちは、皆衝撃波で、後ろに倒れていた。ただでさえ重い鎧だ。後ろに倒された上に、衝撃波で腰が引けているので、当分立ち上がってくることはないだろう。


「な、何者?騎士はどうしたの?!」

女王の間に入ると、女王と思わしき女性がうろたえた声で問いかけてきた。

「騎士なら外でのびてるんじゃない?」

「お前、何者だッ!」

「私は、《時空間統括管理局飛天王国理事六華直属烈火隊》一門、篠宮無双。この度は、この世界を管理局の管理下に置きたいと思い提案に来ました」


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