空襲
1942年の4月18日、
史実でも有名な事件は、
幕を開ける、
今日は朝からここ大湊基地は騒がしかった、
「ん~?」
間抜けな声を立てて矢川は起床、
扉の向こうの飛び交う罵声に起こされたようだ
「何だ?...」
扉を開け、頭を廊下に出す、
すると、
廊下の先にある階段は水兵や整備員が駆け上がったり駆け下りたりしていた
全員何かにあせっている
「お、師走爺さん!、何があったんですか?」
廊下を走る師走爺さんを呼び止め事情を聞く
「何ってオメェ、丘蒸気のボイラーが狂ったんだぞ」
この一言に矢川は完全に我に返る
そもそも、
なぜ、丘蒸気で騒ぐのか、
ここ大湊基地は最近になってこそ整備が進んでいるが、
一昔前は駆逐艦三隻だけが配備されていたのだ
その為、施設やドックが整っていても、輸送手段が未だ改善されていないのだ、
大湊基地に配備されている車両は驚くことに『BR98 308 グラスカステン』と台車が数両、
トラックはドイツの『RSOトラクター』五台のみである、
基地防衛には『NbFz』と『海軍短十二サンチ自走砲』の二両、
サイドカー五台、サイドカーというと聞こえがいいが、実際は、貨物運搬用の側車付き自転車の改造物である、
今週末には電線が張り終わるので、『銚子電気鉄道デキ3型電気機関車』が五両ほど届く予定だ、
そしてそれは置いといて、今の今まで実際、このグラスカステンとRSOトラクターだけで基地内も物資が流れていたわけであり、
今回の様に故障が起きればたちまち基地の物流が混乱し始めるのだ、
現在は造船用のガントリークレーンに150㌧起重機、更に、基地では貴重な国鉄ソ30型貨車も投入し何とか物流を進めている、
その為に、貨物船は湾で渋滞状態、ドックのギリギリまで接岸し、積荷を降ろしていた、
「どうだ!!大丈夫か!!」
格納庫に急いで駆け込む
「駄目です!ボイラーが言うことを聞きません!」
先ほどからまきや石炭をくべ続けたのか、
格納庫の天井は黒煙に支配されており、外に出てみると屋根からその黒煙が噴出して、まるで火災現場の様な緊張感に包まれていた、
「仕方ない、防衛用の戦車たちも牽引車として使う、この倉庫にある八九式もシキツウも全てだ、水上機と飛行艇たちは貨物船のパトロールに向かわせろ、こんな渋滞の中を狙われたらひとたまりも無い、訓練にもなるしな」
一通り指示が終わると一人の水兵が駆けつけてくる
「矢川司令官!東京の共同技術本部より電話が繋がっています!」
共同技術本部=共技本、
海軍と陸軍の仲を良くする為に矢川が提案した一種の技術研究所であり、
現在の所内は海軍や陸軍の枠を通り越して技術者の夢の国と化している、
中には、八木・宇田アンテナでお馴染みの八木秀次と宇田新太郎に元良式船舶動揺制止装置を開発した元良信太郎博士もここの研究所に要る
「分かった、」
そう言って、もう一度グラスカステンに振り返ると、
彼女は苦しそうにボイラーを頼みの母の様ににして座り込んでいた、
勿論、普通の人では見れない光景である
「もしもし、電話替わったぞ」
基地内にある唯一の黒電話を受け取りイスに腰掛ける
→『もしもし?東條だが、図々しいと思うが、新しい小銃の設計図を頼んでもいいか?』
どうやら共技本の銃器科では矢川派が勝ったようだ
「ん~、じゃ、今度どうせ東京に行きますので、89式5.56㎜小銃の設計図と実物を持っていきますわ、他に用事はありなすかね?」
電話の横にあった紙に走り書きでメモしていく
→『もしもし??、平賀譲です、頼まれていた件は呉の造船所が手一杯だそうでして、例のブツは其方に明日届くと思うので、艦体は一週間後ぐらいには届きます、申し訳御座いませんでした』
流石は造船の神さま、
良く分からんが矢川とは意気投合している、
「いえいえ、空母の急造も仕事の一つですから、此方こそ無理なお願いを聞いて頂くとは、有難う御座います、後は此方が引き受けますので、はい、ご安心ください、では、失礼します」
ガチャンと電話を切ると松田がそこにはいた
「新造艦か?、どんな艦が出来るんだい?」
隣のイスにゆっくりと腰を掛け、矢川に問い詰める、
「...少なく見積もっても、今年末に就役すればな~」
今の基地の状況を見てため息をつく
「誤魔化すな、」
そう言って、松田はコーヒーを矢川に差し出す
「んまぁ、特殊な艦だよ、さ!、機材は明日届くんだ、それより俺は明日のための仕事をしてくる」
手中のコップのコーヒーを一気に飲み干す
「頑張ってください、無茶だけは厳禁ですよ」
そう言うと、矢川に一枚の紙を差し出す
「ん?これは?」
そう言って、渡された紙の表側を見ると、
一枚の写真と、文字がびっしりと書かれていた
「遠龍の艦長だ、俺が抜擢した、操艦の名人だ」
そう言って通路の奥に手を振りながら消えていった
「志水清志郎か、中々面白そうな奴だな」
にんまりと笑みを浮かべて矢川も待合室に足を急がせた
「キルジャップ!!キルジャップ!!キルジャップ!!東洋のサルどもを徹底的に叩きのめせ!!!」
艦橋で演説するのはブル・ハルゼーで名高い『ウィリアム・フレデリック・ハルゼー・ジュニア』中将だ
「ドーリットル君!!思う存分に暴れてきたまえ!!」
ガハハと笑いながらドーリットルの肩を叩く
「グフ...、アイアイッサー!!分かっております!」
流石の『ジェームズ・ハロルド・ドーリットル』中佐もよろけた
「ハリアップ!!ハリアップ!!!、ゴゥ!ゴゥ!ゴゥ!!」
異様に高いテンションで艦内の飛行要員に発破を掛けるハルゼー
「もう直ぐ出撃だ!!全員気を緩めないように頑張ってくれ、以上!解散!!」
ドーリットルは訓示を済ませると自分の機体に乗り込む
「陸地がうっすら見えるんだ、レーダーは切っておけ、逆に見つかったら厄介だからな」
レーダー員に忠告をするハルゼー
参加兵力は実に空母はエンタープライズ、レキシントン、サラトガ、ホーネット、ヨークタウンの5隻にもなる大機動部隊であった
「最後の一機が発艦しました、」
見張りの声が伝声管に響く
「ドーリットルが帰ってくるまでは...」
ハルゼーが言いかけた途端、
周辺に水柱が次々と生まれる
「オォゥ!!ファック!!GFだぜ!!」
若干汚い言葉が出ましたが、気にしない
「指揮官!!完全に囲まれております!!」
レーダーを慌ててつけるレーダー員
「ファッキン!!ファッキン!!!キルジャップ!!何とか突破口を探せ!!探し出すんだ!!」
そう叫んでいるうちも絶え間なく水しぶきが上がり、
機動部隊を揺らす
「ナガトクラスより発光信号!!『今直グ武装解除ヲシナサイ』と、言っておりますが!!」
水しぶきと巨砲の轟音に耐え続ける機動部隊
「仕方が無い!!ドーリットルに期待しようぜ!!!」
こうして、若干抵抗していたエスコート艦にも命令が下り、
ハルゼーの機動部隊はわずかな損害だけで丸ごと鹵獲された、
「オゥ!!マイガー!!!ジャップはこんな戦闘機を持っているのか!!」
それは、ドーリットルは零戦により翻弄される自分の飛行部隊を目の当たりにしていた、
今この一瞬にも一機が火を吹き青々とした海面に吸い込まれる
なんせ、この日の為に、陸軍海軍は矢川から頂いたエースパイロット一覧を参考に帝都東京にありったけの猛者たちを集めたのだ
「クソ...」
撃墜された機体から慌てて飛び出す搭乗員たち、
事前に背負わせておいたパラシュートで何とか脱出しているようだ
勿論、救助に来るのは日本の駆逐艦や警備艇であった
そうこうしてるうちにドーリットルの機体にも激しい衝撃が走る
「ック!!な、何だ、あの機体は、」
単発の零戦が飛び交う中で、一際目立つ双発機、
しかし、今はそれど頃ではなかった、
ドーリットル機は確実にスパイラルで墜落し始めていた
「全員脱出!!」
そう命令したと同時に全員が機外に飛び出す
グオーンという鈍い音と共に、
ドーリットルは自分の機体が海面に突っ込むのをその目に焼き付けた
ここに、史実のドーリットル空襲は失敗に終わり、
少数ながらも第七艦隊が始めて出撃した戦いと成った
作者:さて、めんどくさいからキャラ紹介やっちゃうか?
遠龍:やるの?
・矢川修二
=第七艦隊の司令長官であり、元海上自衛隊出身で、松島型の進水式の時には反対派の民衆を睨んで黙らせた、理由は『うるさいし、ウザかった』と言っている、
実は銃器類を持たせたら世界一と言われる実力で特に相棒の三八式歩兵銃は毎朝手入れしている、9mm機関けん銃も2丁拳銃の様に使いこなす、
酒には強く海自士官学校時代は卒業式後に仲間達と居酒屋をハシゴして仲間全員が倒れたのに、矢川は余裕綽々と仲間達の介抱をしつつ飲み続けた、
一番恥をかいた事は寝言で『何だって⁉』と言った事だ
実は仲間思いで人情家でもあるため、自分の部下は絶対に信用する、こんごうの自室は色んな物の設計図があり、これらの設計図は本人いわく読書用、さらに、部屋の壁や天井には色んな銃器類がある、栗田はこの部屋を『博物室』とよんで使用している、
・栗田健男
=日本海軍の軍人(海軍中将)、茨城県水戸市に生まれる、旧制水戸中学校(現茨城県立水戸第一高等学校)、海軍兵学校38期卒業、
日本海軍で最も長い戦歴を持つ実戦指揮官の一人である。駆逐艦艦長6回、駆逐隊司令3回、水雷戦隊司令官2回、戦隊司令官2回など、戦前から水雷屋として多くの経験を積んだベテランであった、
剣道に優れ、海軍部内では居合の達人として知られた、「金剛」艦長時代は、大変な無作法をした初級士官を怒鳴りつけながらも許し、この士官は栗田のためなら「命は要らん」と泣きながら語った、
ちなみに、その士官は栗田の務める『こんごう』の第二砲塔員をしている、
現在はこんごうの艦長、
・鷲塚司
=畝傍の艦長、海軍兵学校をトップクラスで卒業し、現在にいたる、
対空火器については抜群の知識の持ち主、
水雷戦では、いつも栗田に振り回される
・十六夜師走
=第七艦隊の整備長、何でも整備はするが、流石にエーテルエンジンは理解不能の様子、整備は本人いわく日本一だそうだ、
愛称は師走爺さん
・大間太郎
=揚陸艇隊隊長兼艇長、それぞれの艇の名前は彼が決めた、
『桜』『梅』などの桜の艇長、陸戦隊からは『オヤジ』と呼ばれている、面倒見が良いお父さん的存在、
・西島真央
=遠龍航空隊を束ねる隊長であり、海軍パイロット初の女性、彼女の影響か、第七艦隊の航空隊の約七割は女性である、
搭乗機はブラックバーン ロックで、イギリスの友人からもらったそうだ、
あとでエーテルエンジンに改装され、30mmと40mm武装になった
・美作松美
=西島機の機銃手を務める、
矢川と桜に次ぐ狙撃の腕前だ、
偵察員もこなす為、視力が良い
・野中五郎
=輸送機の機長であり、野中一家の長である、
野中の空挺作戦は、陸戦隊からの信頼があつい、
陸戦隊からは『野中機長』と呼ばれている
・西住小次郎
=史実とは違い意識不明で入院して居たが、第七艦隊が現れた日に目を覚ました、何かしらの縁を感じたらしく、第七艦隊陸戦隊に先陣切って自分から志願し現在は陸戦隊隊長を勤めて居る、部下からの信頼はあつく、軍神と言う事もあり、現在の第七艦隊陸戦隊は100名以上にまで膨れ上がっている、ちなみに、それぞれが分隊編成されており、各分隊には矢川の持ち込んで来た八九式中戦車が1輌ずつ配備されている、それぞれが第一から第十分隊まであった、しかし、軍神がゆえに、陸戦隊員がどんどん増えていき、深刻に感じた神さまが新たに九七式軽装甲車と輸送艦の第一〇三号型輸送艦を定期的に送って居る、ちなみに、西住は82式指揮通信車に乗っている
・甲木清実
=海軍の水上機のエースパイロットであり、水上機母艦が3隻もある第七艦隊に憧れをいだいており、志願した所、見事に入隊しさらに、第七艦隊水上機隊隊長を任せられている、初めはエーテルエンジンの水上機に慣れなかったが、しかし、そこはエースパイロット、物の一週間で見事に水上機を自分の物にした、ちなみに、搭乗機体は零式観測機である、
・酒巻和男
=甲標的のエースであり、さらに、矢川の計らいで第七艦隊特別戦術潜水部隊の隊長をつとめており、矢川が持ち込んで来た甲標的の性能に驚いた、エーテルエンジンのおかげで艇内部のスペースが増えた為に、各艇に無線機を取り付ける事に一時期躍起になっていた、
現在は空気清浄機の調達に躍起になっている、
・志水清志郎
=遠龍の艦長であり、いちおう、操艦の達人、何分あの松田千秋を尊敬している、
・松田千秋
=戦艦部隊の司令官、志水には爆撃回避法をかげながら教えていた、矢川に見つかった時は退職を覚悟したそうだが、実際は週一の爆撃回避法講座を開かせてもらっている、
・遠龍
=元エンタープライズで、母国が自分を核実験の標的にした事に失望をおぼえ、現在にいたる、作中のエンタープライズとはいざこざがたえない様子、
・こんごう
=元海上自衛隊のこんごう型護衛艦、事実上の旧聯合艦隊最後の艦艇で、遠龍と同じく核実験の標的になった、矢川が艦長を勤めていた艦であり、現在は栗田健男が艦長を勤めて居る、
剣道の達人で堅物かな?
・畝傍
=幻の巡洋艦であり、神さまによって対空イージス艦に改装された、長10cm砲を8基搭載している、何分涙もろい、
・瑞穂
=水上機母艦兼甲標的母艦であり、第七艦隊の航空力を支える一角、第七艦隊に編入されたと同時に対空火器の増設を行った、甲標的をまとめるお姉さん的存在、
・日進
=前世が前世なので、喧嘩っ早い、と言うよりも時たま優しい一面も見せる、
こちらも水上機母艦兼甲標的母艦だ、
・秋津州
=矢川が持ち込んで来た二式大艇を運用する飛行艇母艦、第七艦隊で最も和服が似合う美貌の持ち主、本人は気にして居ない、
・北上
=重雷装艦であり、姉妹の大井とは良いコンビ、水雷戦術では栗田を尊敬しているもよう、
・大井
=姉妹の北上との雷撃コンビであり、こんごうによく剣道を挑んている、
・スルクフ(イ-507)
色気キャラ、
しかし、他の潜水艦達からの信頼が半端ない、
・甲標的(酒巻艇)
=第七艦隊特別戦術潜水部隊の旗艇を勤めており、それゆえに責任感を人一倍感じたらしく、一時期、無気力化していた、しかし、瑞穂のおかげもあり、現在は普通に過ごしている、時たま、栗田の水雷戦の指揮下に入る事もある、
・桜
=揚陸艇隊旗艇を勤めて居る、陸戦隊の戦車たちからも一目おかれる狙撃の名人で、矢川に挑んで負けている、とってもお気楽な性格、愛銃は矢川が所持していた『M40A3』と『ワルサーWA2000』
・梅
=よく分からんがオタク、第七艦隊の危険人物で、いつも、桜に狙撃されて暴走からやっと止まる、
作者:まぁ、これぐらいかな?、またつけたして来ますので、宜しくお願いします、
遠龍:では、
作者:また今度ッ‼
遠龍:Have a nice day‼




