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ハワイ沖海戦

謎の艦影、


ハワイの沖合いに渦巻く欲望、


知波田が下す判断とは、

「...何か臭うわ、何かが、」

知波田が潜望鏡にかじりつき、

謎の龍驤にその視線を向ける、


「龍驤さんって、固定翼機を運用していましたっけ?」

伊久美が指揮所の海図の台に座り言う、


「...カ号観測機の筈よ、固定翼なんて運用していないわ、それに、赤い旗を掲げる国なんて、そう数多く居るのかしら?」

視線の先、

倍率レンズで極限にまで拡大された艦尾の旗の色とその模様、

鎌と金槌が交差する旗を持つ赤い国家の旗、


「ソ連よ、間違いないね、巡洋艦はキーロフ級、戦艦はガングート級、戦艦と巡洋艦、空母一隻ずつで艦隊を組むなんて、流石は海軍小国ね、経験が成ってないわ」

「あのソ連が、空母を建造したって言うの!?」

「最近まで国内をスパイがウロチョロしてたんだからね、これ矢川司令が聞いたらどうなるんでしょうね?」

「...やめておいた方が、いい様な...。」

苦笑いという返事が返ってくる、


しかし、

この謎の艦隊が向かう針路が北だったら良かったのだが、

真っ直ぐにハワイに向かってきているのだ


「不味いわ、ハワイは空母をレンジャーしか持ってないのよね」

この言い方は正確には間違っており、

練度がある空母はレンジャーしか居ないと解釈すればいいのだ


「...あぁ、イチャラブの。」

実際にレンジャーを訪問して、

営みの光景を見てしまった伊久美はほっぺを真っ赤にする


「...若いって、いいね」

返事は苦笑いとなって返ってきた、






摂津、


「艦長、伊号から通信です、」

摂津は、

紙をその人に渡す


「...うむ、...今回は無茶があるな」

咥えていたタバコを灰皿にねじ込む、


「艦長、艦攻による雷撃を推進します、」

「うむ、...お前は何時から空母になったんだ?お前は、戦艦だぞ?」

そう言うと艦長は近くの操舵員に命令を下す、


「おい、特殊装甲がどれだけ丈夫なのか試す機会だ、海軍魂を叩き込んでやれ、それと教育料金は高く付くと言っといてくれ」

「よーそろー!!」

舵輪が勢いよく回り、

謎の艦隊の針路に舳先を向ける、





ガングート級、


「艦長、早速見つけられてしまいましたが、空母の航空隊を出撃させますか?」

「なーに、相手は1隻だ、恐るるに足らん、我がガングートとキーロフで殲滅してくれよう」

主砲は既に旋回を始めており、

徐々にその視界に獲物を納めていく、


「我々の同士の下した任務のためだ、あの艦にはこの世から消えてもらおう、掃射始め」

4基の3連装主砲が黒煙と爆煙を噴出させる、


摂津の周りに多数の水柱が出来るが、

どれも大きく外している、


「敵の雷撃機!!艦長!!」

九七艦攻が超低空で腹に抱えた魚雷を叩き込むべく、

肉薄してきたのだ、


「副長、落ち着かないか?あんなハエ、直ぐに叩き落せる」

九七艦攻を艦橋で横目に見る艦長の目は冷酷だった、


しかし、

世の中そう簡単に行く筈が無い、


「敵機なおも接近中!!艦長!!回避行動の指示を!!」

「うむ、取り舵一杯、」

「敵艦接近!!発砲しました!!」

「ふん、そんな豆鉄砲、痛くも痒くも無いわい」



そんな会話をしていると、

間もなく当りは落下音に包まれ30cm砲弾が落下してくる、

これがもし、普通の炸薬の30cm砲弾だったら、


そう、

この砲弾は矢川炸薬で満たされているのだ、

矢川炸薬は日本の石油事情により、

通常はTNT炸薬だが、これを作るには石油原料が必要であり、

確かに石油は北海道の油田で少量ながら生産されているが、

その量も聯合艦隊の増える艦艇数に対応するのが精一杯の状況だ

そこで、我らが矢川司令官は石炭から作れる下瀬火薬を改良し、

激しい金属との化学反応を可燃性の混合物で押さえ込んだ物であり、

その混合物もチリ硝石が原料の硝酸ナトリウムの押し固めた固体を金属の砲弾と炸薬の間に挟んでやるという、

言うなれば、下瀬火薬改である、


その砲弾が、

日露戦争以来の国名は違えどもソ連の戦闘艦艇に襲い掛かるのだ、


分厚い徹甲弾の弾頭が甲板にめり込むが、

走行が薄い甲板なんて目にもくれずひたすら内部に向かって突き進む、

ここでやっと厚い装甲にめり込みその慣性の速度をついに奪い取られた徹甲弾はただ何もしないわけではない、

信管に電流が走り炸薬が内に秘めた膨張力でそこ等中の板や鉄板、

水兵をも巻き込み炸裂する、


艦橋にもその衝撃が伝わっており、

機関室はその莫大な衝撃のせいでめったに機嫌を崩さない機関がとうとうぐずりだす、

圧力が不安定になったのだ、


そんなところへ

我先にとばかりに九七艦攻が襲い掛かる、

キーロフ級の巡洋艦も勿論取り逃がしはしなかった、

所詮、戦艦は戦艦、巡洋艦は巡洋艦であった、

炸薬がぎっしり詰まった金属の有り難くない砲弾のプレゼントをそのどてっぱらに受け取る、

ほぼ水平射撃である、

見る見る内に速度が落ちる、

恐らく今の一撃で機関かそれに関係する所が遣られたのであろう、

兎にも角にも、キーロフ級はその速度を殆ど慣性に任せていたのだ、


「仕留めたりぃ!」

摂津の艦長がガッツポーズを作る、

水兵もまるで家族のように艦内全員で喜び合ったのだ、


「ふー、何とか片付いたみたいね、」

そうは言う摂津、

しかし、


この海域の遥か南の向こうでは異色の戦いが行われていた、


「空母を沈めるのに、艦上機だけだと言うルールは無い」

知波田が緊張で乾ききった唇を口内の唾でぬらす、


先ほどからエーテル機関出力全快で水中機動航行を行っているのだ、

何しろ頭上には爆弾を抱えたソ連の艦上爆撃機がうようよしている、

その中を潜望鏡を出しながら少しずつ謎の空母を追い詰めていく、


「艦尾に文字が...」

伊久美が呟く、


ロシア語の白い、

ペンキが塗り立ての文字は、

『ピチカ』と書かれていた


「小鳥ね、残念だけど、貴女のスクリューに魚雷を放つわ、これ以上南下したら、ハワイが危ないんだから、」

そう言うと、

知波田は手信号で水雷長に趣旨を伝える、

すばやく敬礼した水雷長は艦首のハッチの向こうに消えた


間もなくして、

魚雷発射管の表示板のランプが点滅しだす、


準備完了の合図であった、


「魚雷、発射、」

知波田が伝声管に向かって呟いたと同時に

水雷長が発射管のボタンを押し込む、


泡を身にまとい発射管から魚雷がモグラのように顔を出し、

酸素の力で加速する、


潜望鏡を下げ、

急速潜航したイ-19潜水艦を、

スクリューに魚雷が激突する爆発音が包み込んだ、













































鹵獲された『ピチカ(小鳥)』ほか、ソビエトの戦闘艦艇は情報収集のためアメリカ亡命政府の情報課に引き渡された、

捕虜になったロシア人も、別の島ではあるが、ハワイ諸島の収容所に打ち込まれ、

今頃悲痛な拷問を受けているであろう、

何しろ、アメリカ人にとっては、母なるアメリカを乗っ取られた、

憎き存在だからだ、


この開戦は後に『ハワイ沖海戦』と命名される






作者:反省しています、


遠龍:いや、絶対していないな、


作者:本当です!!


遠龍:だったらこの場でハラキリ出来るか?


作者:いや、それは流石に...


遠龍:...金剛!


金剛:さ~、楽しい切腹の時間だ、作者、覚悟は出来ているな?(ピキピキ)


作者:む、無理です、出来ません...(ガクガク)


金剛:しねぇぇぇぇい!!!!!!!!!!


作者:僕は死にゴハ!?(な、何!?)


遠龍:Have a nice day!

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