珊瑚海 後編
「ワスプ!!ワスプ!!」
艦橋に、
常人では見れない真っ赤な血の湖の中、
彼女は無気力に浮かんでいた、
「れ、レンジャーさん、...逃げて、下さい...」
途中咳き込みながらも、
ワスプは思いを伝える
「...逃げられる訳無いじゃない...」
ワスプの頬に一粒の水滴が舞い落ちる
「後輩がこんなに成ってるのよ!!逃げられる訳無いじゃない!!!」
その目ははっきりと憎しみに溢れながらも、
彼女は後輩の姿に涙する
「一緒に大西洋勤務した仲でしょ...、」
昔の事を想い出しながら懐かしさに駆られて口を止めた
「...でも、レンジャーさんの護衛は...殆ど無いじゃ...」
そう、
スコールに巻き込まれる前に、
護衛用の駆逐艦や巡洋艦を殆ど非難の為にワスプの護衛に急遽回していたのだ
現在のレンジャーの護衛についてるのは軽巡洋艦クリーブランドとコロンビア、駆逐艦はグリーブス級の2隻のみ
「無いよりはましよ、いいから貴方は休んで為さい私が必ず敵をとるから」
ワスプを彼女の部屋のベットに運ぶと、
泣きながらではあるが決意を固め部屋を出た
「レンジャー...大丈夫か?」
コクピットの中で計器類を調べながら翼の上に佇むレンジャーに声を掛ける
「大丈夫よ、敵さえ取れれば!」
手で涙を拭くとまたいつも通りに笑って見せたレンジャー
「分かったよ、はいはいお手上げ!俺も必ず敵をとってやるからな!」
そう言うと、レンジャーに手を差し伸べる
「えぇ、やく...キャッ!!」
手をつないだ瞬間、
スペンサーは手を引き、
レンジャーを引き寄せ、抱きしめた、
「約束する、必ずだ、」
耳元で約束を交わした、
「うれしい、帰ったら10倍返しで抱いてあげるからね!!」
そう言って、スペンサーのおでこを指でこつく
「変な意味のじゃなければ歓迎するよ」
そう言って、コクピットに潜り込む
「いや、変な意味ので♥」
いやいやいや、
それゆったらお仕舞いだろう...
「へ?」
スペンサーの表情が一瞬固まる
「おい、若造、お前の番だが」
そう言うのは整備のおじさん、
エレベーターの方角を親指で指しながらニヤニヤしてこっちを見る
「...その笑顔止めてください、」
そう言って、彼は機体ごとエレベータに乗せられ、
飛行甲板に運ばれていく
「若造、必ず帰って来い!!彼女の為にもな!!」
そう言って、肩を叩き、格納庫にまた下りていくおじさん
スペンサーは有難うと言い残した
「未だ曇ってるのか、」
灰色が支配する空を見て、
彼は呟いた、
珊瑚海の波は高かった、
「もう一隻が見つからんのか...」
矢川が頭を抱えて考え込む
「仕方が無い、航空隊に伝えろ、爆弾を落とし終わったら、第一機動部隊の上空援護をしろと」
そう命令すると、矢川は艦橋を出た、
一寸の迷い無く入ったのは、
遠龍の会議室だった、
「こんごう、如何しても探知できないか?」
部屋に入った第一声がこの一言である、
「駄目だ、全くといっていいほど電波は探知できん、」
眉間にしわを寄せ、
そう報告した
「駄目かぁ...、島の影に隠れてるとかは?」
地図を見て改めて質問する、
「有り得るが、一体どの島に隠れてると言うんだ?」
島が多い南太平洋はレーダーにとっては歓迎されない場所のようだ
「はぁ、...まあいい、先ずはワスプの確保だ、万が一の場合は松田さんと栗田さんに深追いして貰おう」
現在、第七艦隊は着々とワスプに近づきつつあるのだ、
「おぉ、矢川じゃねぇか」
そう言って入ってきたのは遠龍
「どうだ?基地に戻ってから乾杯するか?」
そう言うと、冷蔵庫を指差す
「喜んで!!」
真面目な目つきで返答、
気持ちを隠しきれていないのは気にしない
「さぁ、もう一仕事だ、頑張ろう」
そう呟いて、部屋を出る、
「あ、え、遠龍さん、電文が届きました、」
畝傍が入れ替わり立ち代りで駆け込む
「どれどれ、...馬鹿な...」
その手から、
電文は床に寂しげな音を立てて、
舞い落ちた、
「被害報告、」
小沢が呟く、
その頭からは、真っ赤な血が流れていた、
「は!飛龍、瑞鶴を除き、全艦飛行甲板使用不能です!!」
多くの弾幕を空に残したまま、
四隻の空母は燃えていた
「消火作業を優先だ、ここで、これだけの空母を失えば元も子もない、」
既に撤退を始めた第一機動部隊
米攻撃隊の猛攻の前に
空母翔鶴、蒼龍、龍驤、鳳翔が大破炎上、
翔鶴に至っては五百ポンド五発被弾、
それでもなおその威厳は健在である、
「やはり、第七艦隊か」
そう呟いて、空を仰ぎ見た
もし、第七艦隊の航空隊が間に合わなければ、
確実に四隻の空母は仕留められてしまっていただろう、
第七艦隊の航空隊が、何故遅れたのか、
途中、敵の第二次攻撃隊を発見、これを難なくと処理するも、
その下をレンジャーの攻撃隊が通過、
これに手間取ってしまい、結果的に遅れてしまった、
「飛龍と瑞鶴に伝えろ、攻撃隊の収容を頼むと、それと、重巡には艦砲射撃を要請、何もやらずに帰ったら叩かれそうだからな、さあ!我々は帰って、空母を休めよう、山本長官からの御礼があるかもだぞ?今夜は全員無礼講だ」
そう言って、早くも今夜の飲み会の打ち合わせを開始した、
「で!!どうなんだ!!!」
矢川が通信員を振り回す
「航行に支障なし、第七艦隊のドックを借りるそうです」
振り回されている仲間を哀れんだ別の通信員が報告する
「勿論!!どうぞどうぞ!!!、レンジャーは!!」
また通信員を振り回す矢川、
「見つかりませんでした、」
白紙の紙を矢川に渡す
「むぅぅ、仕方が無い、取り合えず、ワスプや巡洋艦、全部鹵獲して帰るぞ」
勿論、この鹵獲されたワスプの艦隊も、第二機動部隊に編入される予定だ
「さて、帰ったら飲むか」
そう言って、窓の外に目を向けると、
陸戦隊を乗せた複合艇がせわしなく艦隊内を駆け回り作業をしていた、
悲惨だった、
帰ってきた機体はその殆どが二度と使用不能な具合に破壊されており、
おまけに帰ってきたのは戦闘機2、爆撃機5、雷撃機0、
これにはワスプの機体も加わっているのだから尚更被害甚大である、
そんな血まみれ油まみれの格納庫の中、
一人の少女が佇んでいた、
「何処...何処なの」
もう既に気持ちは抑えきれるギリギリの状態である、
飛行甲板で帰りを待つが、一向に現れない、既に30分を経過しようとしていた、
帰ってこれた機体も最新鋭の『SB2U』や『F4F』ばかりである、
『BT』も辛うじて古参パイロットだった為、帰ってこれた
「...あの馬鹿が、女を置いていくなんぞ1億年早いわい...、」
高射砲のそばに佇むおじさんの背中はどこか寂しげだった
「......、あれは!?」
何かを見つけたのか、飛行甲板に急いで這い上がる
「間違いねぇ、紅いスピンナーだ!!艦長!!!!!もう1機来るぞ!!!スペンサーだ!!!」
こうして元気に叫んでるが、おじさんの目には涙が流れていた
「心配させやがって!!覚えとけよ!!!」
急いで、仲間を呼び準備を整える
ふら付きながらもタイヤが出てフックが下り、
飛行甲板に確実に近づいてきていた、
キュイッと言うゴムがこすれる音と共にワイヤーが伸びきり、
機体が急停止する、辛うじて機体は直せそうだ、
急いでコクピットを空ける
「大丈夫か!!若造!!」
確かめずに肩をガシッと掴み、
首が折れるのかとでも言う具合に揺らす
「ちょ!!やめ、おじ...(ちーん)」
「だ、誰かーッ!!医務室に運べぇぇぇ!!!!」
お前のせいだろ...
すると同僚が、
見事な音を立ててスペンサーをはたく
「クハッ!!おじさん揺らしすぎだ!!」
お目覚めの一言がこれだった
「すまんすまん、もうおじさんはよせ、名前で呼んでくれても構わん」
そういって、機体を押してエレベーターまで運ぶ
「コッカートさん、この機体、直ります?」
機体をさすりながら尋ねる
「直るさ、わしが直すさ、それよりも、彼女の所に行ったほうが良いんじゃねぇか?」
サイレンの音を響かせ、おじさんことコッカートが艦内に消える
「レンジャー、」
そう言って探そうとして途端、
スペンサーは後ろから抱きつかれた、
「...バカ」
そう呟いて、一層深く抱きしめる
「悪かった、」
「じゃあ、100倍返し」
「え?」
そう言うと、甲板から二人は何処かへ転送してしまった、
その夜、100倍返しされたとかされなかったとかは放っておこう
と言うより、読者の皆様にご想像をお任せします
そして、
これが、『珊瑚海海戦』だった
作者:以上、珊瑚海は終了です!!
遠龍:全然出てこなかったけど
作者:そ、それはまたの機会に!
遠龍:...話題変わるけど、赤城は?
作者:巡洋戦艦ですが?
遠龍:とんでもねぇ世界だな!!
作者:未完成艦が全て実現した世界ですから
遠龍:え、じゃあ、あれもか?
作者:あれもです!
遠龍:...どう戦うんだ?
作者:粉砕するまでです
遠龍:火力圧倒的過ぎるだろう
作者:いいんだよ!!勝つためなら!!
遠龍:...、では、
作者:また今度!!
遠龍:Have a nice day!!
畝傍:じ、ジャンケンポン!
グー




