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珊瑚海 中篇

「第一次攻撃隊発艦!!!」

ズラリと並んだ日本が誇る名機たち


今その翼を広げ、実戦と言う大空に飛び立って行く


「敵の偵察機です!!!」

続けざまに出入りする情報、

これが、空母対空母の戦いであった


「直援の零戦に向かわせろ、恐らく諜報部の情報が正しければ機種は『BT』、もしくは『SB2U』のどっちかだろう、油断するなと伝えておけ」

ちなみに、諜報部は矢川の進言により設立され、現在は大いに役に立っている


一機のBTに多くの直援の零戦が駆けつける、

この年に漸く採用されたSB2Uは未だ艦爆乗りにとっては最新鋭機であり高嶺の花であった

戦闘機は未だにF2Aバッファローを使用しており、F4Fワイルドキャットは採用されたばかりである


「...どうだ?」

煙を吹きながら落ちるBTを見て小沢が聞く


「大丈夫です何も打電されていません、」

この報告で艦橋の緊張が一段ほぐれた、


「このまま第二次攻撃隊の準備にかかれ、今すぐだ、」

漸く振り返った小沢の目は、燃えていた


「これが、空母対空母か」

第一機動部隊の士気を全て一箇所に集めても負けない位に燃える小沢、

背後にはそろそろ紅蓮の火炎の様な幻影が今にも現れそうだ






「ええい!!未だ見つからんのか!!」

焦りを隠せないフレッチャー


「司令!!3番機との通信が途絶えました!!」

艦橋にざわめきがおきる


「どういう事だ、まさか!!」

事の重大さに気づくフレッチャー


「3番機周辺海域を直ぐに捜索だ!!全機に伝えろ!!第一次攻撃隊の準備に取り掛かれ!!発見しだい発進できる用にだ!!」

この時、フレッチャーは大きな勘違いをしていた

日本には未だ見つかっていないと確信するフレッチャー、

それもそうだ、未だに上空には索敵機や哨戒機が現れていなかったのだから、

しかし、フレッチャーの艦隊は既に日本に見つかっていた、

こんごうのレーダーの射程に捕捉されていたのだ、


一方、格納庫では


「お~い、早く弾持ってきてくれ!」

そう叫ぶのは大西洋担当の一応エースパイロット『クーヴァー・ギブソン・スペンサー』

通称赤鼻のクーバー

名前の由来は色々と複雑で、

彼自身、代々続く大道芸氏一家の生まれでもあり

愛機のF2Aのプロペラのスピンナーが真っ赤に塗られている事に由来する


「駄目だ!、俺達の発艦は延期だ」

整備員のおじさんが首を横に振る


「え?何で?」

拍子抜けのように聞き返すスペンサー


「もう直ぐ俺達の艦隊はスコールに突入する、今舵を切ってもワスプの発艦作業の邪魔にしかならん、ここはいっそスコールに飛行甲板の汚れを洗い流してもらうしかない」

そこまで言うとおじさんはまた仲間の団らんに入り、コーヒーを飲みだした、


「...仕方が無い、自分で取りに行くか、...って、弾薬庫何処だ?」

そこで、スペンサーは"彼女"を呼ぶことにした、


「ぉ~ぃ、レンジャー」

小声で格納庫のあっちこっちを探すスペンサー


「スペンサーーーーー♥」

そう言って、後ろから抱きつくのはこの艦の艦魂『レンジャー』


「く、ぐる゛じい゛~、」

手足をバタつかせての必死の抵抗!!


すると、先ほどのおじさんが


「お、見ろよ、またからかわれてるぜ」

ガハハとその場の全員が笑い出す、

スペンサーはこの艦では艦魂が見えると言う一寸した有名人である


「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬッ!!!!!本当に死ぬッ!!!」

レンジャーの腕を叩き必死に訴える


「おっと~♪、やり過ぎました~」

パッと見、元気な女子!!と言う感じで、もう一度言う、元気な女子!!

大事な事なので二回言いました、

現在、アメリカ最古参空母として今回の海戦に参加したレンジャーは

最古参ということも有り、体は多少成長しており大体20歳のような感じである

出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるスレンダーな印象を受ける

金色の美しい髪の毛は後ろで束ねてあり、いわゆる、ポニーテール?かな?


☝作者はこう言う事は無知ですので、間違っていた場合はメッセージを下さい。


「ゲホゲホ、気を付けてくれよ...、そうだ!弾薬庫何処だっけ?」

そう言うと、レンジャーの手招きに従って暗い通路の奥に消えた










「とにかく!!水上機艦上機飛行艇関係無しに全機出撃だ!!!この前鹵獲したアメさんの輸送艦の五百ポンド爆弾を担いでいけ!!使えるものはどんどん使う!!出撃準備始め!!!」

ちなみに第七艦隊の航空機たちは皆、急降下爆撃が出来る、

説明すると、矢川が設計したそれぞれの機体のダイブブレーキを取り付けたためである

それが例え一トン爆弾二つを抱えた二式大艇でもだ


「合流時間合流空域に間に合うように準備しろ!!手抜きは許さん!!」

かくして、空母遠龍は格納庫内が異常なまでに騒ぎ

水上機母艦もわんやてんやで準備していた、二式大艇は既に一トン爆弾の爆装が殆ど完了していた為、

乗組員は母艦に横付けし、追加の機銃弾を受け取ったりしている


「矢川司令官!!遠龍間もなく完了です!!」

艦橋の無線員が逐一報告する


「第一機動部隊が発見されました!!!」

「クソ!!何てこった!!」

「合流時間まで一時間を切ります」

「九号式、間もなく発艦します!!」

「敵機の発艦を確認!!!」

「焦るな!!未だ間に合う!!」


会話の途中にあった九号式はMQ-9リーパーの和名で、正式名所は九号式電子多用途戦闘機である、

前作で出てきた無人機のグローバルホークとは比べ物に成らないほどの高度な精神性、人工頭脳を持っている、

勿論、エーテルエンジンである


「今回も!!万々!!鹵獲だーッ!!!!!」

このひとことを合図かのように準備完了の報告が艦橋に立て続けに入る


「よぉしッ!!勇猛に戦え!!、そして死ぬな!!!」

艦隊全体に火が付いた、そんな一言であった


ここで、

珊瑚海に展開する両陣営の空母が何処に位置しているか説明しよう!


第一機動部隊はポートモレスビー南海域およそ二百㎞に位置し、北上しつつある米機動部隊と真っ向している

一方のワスプとレンジャーの2隻の空母を含む機動部隊はケアンズ沖合い400㎞に位置しており、

完全にアウトレイジしかけている状況で、不利である

更に、事実上航続距離無限の第七艦隊はルイジアード諸島付近で航空隊全てを出撃させると最大速で南下を開始、

現在位置はタグラ島南の海上四百㎞を全速航行中


何と、米機動部隊は着々と包囲網にかかりつつあるのだ











「れ、レーダーに反応!!ジャップです!!」

この一言は、艦隊の温度を数度下げてしまった様だ


「何だと...もう見つかっていたのか!?」

不味いと想うフレッチャー何しろ現在ワスプは航空隊をその飛行甲板から発進させている最中なのだ


「早くしろ!!もたもたしてるとジャップに食われるぞ!!!」

甲板ではフレッチャーの一言により、大慌てで、大急ぎで航空隊を送り出す、


「北東よりもう一隊!!規模は此方の方がデカイです!!!」

レーダーに映る二つの大群、


「クッ!!航空隊には申し訳ないがオーストラリアの飛行場に帰等しろと伝えておけ、レンジャーはスコールを抜け次第、発艦しろと打電しろ!一方的なワンサイドゲームにさせてたまるか!!」

最後の一機のBTが飛び立つと、ワスプは舵を切り、南に舳先を向けた


「...手元にある機体は全部で幾つ残った、」

フレッチャーが静かに聴く


「は!、今、手元にありますのは戦闘機4機、雷撃機2機、爆撃機5機のみです」


「よし、第二波攻撃だ、第二次攻撃隊用意!!今のうちに艦内から危険物を処理するぞ!!」

殆どすっからかんの格納庫では作業は比較的早く進み

ギリギリのところで甲板に上がる


「各自で発艦だ!!上空で合流しろ!!」

準備が終わった機体から手で合図を送り甲板を蹴って飛び立っていく


「ジャップの航空隊が合流しました!!!」

レーダーにはとてつもなくでかい陰が生まれていた


「早く、頼む!!」

1分の時間が命取り、

それが、空母と空母の戦いであった









「眼下にアメさんの空母を一隻確認、これより攻撃開始します!マオ!!下よ!下!!」

雲が張っている白銀の空の中、

見事に雲のほんの一寸の隙間から空母を見つけた美作


「!!、トツレよ!!急いで!!私たちが先攻するわ!!」

五百ポンドを爆装したブラックバーンロックが大きくバンクを振る


するとどうだろう、

驚いたようで全員が下を見るという珍事が起きていた、

中には嘘だろうと言いたげに背面飛行して赤っ恥を食う機体まで現れていた

向こうのほうの攻撃隊は気付いていない様なのでここで思わず翼内の四十㎜機関砲を前方にぶっ放し

漸く気づいたようだ、


既に、攻撃隊ではトツレとト連送の雨霰、

無線が故障したのかとでも言う具合に騒がしかった


ここで前方に一瞬にして漆黒のどす黒い黒雲が一つ出来た

対空砲火だ、

この黒雲を合図に量産されていく火薬の煙、

一層激しさを増す対空砲火、ここはあえて第七艦隊の頑丈な装甲を身にまとった航空隊が率先して前に出る


「行くわよマツミ!!急降下だからね!!」

機体を百八十度引っくり返すと

そのまま重力を利用し空中に弧を描きながら一番槍となってワスプの弾幕に突入する


ここで、爆撃機以外の機体のダイブ方法を説明すると

ここでは『線』が機体の軌道、『.』が目標

普通、急降下爆撃機は『ノ.』の字を描いて目標に接近し爆弾を投下する、

そうでもないと、機体が持ち上がらない為である

しかし、第七艦隊は二二式多用途戦闘機と九号式電子多用途戦闘機以外は爆撃機を運用しておらず

そこで編み出されたのが『甲木式急降下』であった

文字で表すと『.(』こんなのである

はっきり言って本物の急降下である、角度は八十~九十、今だ第七艦隊でも訓練時しかやった事が無いのだ


一度上空で背面飛行になる

重力を利用し急降下

高度四百で爆弾投擲

そのまま弓の弧の形を描くように離脱


おまけに垂直に爆弾が落ちるために貫通力がある、

しかし、その一方でピンポイントしか狙えないデメリットもある、

だが、急降下中、垂直の九十度になる前に当ら無いと判断できれば、

途中で背面飛行を解除、そのまま機首を持ち上げ高度をとってから再突入出来るが、

チャンスはあくまでも垂直の一歩手前まで、

九十度を過ぎたらもう修正は殆ど効かない、


「高度一〇〇〇、...九〇〇、...八〇〇、...七〇〇、」

ダイブブレーキは未だ開かない、

ここで開いたら、海面に突入するしかなくなるからだ


「六〇〇!、...五〇〇!!、...四〇〇ッ!!!テェッ!!」

機体から切り離される五百ポンド爆弾、

切り離されたと同時に機体が衝撃で弧の内側に跳ね上がる、その瞬間、ダイブブレーキが開き必死に空気を掴んでいる


「クッ!!高度一〇〇ッ!!」

ザザとプロペラが海面をかすめ

飛沫を上げる


ガガーンと腹の底から響く様な音が機体の振動からも伝わる


「マツミ?やったの...?」

パイロットのため後ろは向けない


「やったわよ!!私たちやったのよ!!」

少し涙目になりながら喜びの声を上げる美作


「じ、実感が湧かないよ~、...」

そう呟いているが、西島の顔は笑顔一色である


一方、場面変わってこの爆撃法を生み出した日本が誇るエースパイロット甲木に目を向けてみよう


「遅れをとるな!!俺たちも行くぞ!!」

無線に叫び、仲間たちの雄たけびを聞くと

目を瞑り、五秒程精神を集中させる


「よし、行くぜ」

そう言うと愛機を派手に回転させ急降下に入った


「こっちは五百ポンド二つだぜ!!」

ワスプの巨体がまるで痛みでのた打ち回ってるかのように

急激に旋回を始める、


舵が効き始めていたのだ


「させるかぁぁぁぁぁッ!!!」

レティクルギリギリにワスプを辛うじて収めている


「高度四〇〇ッ!!テェェェッ!!!」

後部機銃手が急激な気圧変化に耐えながらも伝声管にそう叫ぶ


「食らえぇぇぇッ!!!」

ガコッと爆弾が投下された反動と共にダイブブレーキを展開

凄まじく尋常ではない重力が体を襲う


「やったか!?」

機銃手に確認を取る甲木


「やりました!!!至近弾一、直撃弾一です!!!」

未だ重力が体を押さえつける中、機銃手が甲木にわざと分かるように両手を振り上げ万歳をする


先ほどから立ち上っていた煙が一層濃さを深め

黒煙と化していく


「これが、戦争か」

どんなに美しき仕上がった艦も、

どれだけ機能美を備える艦でも、戦が始まれば見るも無残な姿になる

それが、彼女たちの宿命であった、


「辛い思いをするのは、人間だけで十分だ」

そういって、眉間にしわを寄せると再び空の人となった、

彼もまた、艦魂が見える人だった






作者:さて、朝鮮半島が騒がしい時期です、


遠龍:BGMは『それが大事』でお送りしていきます


作者:え~、一発目のお便...え?これって、ラジオなの?


遠龍:空気読めよ~、ノリ悪いな~。


作者:いやいや、無いものは無いんだよ!


遠龍:それはお前が悪い、


作者:まぁ、認めますよ!文章下手だもん!!


遠龍:...何時?


作者:へ?


遠龍:私達が出るのは何時?


作者:あ、え、その~、この~、あれ~、


遠龍:...(ドン)


作者:目処が立っておりません!!


艦魂一同:バッキャロウゥゥゥッ!!!!!


作者:ギャァァァァァッ!!!


畝傍:う、畝傍です、朝鮮野郎共がうるさい時期になってまいりました、次回『珊瑚海 後編』おたのしみに~♪、


遠龍:ジャンケンポン!!




























✌(チョキ)

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