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珊瑚海 前編

始動する米濠遮断作戦


しかし、ここでもアメリカは動いたのだった


史上稀の戦いが幕を開ける

5月20日、


「ふ~ん、やっと第一機動部隊が、かぁ」

やっと軍令部がとでも言いたげに呟く矢川


実際は山本がソロモン海海戦を耳にして『貴様らは腰抜けか!!』と直接軍令部に乗り込み

更に軍令部が『あぁ、やってやろうか!!』といった具合に口論になり

結局山本の圧勝に終わったそうだ


「鹵獲した艦艇は全て第二機動部隊送りか、まぁ、彼女達にもその方がいいだろうな」

ドックを見ると、

上層建造物を引き裂かれた見るも無残な姿の艦が多数ドック入りしている


「少なく見積もっても、今月末だな」

視線をまた資料に戻す


「...新しい暗号かぁ、...、そのうち配布されるからいいか、問題はワスプの行方だな、こんだけ捜索しても、これだけ哨戒網張っても見つからんのか、パナマ運河も通過した形跡無し、一体何処に隠したんだ」

地図にはこれでもかと言う具合に大量の円と線が書き込まれていた


「...いや、待てよ、この前オーストラリアに着いた輸送船団がこの針路だから、ここかな?」

唯一、哨戒網と重なっておらず、更に輸送船団のルートと重なるその島は、



ガラパゴスの南に進路を取り、クック、サモア、トンガ、フィジー、バヌアツを通過するそのルートの直線上に有ったのは


「ニューカレドニア島、駄目だ、陸軍さんが間に合わない、ソロモンが一段落したら陸戦隊を呼び戻すか、機動部隊さんは明後日到着、米濠遮断にまた一歩近づいたな、南雲さんはフィリピン攻略支援艦隊に、逆に小沢さんは全機動部隊の長官、第二機動部隊は...、まだ訓練中か、」

ここで言っちゃえば、

軍令部は司令官を交換中だから駄目だと釘をさした、

しかし、山本が乗り込んだときには既に小沢は司令官どころか長官に昇進していた

その為に、軍令部はろくな反論が出来ずに山本のワンサイドゲーム幕が閉じたのであった


「そういやぁ、ソロモンも明日で一段落しそうだって言ってたな、これを期に呼び戻して殴り込むか」

そう呟くと紙を取り出し、

文字をズラズラと書いていく


こうして、早くもニューカレドニア攻略は始まった、

実際、陸軍の過密スケジュール内にもこのニューカレドニア攻略はあるが

行われるのは二ヶ月も後である


翌日の深夜、

一段落済み、陸軍も簡易ではあるが宿舎を立てたので『桜』と『梅』に収容され、さらに捕虜となった米兵を運ぶために輸送艦一隻が共に帰路に着く


「よぅ!!お帰り!!大活躍だっだそうだな!!!」

ちょっと疲れ気味の西住を矢川が出迎える


「いえいえ、部下が優秀だからですよ、」

決して自分の成果を威張って自慢しないのも西住が慕われている訳の一つである


「あ、そうだ、明日はニューカレドニアな?じゃ、お休み」

そう言って、足早にその場を去った


「...。今度は何だ?」

嫌がるわけでもなく、西住は一種の好奇心を覚えた





「行かせて下さい!!この通りです!!」

どうやら盗み聞きしていたようだ


「空母を取り逃がしたのは私の責任なんです!!あの時雷撃していれば...どうか!!お願いします!!」

帽子まで取り頭を下げる栗田


「分かっています、頭を上げてくれ、それと、早く休んでください、明日の朝は...今日の朝は早いからな」

時計を確認し自分の言葉を改める


「これで、明日は心強いな」

そう言うというより、栗田に言い聞かせているようにも見えた









5月21日、


この日は、

停泊中の遠龍の護衛に畝傍を残し、

こんごう率いる水雷部隊の護衛の下、

揚陸部隊はひそかにニューカレドニアに迫りつつあった

陸戦隊延べ百名以上、それぞれの分隊に別れ島中を捜索する予定である

勿論、隠密行動だ


「よし、陸戦隊行くぞ!!」

良く分からんが体中に銃器を仕込んだ矢川まで付いて来た


『オォーーーーーッ!!!』

全員が九㎜を振りかざし雄たけびを上げる


「ハイテンションプリィィィーーーーーーーズッ!!!!!」

イミワカラン


『ウオォォォォォォオォォォッ!!!!!!』

え、分かったの...?


「アメ公なめたらイカンザキ!!!」

な、何ダジャレゆっとんねん...


『そうはイカンザキィィィィィィィ!!!!!!』

ま、まさかのダジャレで返した!?


「第七艦隊の目標は何だぁぁッ!!!!」

一応目標は決まってるそうです


『生きて帰る!!ただそれだけが絶対の正義ィ!!!!!』

分かってらっしゃる


いや待て、こんなに大声出したら見つかるだろ!?


「GOOD LACK!!」

さり気なく格好良くきめるな!!


『総員衝撃備えろ』

大間太郎が拡声器で注意を呼びかける


その直後、

艇底が砂地とこすれる音がし、

前方の扉が威勢良く開く


「よっしゃ!いくぞ!」

そう意気込み、陸戦隊が乗り込んだ

































「間違いないのか!?」

無線を受けた矢川が叫ぶ


→『間違いありません、パン島の米兵を締め上げたら見事に吐きました』

陸戦隊の一人が確信する


「不味い、不味すぎる!!第一機動部隊が危ない!!全員探索中止!!副母港のラバウルに戻り次第出撃だ!!」

なんと、つい先ほどまでここニューカレドニアの一部、パン島の湾内深くに二隻の空母が停泊していた事実が判明、

しかも、つい先ほど出撃した様子であったのか、

飛行場の格納庫はすっからかんであった


「よりによってこんな時に出撃かよ!!」

急いで戻るにしても最低で見積もっても一時間はかかるのだ


「大間さん?聞こえるか!!第一機動部隊に警告信号を打電だ、早くしないと背後をとられる、それこそミッドウェーに成りかねない、あと、全分隊に無線で海岸に出ろと言って下さい、その方が回収が早いでしょう、打電が優先でお願いします」

キリと無線を切ると一目散に南の清々しい蒼海に向かって走り出した


「おい!!松田か!?、遠龍を引き連れて出撃だ!!ゴチャゴチャ言ってる暇は無い!!機動部隊がポートモレスビー攻略支援に向かってる背後を取られかねん状況だ、レーダーは今年中に出来上がる保証は無い!!こんごうや畝傍、遠龍のレーダーを代わりに使うから一刻も早くしろ!!」

電話を切り一心不乱に海岸を目指す


「ヘイ!!ジャップだぜ!!」

「おい!!俺たちと遊ばないか!!」


立ちふさがったのは三人の米兵


「黙れこの!!邪魔だ退け!!」

矢川は三人の米兵に走りながらラリアットを叩き込んだ


「俺の目の前に現れた奴は全員捕虜だ!!!」

そう言うと、米兵をたまたま隣にあった、と言うより米兵が乗っていたであろうM1軽戦車に叩き込む


「これなら早いだろうな」

ガコッとギアを入れ最大速の72kmを出し、疾走した




「!!、オヤジ!!矢川司令官です!!」

海岸際で手を振る矢川に一人の陸戦隊員が気づく


「よし、接岸するぞ」

舵を切ろうとした瞬間、矢川が何かを叫んだ


『そのままでいい!!俺が戦車で飛び乗るから!!非難を優先しろ!!!』

そう言うと、林の中に消えていった


「...、は、早く退避だ」

慌てて隊員を退避をさせる大間


ガソリンエンジンの独特な音を響かせM1が砂丘を利用し大きく飛躍した

そして見事に着艇、艇を大きく揺らすも全員無事


「ど、どうしたんですか、その戦車」

西住が駆けつける


「捕虜が三人居る、丁重に扱え」


実際、昨日の夕食を出された米兵は口々に『最後の晩餐だ...』というぐらい第七艦隊は捕虜の扱いが丁重なのだ


ちなみに料理長は『すまん、一般兵用だった』と言い、更に豪華な食事を出したそうだ


「こっちも今回は車両積んできていないので六十人程の捕虜を保護してるんですけどねぇ...」

確かに良く見ると陸戦隊隊員の間に混じって米兵がいた


「...三人だぜ?」

この一言に西住は折れたらしく


「分かりました...。」

と言って引き受けた、ちなみに車両は未だに車両が配属されていない特別陸戦隊第一二分隊に配属される予定である、

勿論、本土に帰ったら改造する


このときの矢川は『うへへへへへへへ』と西住の肩を叩いていた

恐らく『分かってらっしゃるが無いか、旦那?』と言いたかったのかな?


「三十分後には合流海域だ、捕虜は基地に送る、大間さん頼みました」

気分を一新し元に戻る矢川


「そうだ、今回の鹵獲品はM1だけではないよな?」

矢川が西住の聞く


「え~と、M8スコットを二両頂戴しました」

そう言うと隣を航行している梅を指差す


「中々の戦果だな、当分は陸戦隊の車両不足が解消できるな」

これは、説明すると本土のほうでは既に第一三分隊が定数に達しようとしているためである

このまま増えてゆけば車両無しの分隊も出来かねなかったのだ


「とにかく、合流海域に急ぐぞ、小沢さんが危ないからな」








「ふ~む、空母が背後に迫りつつあるのか」

興味深そうに電文の内容を読む『小沢治三郎』、

何時もの鬼瓦のような面構えもこのときは驚きの一色であった


「長官、悪いことは言いません、空母を優先したほうがよろしいかと」

そう言うのは『原忠一』


「陸の陸軍さんは後回しですか!?」

艦橋員の一人が驚きの声を上げる


「陸地は逃げん、逆に空母はチョコマカと海に現れる飛行場のようなものだ、此方が脅威度が高いとは想わんのかね?」

原が聞き返す


「は!まことにすいませんでした!!」

そう言って謝ろうとする艦橋員を原は手で制した


「謝る前に、仕事をしろ、忙しくなるぞ」

実際、だんだんと忙しくなってるのは事実だ


「陸軍に打電しろ、アメさんの空母が現れた、これを撃滅してから航空支援を出すと」

撃滅と言っても、魚雷は今回に限って出番がなさそうだ、

なんせ、第七艦隊がこの海域に掛け付けつつあるからだ


「空母の甲板だ、それだけを狙えと攻撃隊に伝えろ」

鬼瓦のほりが一段と深くなった、

今から行われるのは人類初の空母対空母の海戦である、

今だかつて誰も経験していないのだ、


「今回の海戦、私にも分からんよ」

一人で呟く小沢の背中は、

どこか重たげだった




作者:と言うわけで、


遠龍:話題無いだろ、さっさと終わらせろよ


作者:酷いなぁ...


遠龍:では、


作者:また今度!!!


遠龍:Have a nice day!!

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