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対敵

ついに始まる海戦


刻一刻と追い詰められるワスプ


ソロモンを巡る死闘の行方は!?

5月16日、


「確かなんだな」

短くも、はっきりとした口調で無線機に話しかける


→『間違いねぇ!ワスプだ!司令官の読みが当ったんだよ!!』

無線を通じて艦長が訴える、


「...分かった、松田と水上機母艦、この海域を哨戒している奴等全てに招集を掛けろ、業務連絡と空母と言えば大体分かる、何をやってる早くしろ!!我々も向かうぞ」

こうして、栗田率いる『大井』『北上』の重雷装艦ペアは大きく旋回すると目的地に向かい最大戦速で向かった



「何!?業務連絡に空母だと!?位置は何処だ!!」

艦橋に入った緊急電に少しばかり焦った松田


「は!!、ショートランド諸島を利用し引き離しにかかってるそうです!!」

水兵が電文を確認し報告する


「不味い、とにかくこのまま突っ走るぞ!!引き離されてまた消息不明じゃあとんだ恥さらしだ!全艦最大戦速!!三十分はかからんだろ、頼む、間に合ってくれ」

未だに見えない水平線の向こう側を凝視し見えない空母の姿を睨む



一方、

既にラバウルからは揚陸艇に輸送艦、小型護衛艦が大船団を築き一路ブーケンヴィル島に向かっていた

小型護衛艦は矢川が提出した『350トン型巡視船』の『びほろ型』を基に作られている

ちなみに大型は『てしお型巡視船』が基盤であり、特型は『ヴィスビュー級コルベット』が基盤だ


そんな話はさておき、

この護衛艦たちにも共通の無線があるために、

空母発見の情報が無線機から延々と流れており何とも言えない緊迫感をつくり上げていた


「ようやく空母が見つかったのか、」

西住が後ろを振り向くと、

陸軍の機動艇などが『ヴィッカーズ・クロスレイ M25 四輪装甲車』や『九八式四t牽引車 シケ』に『機動九十式野砲』などを積み、今か今かと上陸に備えており、

陸軍も今回こそと士気が尋常では無いぐらい伝わってくる


「よし、第七艦隊特別陸戦隊!!擲弾銃用意!!」

海岸からは金属の包みが顔をのぞかせていた


「撃ち方始めーッ!!!」

ダダダと閃光を撒き散らし、四十mmの榴弾が防衛の米兵を襲う


上陸用意という拡声器の音に全員が身構える

突然目の前が開けたかと思うと、心地の良い風が吹き込んできる

しかしそれも、銃声という非現実的な音で現実に引き返せざるおえない


陸戦隊の装備は九mm機関拳銃である


「歩兵は戦車や装甲車に隠れて撃て!!全戦車!!撃ち方始めーッ!!!」

無線機に向かって叫ぶと、

外では火薬が雷の如く炸裂する音が聞こえた


『隊長!!M3中戦車です!!』

悲鳴に近いような報告ではあったが、

西住は取り乱さずに冷静に判断する


「特殊貫通弾を使え!!歩兵たちには榴弾か燃焼弾を使え!!」

後に矢川炸薬の名で知られる事となった火薬は、ここで初めて初陣を飾った


その効果絶大で、たった二発の砲弾でM3中戦車を沈黙まで引きずり込んだのだ


「ック!、ん?おぉ!!ブローニングM2重機関銃があんなに沢山...!、全員鹵獲しろ!!!」

双眼鏡で浜辺の機銃座を確認する西住は興奮を抑え切れなかった


勿論これに陸軍も便乗し行き当たりばったり米軍のM2を奪いまくる事態が発生していた

中にはコンテナ一杯のM2を鹵獲する部隊まで現れた


「オラオラ!アメ公目!!噴進弾弾幕なんて聞いたことねぇだろッ!!!!」

シキツウには四丁の擲弾銃が車載されているが、

西住はあえて『百十mm個人携帯対戦車弾』を好んで使っている、

車内には牛乳瓶の箱詰めの如く、箱が幾つも散乱していた


「ロケット弾だ!!!」

「メディーーークッ!!」

「ヘッダーーーーーン゛ッ!!!!!」

「アパーームッ!!弾持って来い!!!」

「伏せろーッ!!!」

「フォローミーッ!!!」

「リロードッ!!リロードッ!!」

「交換中ッ!!」

「ファーック!!!」

「誰か空軍を呼べッ!!」

「ア゛ァ゛ーーーーーーーッ!!!ファッキン!!!」


と、まぁ、混乱と罵声が飛び交う米軍


「弾種燃焼弾もしくは榴弾!!一斉掃射ァァッ!!!」

弾種を決めたのに関わらず、相変わらず百十mmを担いで使っている、

あんたは鬼か?






「見つけたぞ!!砲雷戦用意!!第一~四砲塔用意!!」

ここで、

大井と北上の主砲を紹介すると、

ドイツがありがたくソ連がら鹵獲した『B-4 203mm榴弾砲』が流用されている

使う砲弾は勿論榴弾、駆逐艦なら当たり所が悪ければ一発轟沈、

巡洋艦以上の場合は上層建造物の破壊が目的で、いわゆる鹵獲である


『距離二万一千!!!』

伝声管を測定儀からの報告が流れる


「ギリギリだが、やるか?」

栗田は振り返り艦長に静かに聞く


「はい、炸薬を矢川司令官の物にすれば余裕です」

冷静に艦長が答える


「分かった、作戦開始!」

無線に向かって栗田が叫んだと同時に、

ワスプの、否、フランク・ジャック・フレッチャー少将の艦隊に水柱が上がった




「何事だ!!、」

艦橋で仮眠を取っていたフレッチャーは目覚めが悪かった


「敵襲!!」

ワンテンポ遅れて見張りがようやく叫ぶ


「今日は何て日だ!!」

少しばかりやけくそに成り始めるフレッチャー


なんせ、満を持して暗号を解読し艦内の航空機全機を発進させたにもかかわらず、

攻撃隊そのものが待ち伏せされており全滅という不名誉なレッテルを貼られているのだ


「フレッチャー級轟沈します...」

火柱を立ててその舳先を天高く持ち上げたフレッチャー級駆逐艦が蒼海の藻屑と化すのは時間の問題だった


「砲撃か?」

参謀が用意したコーヒーを飲みながら聞く


「いえ、恐らく潜水艦だと思います」

見張りの一人が発砲らしき物は見ていないと説明した上で解釈する


「閃光確認!!敵艦です!!」

不味いとフレッチャーが思った瞬間、

凄まじい衝撃がワスプを襲った





「三発命中!!駆逐艦三隻が脱落します!」

見張りが歓声を上げる


「喜ぶのは未だ早い、巡洋艦が残っとる、ら」

言いかけた途端、報告が艦橋を駆け巡る


「敵駆逐艦がこちらに向かってきます!!」

明らかな焦りがその声には見られた


「焦るな!!、雷撃だ!!同航戦に誘い込め!!」

今まで、敵艦隊の横っ腹を貫くかのように突き進んできた大井と北上が面舵を取り、

同航戦に駆逐艦たちを誘い込む


「乗ってきたか、向けられるだけの砲は全て向けろ、脱落する奴は放っておけ」

これで、右側の砲塔は使えない為全部で五つ、後部の第五第六をあわせての数である、


「指し惜しみはせん!機銃と高射砲は牽制の為にぶっ放せ!!」

弾薬を抱えた機銃員、もしくは高射砲員が甲板を駆け足で移動する、

全員という全員が士気旺盛だ


ここで、おかしな点に気づいただろうか?

甲板の魚雷発射管は何処へ?

答えは案外直ぐそばにあるものである、灯台下暗しとはまさにこのこと、


魚雷発射管は何と全て艦内に格納されている、というより、固定されていた、

舷側の水密シャッターがゆっくりと開き四連装魚雷発射管がその姿を現す


「いや、待て、魚雷は未だ使うな、装填だけはしておけ」

そもそも、鹵獲時に魚雷を使うとしたら戦艦ほどの頑丈な艦でなくてはならない

ここで魚雷を使えば確実に空母が唯ではすまない


「砲撃だけでは圧倒されかねん、どうするか...」

たった二隻の巡洋艦でも十数隻の駆逐艦相手では限界がある


→『『俺たちを忘れちゃぁ困るぜ!!』』


無線機から聞き馴染みの声が聞こえてきた


「松田!!重門しげもん潜水艦長!!」

ちなみに重門は愛称であり本名は重村門次郎である


間もなくして辺りが落下音に包まれ、水柱と火柱が交差する




「初弾命中!!」

見張りが興奮して声を張り上げる


「夜戦で日本に勝とうと思ったら百万年早いは!!」

松田が艦橋でそう叫ぶと各所で雄たけびが上がり砲撃音にかき消される


「やっぱり戦艦は最高だ!!」

巡洋戦艦ですよ、





「メーンタンクブローゥッ!!!早く俺の変わりに成る司令官よこせぇー!!」

早くも重圧に耐えられなかった重門


「全艦浮上!!」


「よし!!砲撃始めぃ!!!」

潜水艦では最大の30.5サンチ砲がうねり声を上げた






「何って状況だ、シャーマン艦長!、ここでこの空母を失う訳にはいかない、形振り構わず逃げてくれ」

フレッチャーも苦渋の決断であった、


「...分かりました、ディッキー君、巡洋艦たちにも伝えてくれ、」

帽子を深くかぶりなおし、副長のF・C・ディッキーに伝える、






「ごめんね、何にも出来なくて...」

涙目で会議室を見渡す、


「仕方ないんですよ、ワスプさん、我々が戦ってる間に早く逃げてください、明日の合衆国の為にも」

そう言うと、少女、『アトランタ』は自艦に転移する


次々と別れを惜しみつつも着々と近づいてくる別れの時間は、

無残そのものである


「皆、本当にごめん...」

ワスプは一人静かに会議室ですすり声を上げる


艦載機の無い空母はただの浮く箱でしかなかった、






「松田指揮官!!空母が逃走します!!」

先ほどから喜びすぎたのか、声がかすれていた


「何!?逃すな!!面倒なことになるぞ!!」

そう言った瞬間、

近くに水柱が上った


「巡洋艦を盾にして逃げる気か!!」

恐らく、否、


確実に松田が睨んだ今のワスプの姿が、今回の海戦では最後になった、


























































「畜生!!まんまと暗闇に巻かれやがった!!」

ダンと海図を握りこぶしで松田は叩いた


→『もう諦めろ、過ぎたことは過ぎたんだ、今は目の前の事を片付けろ、後は甲木たちに任せよう』

栗田が無線で語りかける


「...ック!、今から帰島する!」

唇を千切れんばかりにかむ松田は

複雑な心を覚えた







『戦果』



・鹵獲艦

駆逐艦:一五隻

巡洋艦:四隻




作者:さて、話題が無いね


遠龍:...あれ?、最近出番無くないか?


作者:き、気のせいですぅ~


遠龍:...


作者:き、気のせ...


遠龍:...(ドン)


作者:きの...


遠龍:...(ドドン)


作者:...すみませんでした、


艦魂一同:こんのッ!!バッキャローーーーッ!!!!!!!


作者:ギャアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!


遠龍:では、


艦魂一同:また今度!!!

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