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今こそ、絶対的正義の執行を

作者: 高谷 氷理

結構前に書いていたものをかなり手直しした作品です



「生きていると何が正しくて、何に縋ればいいのか。時折分からなくはなりませんか?」


拘置所の狭苦しい部屋の机に向かい合った青年と薄茶色のスーツを着た弁護士

片方は余裕たっぷりのすまし顔でもう片方は平静を装っているものの額から冷や汗が滲んでいる

こんな場所で普通に考えると弁護士が冷静で青年が焦りそうなものだが

驚く事に今はその普通と間逆の現象が起きていたのである


「…で、君は自分が正しいと思ったから。暴漢に絡まれた女子高生を助けたつもりで二人殺したのかね?」


「はい、僕は正義を実行しました。今でも自分の判断は間違っていないと思います」


曇り一つ無い青年の笑顔の前に、言葉を噛み砕くように頭に指を当てながら弁護士は唸った

そんな彼の気持ちを知ってかしらずか青年は言葉を続ける


「彼等は罪が暴かれ刑務所に閉じ込められた後、刑期を経て再び社会に出てきます

レイプの再犯率は高く、かなりの確立で反省しないと思います。また罪を繰り返すでしょう

そして、僕がもし不良を全員殺さず、警察に電話していれば二、三分で駆けつけない限り最悪の事態になったでしょう

あの子は一生消えないトラウマを心に刻まれ、生きる気力を無くしてしまうのかも知れません。自殺を選ぶ可能性も無視できませんね

レイプされた人間は決して無視できない割合で外出に恐怖感を覚えてしまい、外に出られなくなります

家族の負担を考えた場合、彼女のような被害者が増えるよりは根源を元から絶つほうが効果的でしょう」


眼鏡のずれを修正し、弁護士は自分を落ち着かせポーカーフェイスを守る努力をした


「成る程、君のいうことにも一理あるかもしれない。立場上それを肯定することは出来んがね

しかし、被害者にも同じように家族が居るのだ。もっと別の過程を経て穏便に事を着陸させることは出来なかったのかい?」


「三回ほど警告はしましたが、無駄でした。忠告を解する知能も無いくせに欲望には忠実だったようですので、猿だと思い殺しました

これは最早、彼等の家族がまともに教育しなかった監督責任も問われるべきでしょう」


スーツ姿の弁護士はやれやれといった感じに手を横に広げるジェスチャーをする

呆れたような表情と併せてみれば匙を投げたといわんばかりの表情は仕事に対する熱意が見られなかった


「…どうやら洋平君は被害者の方にも人権があることを分かっていないようだ

君を助けてやりたいが、自分の精神が全く健全であると主張する気だろう?心神喪失では無く、罪を認めると

ならば、私も弁護を諦めるしかあるまいよ。後は豪腕刑事殿に任せるとしよう

悪いが他の客が控えてるのでね。このご時勢だが、この職についている限り私達は老後には困らないよ」


「そうですか、じゃあお仕事頑張って下さい。【人権派弁護士】さん、獄悪人を法の裁きから守るためにね…」


退出する弁護士を青年は冷ややかな笑顔で見送った後、入れ替わるようにして黒背広の刑事が入室する


「どうも始めまして、お勤めご苦労様です。刑事さん」


馴れ馴れしくもはっきりと聞こえる声の主は朗らかに笑う。この世代の人間にしては礼儀正しく真面目な印象を受けるもので

有木慶介ありき けいすけはにわかに信じがたかった。目の前の青年の笑顔と殺人という物騒な単語がすぐには結びつかないのだ

先ほどの問答を耳にしていなければという前提では自分も彼が犯人だと疑っていなかったかもしれない

強面の顔を引き締めて望む。周囲の人間には悪人顔と揶揄されるが、犯人に舐められるより威圧出来る方がマシだ


「君は白井洋平しらいようへいだな?私の名前は有木慶介だ。取調べには正直に答えてくれ」


「僕の名前って結構普通ですよね。最近の無駄に画数の多い子に比べると」


「今日は君にいくつか質問したい。ナイフを常に隠し持っていたようだが?」


全く怯えた様子も見せず語りかける青年―――白井の世間話を遭えて無視し、厳かな口調を意識しては告げた


「ええ、そうでないと何かあった時に身を守れないじゃないですか?

あなたは慶介さんですよね?そんな硬くならなくてもいいですよ。ここ暗いし、汚いし。会話くらいは明るく行きましょうよ」


相変わらず人を食ったような顔で白井はにっこりと笑顔を浮かべる。純真さの裏に狂気が隠れた表情

子犬のような無邪気な瞳に慶介は狂気のようなものを読み取った


「何でもいい、始めるぞ」


白井の言葉にペースを振り回されながらも慶介は取調べを始めた


「君がやったんだな」


「はい、間違い無く僕がやりました」


先程の様子から一転。白井は割と真面目に慶介の質問に歯切れよく答えていた

慶介はとりあえず一応は彼の従順な態度に安心していた。手荒い手段はなるべく使いたくない

それが例えいかなる凶悪犯であろうとも、白井は未成年だ

警察の品位を落とすようなことはしたくなかった


「証拠を隠す気も無かったようだが?」


「隠す時間もありませんし、その気も無かったですからね」


とぼけたような白井の態度に彼は何処と無く違和感を覚えた


「自首したとはいえ、自分が起こしたことについて罪悪感や遺族への謝罪の気持ちはあるか?」


「遺族の方には同情しますけど、罪悪感とかはありませんね。だってそうしたかったんですし彼等にも非はあります」


(何だ?この餓鬼は…)


楽しげに言う白井に対し、慶介の違和感が大きくなる

ひどく胸の内が落ち着かない。取調べを中断して休憩室で煙草を吸いたい衝動に駆られた


「貴方だってそう思いませんか?刑事さん」


「その質問に答える義務は無い。質問をするのはこちら側だ、その事をわきまえたまえ」


「はぐらかさないでくださいよぉ」


白井のニヤニヤ顔が迫ってくるようだった


「貴方はガムを路上に吐いた通行人をけしからんと思ったことはありますよね?

夏場のパチンコ屋の駐車場で自分の子供を車の中に置き去りにする親を忌々しく想ったことがあるはずだ

強姦魔や僕みたいな殺人犯はすぐ死刑になればいいと思っている。決まりを破ったクズですし、刑務所で生かしても税金の無駄ですからね。

そう思うのは立派なことで、一人前の正義なんです。貴方は十分まともです」


まとも。などと目の前の青年に言われてもちっとも嬉しくなんか無い

このような善悪の判断もつかない狂人に構ってやっている時間が惜しい。最近の人間は何故もこうして面倒ごとを好むのか理解できない

むしろ、胸中の痰を吐き出すような気持ちで慶介は言ってやる


「君のような狂人に言われる筋合いはないな。何処の行儀の悪い漫画に影響されたのかは知らんが、親御さんは泣いてるぞ」


「それは褒め言葉ですか?僕は世界全てが狂っていると思うんですよ

人間が万物の霊長類で生態系の頂点に立つ支配者と認めるのならば…どんな小さな悪も見逃してはいけない

犯罪者の素質がある人間を見逃してはいけない。なのにみんなそうしない、自分だけよければと見てみぬ振りをして悪意を見逃している

そう…だからこそ、僕自身が犯罪を犯してまで社会のガンを排除する必要があったんですよ」


白井は言った後おどけたように肩を竦めた。舞台の役者のように大仰な仕草で、ひどく芝居がかった印象を受ける


「でも、最近は何が善か何が悪なのか簡単に判断できない人間が増えてきている

教育の劣化だと偉い人は言っているようですけどね。それもあると思うんですが、根本的な原因は違うと思いますよ

あなたはどう思います?犯罪者を庇う法律が正義を実行するのに邪魔だと思いませんか?」


慶介は目を剥く。本来ならば質問に答えるだけのはずの飛車から逆に問いを浴びせられ、混乱している


(こいつ…何を言っているんだ?)


驚くのも無理は無い。白井の語ったことは祐介自身も常日頃から思っているからだ


「あれ、もしかして図星でしたか?」


「質問するのはこちら側だといったはずだが」


やや声にドスを聞かせて、白井を威嚇する


体が震えるのでは解る。白井ではなく祐介自身の体が


十数歳も年の離れた青年の存在感に圧倒されている、飲み込まれている


その事実を認めたくないがために、祐介は声を大きくした


「どうやら君は反省していないようだ。私から何も言うことはないよ

裁きは法廷が下すだろう。いつになるか解らないがしかるべき処罰を受けて償いを受けるべきだ」


「随分と余裕がなくなってきましたねぇ」


「黙ってくれないか?」


「ほら、今僕を殺したいと思ったですよね。腰に吊るした拳銃で僕の脳みそを吹き飛ばして脳漿の色を見たいと思ったはずだ

でも、それで良いんですよ。人を殺すのに理由なんて要らない。無条件で誰かを愛するのと同様に人は人を殺せる。それが誰であろうとも」


「何を狂った事を」


「貴方は正義という免罪符を盾に法を侵す人間を殺せばいいんだ。それが他の犯罪者への抑止になる」


「…黙れ」


一瞬、反論が遅れてしまったのは。少年の言葉に惑わされてしまった為だろうか?

それを覆い隠すように慶介は声を荒げた


「人間にはあらかじめ人を殺すトリガーが備わっているって知ってました?

突発的にしかそれを引けない人間も居れば、僕のように自らの意思で自在に引くことの出来る人間も居る

今は人生の積み重ねと、後生守り続けたモラルがあなたに論理間というハードルを与えているようだがそんな物は障害でしかない

慶介さんは僕と同じ後者を選ぶ人間だと思うんですが、どうですか?さぁ、僕を撃ち殺してください!」


「黙れッ!!」


気がつくと祐介は腰の拳銃を抜き白井の顔に向けていた

激昂しても訓練された警官の銃口は向かいに座る青年の額を向き微動だにしない


「山形さん。落ち着いてください、所内で拳銃を抜けば貴方も処罰されます」


部下の一人が慶介の腕を抑え銃口を白井の額から外す

数秒間、青年に殺意の混じった眼光を向けながら祐介は押し殺した声で呟いた


「こいつを連行しろ」


「ほらね、僕の言ったとおり。あなたはこちら側の人間だ」


銃を向けられても表情一つ変えなかった白井が、初めて慶介達を嘲る様に笑った





「ふう・・。」


暗い夜道。車で帰宅の徒に付く慶介は社内で煙草をふかしながらアクセルレバーを踏みつけていた

社内据え置きの灰皿に十本目にもなる吸殻を押し込むと、信号待ちを見計らって新たな煙草に火をつける


(クソッ!何でこんなにイライラするんだ?)


吸殻を車窓から投げ捨ててやりたい衝動に駆られるが、警察官として身に染みた規則への心がけがそれを阻止していた

それに万が一同僚に投げ捨てを発見された場合、昇進にも響く恐れがある


「こっちだって好きで公僕やってんじゃないから…ポイ捨てぐらいはいいだろ」


つい、独り言が口をついて漏れ出してしまう

普段の彼ならばまず無い事だ。相当ストレスを感じているに違いなかった


(帰ったら夜食を食ってすぐに寝よう、あんな狂人の戯言なんて一眠りもすれば忘れる)


ニコチンの効力で幾分か気分の収まった慶介は家族の待つ自宅への帰路へ急ぐためにアクセルを吹かす


(そうだ、真奈美まなみの為に何か買っていかないとな)


生後三ヶ月になる愛娘の愛らしい寝顔を思い出し、彼は穏やかな笑みを浮かべた

自分がストレスの溜まる仕事を続けているのも自らの正義と家族を守る事だと自覚しながら






そして、数日後の事だった


「銃を向けるな!人質を殺すぞ!!」


コートを着た髭面の肥満気味な男が野太い声を張り上げて、自分を包囲する警察官達を威嚇する

その手に握られているのはトカレフ。暴力団関係者が良く用いる銃で資料でもよく目にする、安い大陸製の粗悪品である


(チッ、最近寝不足なのに何でこんな所で一介の刑事である俺が借り出されねばならんのだ?)


愚痴りつつも仕事はこなせばなるまい。真面目すぎる自分の性分に慶介は唾棄したい気持ちを抑えた


「犯人の情報は?」


「はい、身元を調べたところ男は暴力団関係の塗装工関係の人間で組に貸した借金が返せなくなり、事務所から銃を盗んで

このような自暴自棄の行動に出たのだと」


「なんて奴だ…」


迷惑極まりない奴である。いっその事手に持った拳銃で自分の脳天をぶち抜いてくれれば簡単な書類整理で仕事が済むだろうに

ここの区画は本来ならば管轄ではない、上手くいけば自分にそれが押し付けられる事もなかったのだ


(こんな奴に生きている価値などあるのか?)


ふと、携帯していた銃の安全装置を外し、引き金に手をかける


長年愛用してきた正式拳銃・ニューナンブM60

半世紀近く使われたそれは改良とマイナーチェンジが繰り返され、多くの警察官に愛用されてきた歴史ある銃

新型が各警視庁ですでに配布されている者の未だに愛用する者が多いとされる名銃であり

一般人が武装するすべを持たないこの日本において絶対的な力となりうる、力の象徴


一度も撃った事が無いそれを与えられた自分の役割が何であるのか?慶介は考えていた


犯人は小太りの体を一度パチンコ店内に引っ込め人質を連れてきた

恐らく、客の一人なのであろう。金髪に染めた化粧の濃い若い女性がトカレフの銃口を押し付けられ、恐怖に顔が引き攣らせている


(舐めやがって…)


周囲の警官は拡声器で投降を呼びかけているようだが、犯人は聞く様子は無い

薬でも服用しているのだろうか?その目は血走り、口から涎が微かに垂れており尋常な状態でないことが分かる

人質に動きがあった。犯人の手の力が緩んだのか一瞬だが振りほどこうとしていたがすぐに抑えられる


「俺を囲んでるんじゃねえ!早くここから失せやがれってんだよ!!」


犯人は更に興奮したのか、銃口で女性の顔を何回か小突いた

乱暴な銃の扱い方だ、何時暴発してもおかしくはない。犯人は隙だらけだというのに誰も飛び出す人間が居なかった

慶介はゆっくり銃の照準を合わせた。はるか昔に訓練所で教えられた教科書通りの動作は全く錆付いておらず

スムーズに、まるで精密にプログラミングされた動作を行う工作機械のように銃を構えた


(そうだ、こんな暴力団崩れの悪人に配慮する必要なんてない。あの女だって社会人の癖に昼間からパチンコで遊びまわっている人間の屑だ

あいつ等を取り逃がしでもしたら妻はどうなる?生まれたばかりの真奈美が被害に遭ったら上層部の馬鹿共は責任を取るのか?

金をばら撒くだけしか能が無い。お間抜けなポピュリズムに迎合するだけの政府は俺の家族がこいつに殺されたとして、お約束通り金を払って水に流すのだろうか?)


犯人は何事か喚いていた。交渉に臨んだ若手警官の態度が気に食わなかったらしく、理解できない事を大声で錯乱したように叫んでいる

もはや一刻の猶予も無い、犯人を取り逃がせばそれで終わりなのだ


(俺は俺の正義を実行する。その事に誰にも口出しはさせない、俺は悪を裁く為に警官になったのだ!)


慶介は僅かに躊躇いを見せた後、引き金を引き絞った

音速を超える初速で加速された弾丸は、きわめて正確に直線距離を飛び一瞬にて犯人の左即頭部から侵入

皮を抜き、頭蓋を貫通した金属飛翔体はそのまま犯人の脳を破壊しつくした後、反対側の頭蓋に当たって止まったのだった


犯人の男が倒れた後、頭の中であの青年の笑い声が聞こえたような気がした





「あの刑事さん、人を殺して懲戒免職食らったらしいですね」


「ああ、理不尽な話だと思うよ。あの人は立派に責務を果たしただけなのに

つい最近、警視庁の上の方で汚職事件があってね、それで世間の目が厳しくなっていたのさ

無責任なテレビマスコミや新聞社がここぞとばかりに群がって

国民を守る警察の責任がとか、射殺された犯人の人権がどうとか言っている。テレビを見てみればそれはもうひどいもんだ

犯人より、事件解決に導いた刑事さんのほうが警察と併せて極悪人のように叩かれている」


「二度に渡る警察の不祥事…まあ見聞屋にとっては、これ以上無い格好のネタでしょう」


「国民も立てこもり犯に同情的な声が出て、発砲した警察官を責めている世論が圧倒的だ

まったく、どっちが被害者なんだか…?」


「看守さん。この国、いや…世界に万人が認める正義があると思いますか?」


「正義なんざ人が決めたら碌な事にならねぇ。神様なんて者が居て公平に裁いてくれるんなら楽なんだろうがねぇ」


「正義を実行したところで、多数の人間にも認められなければ意味が無いんです。【勝てば官軍】という奴ですね

大勢の人間にとって生活に直結しない出来事は無いものと判断されます。この日本ではその傾向が大きすぎるとも言えますが」


「まぁ、無関心の悪意ってこった。俺だって下手に善意で動いて非難を浴びたくは無いからな」


「それに…」


厳重に鍵がかけられた小部屋の奥からの声は一旦言葉を切った


「他人の不幸は蜜の味といいますからね。人間は基本的に善性を指向するものと聞きますが

戦争はいつまで経っても無くならない。政治に無関心な癖に目先の金銭に狂った国民は先細りの未来になるとも知らず、税金をばら撒くだけの愚かな為政者を選び続ける

食うものに困る国があったと知り、同情しても寄越すのは雀の涙程の金を寄付するのみ…そのお金も中抜きで現地の人間には殆ど恩恵が無い

そして世界的に見ても言える事なんですが、信者から財産を搾取する悪質な新興宗教はいつまで経っても減る気配を見せませんし、KKK等の白人団体による人種差別は今でも続いているんですよね」


「それは必要悪ってもんじゃないのかい?どこの国もある程度の濁りはあるもんさ

俺も真面目に考えた事があったがね…この国では考えるだけ無駄なのかもしれん。みんな自分の事しか見えていない」


「ならば、やっぱり人間の心は限りなく邪悪に近い悪に属しているじゃないんですか?

自分だけ良ければ、我関せず…看守さんの言う無関心の悪意を誰もが持っている

やっぱり、愚かな生物である人間は宇宙に出ることなく滅ぶべきなんじゃないかってね」


牢の主たる青年・白井洋平は低く唸る獣の様な声で笑う

まるで悪意塗れのこの世界のあり方そのものを滑稽と嘲笑しているように看守は思えてならなかった

選挙終わりましたね。皆さん。朝早く投票所に行って一番乗りで投票箱の中身を確認しましたか?もしかしたら投票所の綺麗なお姉さんと話せたかもしれませんよ…


…っと冗談は置いといて。どうでしたか?あなたの目に狂気の青年・白井洋平はどう映りましたか?

実を言うとこの作品は価値観によって感想が変わってくると思うんですよ。狙った訳ではありませんが、この作品は群像劇に近い作りで三人称になっています。どの人物に感情移入し感想を抱いても自由なのです

人によっては刑事さんが極悪人に見えたり、白井が正義の味方に見えるかもしれません。文章一つで見方が変わるというのは面白い事だと思います


ちなみにこの作品を書いたのは。2006年に栃木県で警察官が中国人に発砲し死なせた事件がきっかけです

不審な行動を取っていた中国人研修生に警官が職務質問した所、凶器を持って警官に襲い掛かります。やむなく警官は発砲し、中国人は死亡。中国国内の遺族達が警察官に損害賠償を請求し、裁判沙汰にまでなった事件です


まぁ、まったくもって後書きで言う必要は有りませんが、言わせて頂きます

国民の命を守らない警察官に何の価値があるのでしょうか?

もし裁判の結果次第で警察官が萎縮し、凶悪事件が起きたときに発砲できなければいったい何の為に私達は彼らに税金を払っているのでしょう?

凶悪犯にとって抑止力の無い警官が、本当に治安を守れると思うのでしょうか?


自分の言いたい事は以上であります。この問題について独自に興味を持ち貴方なりに考えてもらえれば幸いです

大変失礼しました。本作に目を通していただいた読者の方々に感謝いたします

それでは、また…

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