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赤い瞳と二つの国

作者: 月石 靡樹

 冬の長い北の国を覆うのは今や雪ではなくある女性の話題だった。

 誰が招待したのか、誰の知り合いなのか、いや、最初からそこにいたのにあまりの美しさゆえに世界が嫉妬して人には見えないように隠していたのではないか、そんな噂が飛び交うほど彼女の人並み外れた美しさは男どもの視線と心を鷲掴みにしていた。

 年は二十歳前後。あどけさなも幼さも色気も艶やかさも、その全てを全身に漂わせ、長い髪は薄き通る海の色。瞳は最高級の紅玉石より輝き、踊る姿はまさに女神の化身とさえ言われた。物腰は絹のように柔らかく、時折見せるいたずらな笑顔と薄く漏れる甘い声は誰に媚びるでも言い寄るでもなく、ただそこにあるために存在し、毎夜変わる絢爛でしかしいやらしさを感じさせないドレスも相まってか、誰も彼女の出を気にするものはいなかった。彼女は当たり前のように次に行われる舞踏会の招待状を誰かから受け取り、煙のようにいつの間にか消えていった。

 彼女が舞踏会に出るたびに容姿も家柄も、もちろん財も整った男性たちから求婚を申し込まれたが彼女は首を縦に振ることはなく、相手の尽きることがない舞踏だけが続いていった。

たまたま訪れた吟遊詩人は彼女が踊る様と彼女が支配する舞踏会を形容し「北の大地は一人の女性が雪となり他のもの全てを覆いつくした」と謳い、とある高名な音楽家は「彼女のために音楽は存在し、他のものは彼女に踊らされているに過ぎない」と呟いたという。

 しかし当然のことながら彼女のことを快く思わない女も多かった。社交の場ではあったが自分の夫を、もしくは思い人をいきなり現れた出所のわからない女に奪われるのはどうしたって面白くないのである。

彼女が女たちの嫉妬に囲まれ、身に覚えのない悪い噂をたてられるようになった頃からだろうか、彼女は毎夜燃えるような赤いドレスを着て来るようになった。北の国では身の潔白は新雪と同じ無垢な白を着て舞踏会に参じるのが習わしだっただけに彼女の行った行為は女たちへの当て付けというよりは、その習わしさえ燃えてしまえばいいと周囲に無言で叫んでいるようにも感じられた。

 そんなある日、噂を聞きつけた南の国の使者が王子の婚約者を探しに北の国へとやってきた。

 南の国の王子といえば最愛の母君を亡くされてから婚約者さえ選ばず、母親の愛した国を良くするため父である国王の右腕として国政に精を出していると評判で甘いマスクに情熱的な気質を併せ持ち、それでいて女性には紳士に接することで民を愛し、また民に愛されたよき王子だった。それは冷たく、国政まで冷えかけた北の国にとっては羨ましい限りの世継ぎであり、本来なら鳥ですら縦断することのない北の大地にまでその名が轟くほど彼の噂は広がっていた。遠い昔、些細ないざこざから争いに発展して以来、両国には大きな壁があっただけに今回の件で北の国は信頼回復と、経済を発展させようという思惑が少なからず存在した。故に、出所の分からない彼女には上手く玉の輿に乗ってうまく立ち回って欲しいと願う国の重鎮がその日に限っては多く見受けられた。

 使者が真っ赤な彼女を一目見て、それが王子に相応しい女性だと直感で判断した。

長年王子に仕え、彼の母君にも世話になった彼が目を疑うほど、彼女の容姿は若き王妃に瓜二つだった。何より南の国を象徴するその赤いドレスは若い日に王妃が幼い王子を手にとって舞踏会へ足を運ぶ際、必ず着ていたドレスとそっくりだったのだ。

 彼が踊りを終えて一人佇む彼女に声をかけた。

 「素敵な踊りでしたお嬢さん。もしよろしければ私と一曲お手合わせ願えませんか?」

 腹に手を当て身体を折った彼は紳士的に、いつも彼女を誘う男と変わらないように頭をたれた。

 しかし彼女は珍しく露骨に嫌な表情をしてみせたが、すぐに元の品を取り戻し和やかな笑みを携えて言った。

 「ごきげんよう南の国の方。しかし私も相手を選ぶ権利くらいはありますわ。私が欲しいならご自身で出向くようお坊ちゃんに申し付けていただけますか?」

 「しかしながら主人は公務が忙しいので本日はここにいないのです」

 「あら、南の国では女性を値踏みをするような真似をなさるのかしら? それとも公務とやらにかまけて女性の手さえ取れないほどの子供が国政を担っているのでしょうか?」

 会場は人も音楽もその全てが凍りついた。

 誰かが彼女へ謝罪を促すべきところなのだろうが、思考を止めた使者が言葉を発する前に彼女は真っ赤なヒールで静寂を壊しながら会場を一人後にした。彼女がいなくなってもしばらくは誰もが氷漬けにされたように凍りついたまま、再び南の国と疎遠になってしまうのではないかという懸念だけを浮かべ、無言の使者が帰るのを静かに見送った。


 その件をきっかけに彼女は舞踏会への入場を禁じられた。今まで彼女を擁護していた男たちも一転して彼女を罵り、舞踏会の中央で誰よりも美しく赤いドレスを翻していた彼女はどの舞踏会からも姿を消した。

 彼女のいない舞踏会は以前にも増して冷え込み、それは北の国の景気を影響しているようにも思えた。南の国からなにかあったということはないが雪に閉ざされ、外界との接触を遮られたこの最北の地はもうすぐ訪れる春まで毎年こんな状況が続くのである。

 そんな国へ温かな風を纏わせ小奇麗な便りが届いたのは雪の降ることがめっきり少なくなったある晴れた日のこと。南の国の王子が先日の謝罪と、次の舞踏会へ参加したいという打診の内容に北の国の重鎮たちは驚きと同時に喜びを隠せなかった。

 だが春が来たかのように沸いた頭にすぐさま冷たい風が吹きつける。あくまで目当てはあの赤いドレスの女。頭をよぎるあの赤に男たちの顔は青くなった。誰一人として彼女がどこに住んでいるかを知らず、連絡する術を持たないのだ。国を挙げて国賓を迎える舞踏会はその国賓が求める相手を見失い、国中が冷え込んだ景気以上に頭を抱える結果となった。もしもこの舞踏会の中央で王子と赤いドレスが踊っていなければ、それはすなわち国の存亡にかかわる危機的状況になる。皮肉にもあれほど追い出したかったはずの赤いドレスの女を見つけるために国中が奔走する結果になったのだ。


 短い春の近づく冬の終わり。懸賞金までかけて国中に呼び掛けたにも関わらず彼女の居所はつかめないまま、その日はやってきた。

舞踏会は国をあげて行われた。会場は城の大広間を使い、そこに美しい装飾を施し、国を代表する料理人連ね、名の通った演奏家を揃えて客人をもてなすための全てを整えた。あとは主役が揃うのを待つばかりの舞台は静かに幕を開ける。

 南の国の王子が現れたのは舞踏会が開かれて間もなくのこと。細い身体は褐色に染まり、背が高く甘いマスクで静かに微笑む王子は北の国に象徴される白を着て赤い絨毯の上をたった一人で歩いていく。その姿に一瞬、音楽は止まりダンスを踊るもの全てが左右に割れた。

 彼は国王と王妃に挨拶を交わし、招いてくれたことに感謝の意を示した。長旅の疲れもあることだろうと二人は彼を貴賓席に座ることを促し、舞踏会の様子をしばらく眺めていてはどうかと促した。王子もそれを了承し、最高級の葡萄酒で両国の繁栄に乾杯をし優雅な料理に舌鼓を打った。

 「時に王様。先日は私めの使者がとんだ失礼をしてしまったようで申し訳ありません」

 南の国は昔、男性ばかりが生まれ女性が極めて少ない時代があったことから女性に対しては節度を持ち、敬い、大切にするという国令にも似た習わしがある。

 「話は聞いている。こちらこそ客人に失礼な真似をした」

 「いいえ。それで、その女性というのはどちらに? 直接謝罪したいのとダンスのお相手をお願いしたいのですが・・・」

 「それが・・・」

 慌てる家臣たちが口をつぐませると、貴族の娘たちが彼の前に姿を見せた。

 「はじめまして南の国の方。できればダンスのお相手をお願いできませんか?」

 そう言われて無下に断るほど王子も社交というものを分かっていないわけではない。代わる代わる彼の手を握るものが現れ、王子もその全てに嫌な顔一つしないでステップを踏んだ。華やかで力強く、守られているという安心感に包まれるような情熱的な踊り、それはいつしかフロアの中央でただ彼の一人舞台になっているようにさえ思えた。そして彼の相手をした女性は喜び以上に彼と上手く踊れなかったという歯がゆさをかみ締めた。

 彼とまともに踊れるのはきっと彼女だけだろう。いつしかそんな話が誰かからこぼれ、ついに王子の相手が務まる踊り手もいなくなってしまった。

 貴賓席に戻る彼は国王へ一人になりたいと言ってバルコニーへと足を運んだ。

 闇の中でさえ輝く広大な白を目の当たりに、冷たい風を受け、その長い金糸のような髪が彷徨うように揺れていた。

 背中で窓が閉まる音が聞こえても彼は振り返らず、共にこの地へやってきた側近の一人だと思った。

 「悪いけど一人にしてくれないか?」

 「どうしてです?」

 驚いて振り返った彼の目に優しかった母親の面影が蘇る。声も口調も、その顔も、真っ赤なドレスも母親そのものの女性がそこに立っていたのだ。

 「キミは?」

 「わけありまして舞踏会に参加できなくなってしまい踊る相手がいませんの。どうか一曲お相手できませんか?」

 このときすでに彼の心は決まっていた。この人こそが自分と共に長い旅を歩む人だということを・・・

 「喜んでお相手いたします」

 彼は地に膝をつき片方の手を胸に当て、もう片方の手を差し出して頭を下げた。雪のように冷たい彼女の体温が差し出された手に優しく重なる。今まで幾人もの女性とダンスを踊った彼だが今回ばかりは前例がないほど緊張し、気持ちが高ぶっていた。

 「お上手ですね。女性の扱いにも慣れていらっしゃるのかしら?」

 「ご冗談を。合わせるのが精一杯です。あなたこそ男性を手玉に取るのが上手そうだ」

 二人はそんなことで笑い合い、白い大地を背景に風の音を聞きながら、黄金の月だけが見守るバルコニーでたった二人の舞踏会を始めた。

 「どうしました?」

 あまりに言葉を語らず、じっと彼女を見ていた王子に彼女は訝しげに聞いた。

 「あなたの美しさに見とれていたのです」

 甘美な口説き文句でさえ彼女は余裕の笑みで受け止める。

 「そういうことを臆面もなく言える方ですのね。いかにも南の国の王子様、といった感じですわ」

 北の国では南の国の男を陽気で明るく、情熱的で女性になれなれしいという噂があり、反対に紳士的だが地味で無口な北の男に慣れてしまっている女たちはその情熱さを求めているという節があった。

 「あなたを南の国へ連れて行けるのでしたらどんなに美しい言葉を千並べても足りません」

 「そんなに言われては朝が来てしまいますから結構です」

 「そうですね。太陽が昇ってしまえば太陽があなたの美しさに嫉妬してしまうかもしれない。あなたは太陽よりも美しい人だ」

 「太陽・・・」

 「そう、太陽だ。あなたはずっと曇っていた私の心に燦々と降り注ぐ光をもって私の前に現れてくれた。こんなに喜ばしいことはありません」

 情熱的なアプローチにも彼女は軽く受け流すように薄く微笑んで見せた。そんなしぐさを彼はずっと昔、幼いころにずっと近くで見ていたような気がする。幼いころは身体が弱く、泣き虫で時期国王などになれるものか、と大臣たちの陰口がささやかれる中、彼は母親である王妃にありったけの愛情を注がれて育った。舞踏会に顔を出せばいつもその赤いドレスのすそにしがみつき、びくびくとしては母親の優しい笑顔に救われていた。

 彼はずっとこんな人が現れるのを待っていた。

 「時に南の国の王子様」

 「なんです? 赤いドレスのお嬢さん」

 「私の知り合いが昔、南の国で宝石の細工職人をやっていたんです」

 「ほう。ではもしかしたら私はその人を知っているかもしれません」

 しかし彼女は首を振った。

 「いいえ。それはもう何十年も前のことなのであなたが生まれているかどうかという頃の話なんです。若く才能に溢れ、毎日を宝石と向かい合う彼はあるとき、生まれて初めて恋をします」

 嬉しそうに微笑みながら話すその顔は決して王子との踊りに酔いしれているというわけではなく、愛された思い出を目の前に映しているように見えるほど、自分の世界に入り込んでるようだった。

 「しかしそれは遠く、身分違いの恋。しかも彼女には婚約者もいて彼が付け入る余地などどこにもなかったのです。ですから彼は自分の最高の作品を彼女にプレゼントすることを決めました。しかし彼の恋心を知った国の重鎮は激怒し、彼を国外へと追放しまいます。会いたい、でも会えない。そんな妄執が彼を狂わせるのにそう時間はかかりませんでした。数年後、彼は死にました。彼が彼女に渡すはずだった作品を含め、その全てを自分の屋敷の地下へ眠らせて・・・」

 「見えてきませんね。いったいなんの話なんです?」

 踊っていたはずの二組の足がそこでぴたっと止まり、二人は繋いでいた手を離した。

 そしてドレスを翻し、柔らかい笑みを浮かべて頭を下げた。

 「とても楽しい夜でした、南の国の王子様。できればこのままずっと踊り続けていたいのですが・・・」

 そう言って彼女は彼の身体へ倒れるように寄りかかった。彼はそんな彼女の肩を抱くようにして支え、お互いの身体が一つに重なった。

 「私、太陽が大嫌いですの」

 いつもならそのまま強く抱きしめるはずの王子の手からだんだんと力が抜けていく。支えていたはずの王子がいつしか彼女に支えられているような格好になり、彼女は重なる体温をそのままに言葉を続けた。

 「晩年、その細工職人は自分のもてる技術とその財全てを投げ打って愛した人そっくりの人形を作ることに執着したんです。遠くに思いを馳せながら、触れたいと願った手を、頬を、髪を、唇を、自分の細工した宝石の輝く煌びやかな衣服を、思い出の中にいる美しいままの彼女を忘れないために・・・自分の思いを無くさないために・・・そして・・・」

 距離を置くとそのまま彼は倒れた。腹部には果物を切る小さなナイフが刺さっており、真っ白な服が彼女の赤を染み込ませたように徐々に変色を始める。

 彼女はそんな彼の姿を嘲るように見下し、次の瞬間、なんということかその手で自分の美しい右目を抉り出したのだった。痛む素振りもなく鮮血もないことから、それがあたかもポケットから何かを取り出すような自然な動作に見えてしまう。

 だが目の前にいる彼は驚きと失った体力の影響で声を出すことさえできなかった。ただその光景に褐色に焼けた表情は蒼白へ変わる。

 「これが父からあなたの母親に渡せなかったプレゼントです。どうかお受け取りください」

 そう言い残し、バルコニーには横たわる南の国の王子と美しく輝くそのドレスより深い赤を漂わせた宝石だけが残された。

 この件がきっかけになり、両国は春を待たずに再び争いを始めた。

 争いの中、そのきっかけを作った者の存在などは忘れられ彼の残した『最高傑作』は誰の目にも留まることなく、戦争は当然のことながら南の国の勝利で終わった。しかし争いの傷跡以上に南の国では王子の損失が大きく、戦争後まもなく国王も無くなった。弱った両国の実権を握るべく西の国の東の国は争いの準備を始めていたが、北の国の国王が二つの国を統合させるという案を出し、二つの国は一つになり、その後復興を見せる。

 そんな折、元北の国の外れで今はもう誰も住んでいない苔と蔦と草に囲まれた洋館が見つかった。中には無数の蝋人形が存在し、そのどれもが同じ女性の姿をしていたという。クローゼットの中にしまわれた色とりどりに輝く絢爛なドレスは少し前に寒い北の民の心を魅了していたものだった。

 それが争いの引き金を引いたあの女の棲家だということは分かっており、地下の光がまったく届かない小さな部屋で彼女は蹲るようにひざを抱えて座っていた。当然のごとく彼女は牢獄へと幽閉され、その屋敷もすぐに焼き払われた。

 建国一年の記念の日に公開処刑と題されて国の中央広場で行われた彼女の断罪式は赤い死神の最後を見届けようと、多くの国民が集まった。

 空は雲ひとつない、王子の大好きだった太陽が燦々と照りつける正午、灰色の囚人服を纏いフードをかぶせられ、絞首台を静かに上る彼女に絶命の色はなく俯いたままの顔はどこか嬉しそうだった。それが諦めからくるものなのか、それとも王子を殺した罪からの開放される喜びを意味するのか、それはそのときが来るまで誰にも理解できなかった。

 刑を執行する役人が彼女に尋ねた。

 「最後に言い残すことはないか?」

 そう言われて初めて彼女は空を見上げた。それまでフードに隠れて見えずにいたが、よく見ると彼女の顔や手、衣服から露出している全ての肌が歪に変化している。

 「これが、太陽・・・ああ、キレイ・・・」

 その後、彼女が発した言葉は全てが繋がりを持たず、同時に糸の切れた人形のように彼女はその場に崩れ落ちた。

 もはやそのとき、彼女は人ではなくなっていたのだ。すでに爛れた蝋人形と化していた。

なぜそれが今まで動いていたのか、なぜ今まで生きながらえたのか、それは誰の理解も超えた話で、それほどまでに彼女を作った者の怨念にも似た執着は常人の域を脱したことが容易に想像できる。

 その場にいた誰もがそのおぞましい光景に息を呑み、次の瞬間に絶叫が会場を包む頃、太陽の熱で溶け続ける人形は生まれた喜びも、愛された記憶も、舞踏会での栄光もその全てを失い闇の中へ落ちていった。彼女の細部にあった長い髪はこの世に生を受けた北からの風に流され、爪と歯とその眼球だけがフードの下から見つかった。後に調べた結果、それらは全て宝石を加工してできたものであり、大国になったその国でさえそんな技術を持った技師は一人もいなかったという。その全ては博物館に展示され、特にその紅玉石は何度も何度も盗まれては再び、元の場所へ返ったという。

北と南、その二つの国が合わさってできた大国の名は皮肉にも両国に縁のある情熱と生命をつかさどる色の名。南の国の王子がもっとも好んだ色であり、王子が生涯唯一愛した女性を象徴するもの。

 『赤の国』

 その国の最初にできた法律はその国の名前に反して、

 「舞踏会に赤いドレスを持ち込むな」

 だったという・・・

 


たまにはこんなお話も書いてみます。

よければ一読くださいませ。

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[一言] 何度も読み返しました。切なく、美しい月石先生の世界観が大好きです。
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