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指切り  作者: かの
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紫陽花

祖父母の家に引き取られ気がついたら8ヶ月。

降り注ぐ梅雨時の雫は私の頬を伝う。

誰にも気づかれないこの雫は私だけのもの。

祖父母は私に興味が無いみたい。

食事や必需品は与えられるけどおおよそ愛を感じたことがない。

5歳の、祖父母の家を訪れた。

その時の祖父母は輝いていたはずなのに。

しかし、よく考えてみれば当然で、私の両親は私の親であると同時に彼らの息子、娘であったわけで。

私がいることで彼らには私の両親の記憶が残り続けるだろう。

彼らの息子、娘は死んだ、という現実が。

そんなのは辛いだろうからここを離れることにした。

行くあてなどない。

机に

「探さないで。あなたたちのため。」

というメモを置いて裏口から外へ出る。

相変わらずしとしとと雨が降っている。

生きたい、そんな感情を持っていながら自ら着実に死に向かう私の体はきっとあの時壊れたんだ。

脳みそと体が分離している。

そう思っていたけれど実際には彼らのために自己犠牲してるに過ぎない。

体は何もおかしくなかった。

自己犠牲していることを認めたくなかっただけである。

さまよい続け丸一日ほど経っただろうか、それなりに栄えている場所へ辿り着いた。

体が動くことを拒んでいる。

つい昨日まで燦々と輝いていた星たちは街灯の騒がしさに気が滅入ってしまったようだ。

そんな中月光だけは道を照らし続けている。

少し眠いな。

いい具合に眠れそうな路地があった。

人もきっと通らないだろう。

少しだけ仮眠をする。

「君...大丈夫かい?」

そんな声に気づき目を覚ますとスーツを着たいかにもリーマン風の男が屈んでいた。

「何...?」

ここ半年声を出したことがなかったのに恐怖からか、はたまた救いを求めていたのか声が出た。

「こんなところで寝ているから心配で声を掛けたんだ。ご両親は?」

「死んだ。」

いちばん手っ取り早いだろう。こう伝えた。

「あ、ごめんね、面倒見てくれてる人とかははいたのかな?」

「祖父母。抜け出してきた。」

「理由とかって教えてくれるかな?」

「教えてあなたには何ができるの?」

「...」

彼は黙り込んだ。

「他に用がないならさようなら。」

「あ、あの、もし良かったらうち来ない?一晩だけ。そしてその後施設とかにいかない?君の助けになるかは分からないけど...」

「何でそこまでするの?」

「僕、教師をやっててね、子供たちを助けたいって思うんだ。」

「そう、だったら、いく。」

そうして、シャワーや服、ご飯も振舞ってもらい、暖かな布団で眠った。

人の優しさはやっぱり好きだな。これだけはずっと変わらない。あの大罪人たちが教えてくれたことだから。

そして次の日、トントン拍子に話は進み、1度祖父母宅に戻ったけど最終的に施設に行くこととなった。

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