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スキル


教会からスキルを付与して貰ったにも関わらず、ファサード一家は首を傾げるしかなかった。

家に帰ってきて食卓を3人で囲む。家族会議だ。


「歌姫って…私、初めて見たわ。どんなスキルなのかしら…」


「俺もだよ…でも、歌姫ってことは歌えばなにかわかるんじゃないか?」


「ああ、そうよね。…ルーナ、なんでも良いわ。少し歌ってみて?」


「うん!」


なに歌おうかな…あ、この間母が歌ってた羊飼いの歌でも歌おうかな?


「ひつじを〜みちびくよ〜。ヨーレイ〜ルーララー」


「……」


「……」


「あれ?」


うんともすんとも言わない。

静寂だけがこの場を包んでいた。とっても気不味い。

外で羊が呑気にべーと鳴いていた。


「ごめんなさい…」


すると両親もぽかんとしていたが、ハッ!と気がつくと空かさずフォローする。


「素敵な歌だったわ!今回は不発だっただけよ!少しずつ解明していきましょう?」


「そうだ。戦闘系のスキルじゃなくて良かった」


母は少し期待しており、父は娘が戦場に行かなくて済んだ事を喜んでいた。

私も恐ろしいスキルじゃなくて安心したけど、不発で肩透かしを食らった気分だった。



その夜。


私は両親が寝静まったのを見届けるとこっそりと家を抜け出し、街の外れにある畔に着く。

昼は不発だったが、私はあれから少し考えた。


あの時、歌った際に少しの倦怠感があった。

と言うことは魔力を使ったことに間違いはなかった。


もしかしてだけど、試す価値のある仮説が思い浮かんだ。

それは…


すぅ、と息を吸うと私は前世の世界の歌を歌った。


それはお星様の歌。きらきら星。

上を見上げれば満天の星空。


すると、目の前でキラキラと星屑が煌めく。


「そっか…」


そうだったんだ…私の歌姫のスキル。

かなり厄介なスキルかもしれない。


まさか歌は前世の世界の歌じゃないと魔法が発動しないのか…

私が作詞作曲した訳じゃないのにこっちの人は私が作ったみたいになる…

申し訳なささが半端なかった。


でも、どんな歌にはなんの魔法が発動するのかを知っておかなくちゃならない。

こうして私の密かな実験が開始したのだった。


両親が心配そうに私を見るのを横目に見つつ、あれから一週間が経過した。

あの日から親の前で歌ってないので私自身が落胆したのだと誤解してるみたい。


私のスキルの条件がややこしいので申し訳ないけどそれに乗じて、

落胆したフリをすることにした。


実際、夜の実験で歌うと魔力の消費が半端ないので、昼も歌うとなるとしんどい。


実験の結果、私の歌には様々な効果があるらしい。


初めて歌ったきらきら星は星屑を出す。

合唱で有名なコスモスは攻撃力が高くなる。

アーメンジグレイスは傷を治す。

モルダウは水魔法。

心の瞳は精神が安定する魔法。

木星は防御壁を張る。


などなど色々だった。

鼻歌でも発動するけど、やっぱり歌詞を乗せて歌うと効果は高い。

少しずつ解明出来れば良いけど、やっぱり3歳だから魔力があんまりない。



あれから、歌に秘められた魔法を知っていくうちに

いつのまにか五年が過ぎようとしていた。

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