第4話: 「友達の誤解」
星川凌の魔法が暴走する場面に立ち会うたびに、私は彼に対してもっと何かできないかという気持ちが強くなっていた。彼が自分を責める度に、私は彼を支えたいと思う一方で、限界を感じることもあった。星川君の魔法の力はとても強く、私一人で彼を守り続けられるかどうか不安になることもある。それでも、私は彼を支え続けたいと決意していた。
しかし、私たちの距離が近づくにつれて、周りからの視線も少しずつ変わってきていた。
その日、私はいつものように友達の香織と昼休みを過ごしていた。カフェテリアでランチを食べながら、香織と軽い話題を交わしていたが、突然香織が真剣な表情でこちらを見つめた。
「ねぇ、美希、最近星川君とよく一緒にいるよね?」香織が切り出した。
私は一瞬驚いたが、特に隠すつもりはなかったので素直に頷いた。「うん、まあね。ちょっと色々あって…」
「色々って?」香織が少し興味深げに私を見つめている。
私は星川君の魔法のことについて話すことはできなかったが、なるべく嘘をつかずに説明しようとした。「あの…星川君、ちょっといろいろ悩んでてさ。それで、少し話すことが多くなったんだよね」
「悩み?」香織は首をかしげて、さらに深く聞きたそうな表情を浮かべた。「なんか、そういう感じには見えないけど…それって、もしかして恋愛とか?」
「えっ、違う違う!」私は慌てて否定した。香織の誤解が広がってしまうのは避けたいと思ったからだ。「ただの友達だよ。星川君がちょっと悩んでるから、それを聞いてるだけなんだ」
「ふーん、でもさ、美希、なんか星川君のこと気にしてるよね?前はそんなに話してなかったのに、最近やたらと二人でいることが多くなってるし、私から見ても…何かあるんじゃない?」香織はからかうように言いながら、ニヤリと笑った。
その言葉に、私は思わず口ごもってしまった。確かに最近、私は星川君のことを気にかけることが増えていたし、彼を助けたいと思う気持ちも強くなっていた。でも、それが恋愛感情なのかどうか、私はまだはっきりと自分の気持ちを整理できていなかった。
「いや、本当に何もないよ。ただ、星川君が大変そうだから、友達として助けてるだけで…」私は自分に言い聞かせるように答えた。
香織は私の顔をじっと見つめ、しばらく考えた後、少し納得したように頷いた。「そうなんだ。でもさ、気をつけなよ?星川君、すごくクールでかっこいいから、他の女子も狙ってるだろうし、何かあったら嫉妬されちゃうかもしれないよ?」
「えっ…嫉妬?」私はその言葉に驚いた。そんなこと、全く考えていなかった。
「うん。ほら、星川君ってあんまり人と話さないからさ。彼と仲良くしてるのが目立つと、他の女子がちょっと妬んだりするかもってこと。特に美希みたいに普段は目立たないタイプが、突然注目されると…」
香織の言葉に、私は少し不安を感じた。確かに、星川君は他の生徒たちからミステリアスな存在として見られているし、クラスの女子たちの間でもひそかに人気がある。私が彼と頻繁に話していることが、他の生徒たちにどう映っているのか、今まで深く考えたことはなかった。
「そうか…でも、星川君とは本当に友達だし、そんなこと気にしなくても大丈夫だと思うよ」私は自分に言い聞かせるように、そう答えた。
香織は少し微笑みながら肩をすくめた。「まあ、そうだね。でも、美希が悩むなら、いつでも相談してよね。私、応援するから」
その言葉に、私は少しホッとした。香織は私のことを心配してくれているだけで、特に悪意があるわけではない。けれど、星川君との関係が他の生徒たちにどう見られているか、これからは少し気をつけなければならないと感じた。
その後も、星川君との時間は増えていった。彼の魔法のコントロールが不安定な時は、私はできるだけ彼のそばにいて、彼を落ち着かせるように努めた。私ができることは限られているけれど、少しでも彼の力になれるなら、それで十分だと思っていた。
けれど、私自身も少しずつ気づき始めていた。星川君を助けたいという気持ちが、ただの友達としてのものではないのかもしれないということに…。




