表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/164

第74話 自爆

 ウィズダムが叫ぶ。


「キャンセルラーは林の中に潜んでる、チャトラン!」

「『カレイドローン』!

 狙撃後動いていても、そう離れてないはず――炙り出す!」


 効果はすぐに出る。装甲服と一体化した特殊なライフルを携え、やつは林から這い出してきた。


「畳み掛ける!」


 向こうは長身のライフルをこちらへ速射し、カレイドローン端末のいくつかとアナグラムが被弾して倒れる。

 背後を気にしている合間に、踏み込まなくてはならない。


「行って、チャトラン!」

「ッ、近接戦はルービックたちの担当でしょうに!」


 間隙を縫って、ウィズダムの技が発動する。


「『ウィズダムペンデュラム トラッキング』!」


 攻撃はキャンセルラーの仮面を剥ぎ取った。

 チャトランは動きこそ止めないが、唖然となる。

(女――にしても、セィルロイドと似ている?)

 厳ついスーツに身を包んでいるからわかりにくくはあったが、骨格は確かに女性のそれだ。


「兄妹か!」


 やたら二人で行動することの多いと思えば、そういう裏があったのかもしれない。


「シュー」「面が割れたのにまだその呼吸やるの!?」


 彼女の装甲服、その右襟には二つの器物が内蔵されて光っている。

(擬似クラフト――ナンバーが言ってたデジタライズクラフトってやつか!

 狙撃はとかく、鎧のなかにふたつも――)


「並列起動、まさか。ナンバーのやつと同じ」

「べらべらとよく喋る」「!」


 チャトランはアンビバレントステッキで、砲身とのしのぎを削りあう。


「キャンセルラー、そのふたつは!」

「碑郷から提供された、フリーセルとゴルフのクラフトだ。

 今からお前たちを殺す」

「くっ」


(どちらがどちらか知らないけれど、帝国がクラフトの技術を持っていたなんて!

 彼らはモノリスを解析したがっていた、おおよそあそこら辺を口実に取り引きを――)

 砲身の周りにデジタライズトランプらが顕現する。

 フリーセルの権能だろうと想ったのに、根拠はない。

 ナンバーのやつはソルリティアシリーズについてそれなり調べていたようだが、碑郷からふたつもが横流しされたと聞いたらどんな顔をしたものだろう?


「よしなさい、それはあなたの生命力を」

「二人分だ」「は?」

「私と兄の魂が載っている――半端な貴様らに負けたりしない!」


 気迫が違う、兄の絶命をスコープ越しで視ていたのもあるが、そんなことはチャトランたちに知る由はない。


「ナンバーというやつを散々紛い物とコケにしていたお前だが、この結果はどうとるのだ?

 やつはひとりで碑郷を背中に立ち続け、貴様らはやつのお人よしに甘んじている。裏切り者は何度でも裏切る、信用されることはない」

「その通り、なんでしょうね――今更曲げる自分もないだけよ」

「ほかふたりと異なり、貴様は近接の決め手を持たない」

「ひとは変わるのよ、キャンセルラー、そう望み続けるなら――きっといつからだって」

「!」


 デジタライズトランプが、キャンセルラーの首元を切り裂いた。ナンバーから預かったトランプ束は、まだ彼女の手元に残っている。


「ナンバーの!?」

「あいつの命を削るのはしのびないけど、なんだって使わせてもらう!」


 襟に仕込まれたふたつのクラフトを抉り、そのまま首へとカードを振りぬいた。


 失血の量からしてキャンセルラーの先は長くない。

 襟を染める鮮血を止めることは叶わず、ならばとチャトランへ組みついた。


「なっ――!!?」

「これぐらいするに決まってるでしょう――兄の仇は叶わずとも」

「何を言って、捨て身か!」

「同じ血を、誇りに想いますよ、兄上」


 キャンセルラーの体表からガスのようなものが噴き出――

(セィルロイドの体質と同じ、発火能力か!)

 ゼロ距離で自爆される。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ