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第25話 紛い物の代償

 生け捕りにしたポリゴォンは三日間囚人服で椅子に縛られていたらしい。

 向こうからは厳しい目を向けられる。


「殺せ、生き恥など」「もう何度か死んだようなもんだろう、アンタ」

「――」


 ナンバーは監禁部屋へ変身したまま入った。


「単刀直入に言おう、メルキオは帝国に内通していたな?」

「なんの話だ」

「擬似クラフト、特に後発のデジタライズクラフト、あれはあまりに帝国の装甲服――君たちの着ていたものに似過ぎている。

 きみは妙に思わなかったか?」


 ナンバーが立ち会う時点でいやな予感はしていたが、いよいよ話がきな臭くなってきたなと、ポリゴォンは嘆息する。


「……あれが帝国の武闘官服に?」

「そうだ。きみのは俺が吹き飛ばしてしまったけどね」

「知らん、初めて聞いた」


(ポリゴォンは嘘をついていない、機密を漏洩したくなければ、こいつならそも一言も口を聞くまいし、こちらの出方をうかがっているな)


 そう考えれば必然の反応だったが、ナンバーにはそれより懸念すべきことがある。


「確認が取れただけで十分だ」

「おい、こっちはまだ終わっていないぞ!

 お前にやられた腹癒せはどうしてくれる!?」

「過去は忘れろよ」「なっ――」

「というのは冗談で」「なんなんだお前は」

「紛い物のクラフトホルダーだよ、あんたらの知っての通り。

 だから俺は俺のクラフトのルーツを知りたい。あんたが話さないならそれでも構わないが、賢人――とりわけバルタザール卿は、腹のうちが読めない。もしかすると擬似クラフトの本格的な量産化も視野に入っているやもしれない。すると帝国とて対応に苦慮するだろう?

 帝国へ忠誠を誓うなら、きみは帝国へ不利になることはするまい、だが……俺の懸念は、三賢人がパビリオンを超えるホルダーを生むことだ」

「はっ、自分が役割を失うことを恐れているのか?」

「そうじゃない。ルービックと決着をつけるのは、俺だけだ。

 それをほかの奴らに邪魔されるなんて野暮な話があるかよ」


 しばらく、ポリゴォンは俯いて考えていた。


「データライズ化される前の旧世界では、救世主の預言に自らの王位を危ぶんだ王は、街の赤子らを虐殺した。……という伝承があったらしい。

 預言者ないし救世主の代わりに死んだのだから、無自覚の殉教者と見なしてもよかろう、あるいは見方を変えて生贄ともとれる」

「それで?」

「正規のクラフトホルダーはわからぬが、貴様の使っているそれ、ナンバープレイスクラフトは私の推測が正しければ」

「待って、一旦――ナンバープレイスクラフトの製造時、子どもが素材に使われている?

 ならきみらの戦闘服は」

「蠱毒という言葉があろう。我々は適性者を戦士に、非適性者の生命力で鎧を抽出する」

「――」

「貴様の姿と力は、他者の犠牲の上に成り立ったもの。

 そうだ……お前がその身に纏う死臭を拭いさることはできない」

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