第11話 異形の依り代
後退する三幹部を見届けたうえで、ビットマテリアール獣を向く。
ビットマテリアール獣とはなにか――取り込んだ人間の破壊衝動を素材に、モノリスから吐き出される異形だ。大抵の場合、依り代となった人間の日用品や思い出の品なんてものがモチーフになって手足を生やすが、今度のはよりにも白いルービックキューブだと?
依り代はルービックに似た誰かということか、ルービックはどうしてそれを看過できるんだろう、誰の自由を奪っているにしても、
「……らしくない」
マテリアール獣の顔には菱形結晶状の仮面がついており、それが異形を構成する顔にして核である。ようはそこさえ潰せばいい、技の発動を感知して顔の前に腕をかざすが、こちらとしたら関係ない。
(せめてこっちは仕留める!)
「『ウィズダムペンデュラム トラッキング・アルター』!」
ウィズダム由来の追尾槍だが、元々マテリアール獣の腕を貫いてそのまま仮面を叩き割る威力はある。
なのでマテリアール獣のワンパンキルにはこれを重宝していた。
三幹部の援護へかかりきりのルービックの合間を縫って、さっさと討伐できたものの、直後彼女が不自然に苦悶して見受ける。
(今のは――?)
正体の分からない不安、というか、いやな予感がした。
(まさかあのビットマテリアール獣の依り代は、モノリスの人間じゃなく――)
「ナンバーよくもッ!!!!!」
「!!?」
側面から突如いきり立ったチャトランが飛び込んでくる。
するとナンバーにももう確信するほかなかった。
「あのビットマテリアール獣の依り代、モノリス内の人間でないなら――まさかルービックか!」
「あんたはいつもルービックを傷つける、あの子を哀しませる!」
「それでも俺は――っ」
迷えばより多くを喪う、それがいやだ。
スパイダーとクロンダイクらは、すっかり少女たちへ押されている。
(ポテンシャルはとかく、実戦経験が足りていない……ほんとうに軍人なら、肉弾戦くらいなんとかしろよ)
本来のクラフトホルダーは、変身者の戦闘センスを自動的に引き出してくれるものだ。
彼らの体術にクラフトがきちんと応えれば、彼女らに遅れをとるなんて無様を晒すこともない。
いやそうなったら、こいつらはこいつらで彼女らを物理的に嬲り始めるだろうから、それも個人的には不快なのだが――かつての仲間としての情、だろうか。




