第10話 三幹部戦:Re
数日後、召喚された全長八メートル大のビットマテリアール獣なんて従えて、また八人がやってくる。
ポリゴォンは負傷した右腕を晒していたが、新しく生やしたらしい。
流石一度死んで蘇った男なだけあるが、傷痕は生々しく遺している。
「8:3《ハチサン》は流石にひどない?おまけにビットマテリアール獣まで!
……昨日にいたってはほぼ8:1《ハチイチ》だったけど」
「黄金碑郷にまだ戦える輩がいるとはな、ナンバー!
今日こそ決着をつけてやる!」
「決着したら二度と顔見せないでくれるか、ポリゴォン?」
昨日変身解除に持ち込まれた四人は、対策を示し合わせているようで、頷くとデジタライズの二人をそれぞれ二人がかりに襲った。
言うまでもなく散開し、それぞれが戦闘行動へ縺れ込む。
ポリゴォンが先行するも、帝国幹部三人はきっちり連携をとっているようで、モノリスが顕現する間、確実にナンバーの動きを封じ込めている。
(こいつらも連携が手馴れてきた、――ルービックは)
モノリスの隣に立っていた。八人の中で最も遠くへ位置している、一点突破をはかればあるいはたどり着けなくもないが、
(戦線を押し上げないと!
スパイダーとクロンダイクを、遊ばせておくわけにはいかない!
三幹部のいずれか、今叩き潰す……ビットマテリアール獣討伐は前提として)
手負いのポリゴォンを狙うも、その意図はすぐに見切られてほかの二人が阻んでくる――のをわかっていたので、ナンバーは前進したふたりの頭を横から掴んで挟む。怯んだポリゴォンヘ、動きの止まったふたりの身体を投げつけ、技を発動する。
「『ジグソープレートサーキュラー・アルター』!」
「ぬぉおおお!!?」「シュコー!?」「どわッ――」
チェーンソー状のプレートエフェクトが三方から顕現し、彼らの頭上へ押し寄せる。
セィルロイドが火の粉を散らして撤退しようとするが、他の二人は空間へ作用する類の特殊技を持っていない。ナンバーはそれらを織り込み済みで、
「まとめて潰れろッ!」
三幹部全員へ対応できる用意のあった。またポリゴォンにクラフトを狙われるなんてヘマをするわけにいかない。
しかし、
「『ルービックリスタルラミネート』!」
ルービックリスタルの上位技だ、クリスタル内部を積層とすることでエフェクトの耐用強度を高めている。
(あの距離から発動するなんて、やはり日増しに強くなっている?)
クラフトホルダーでも抜きん出た才能を持つ彼女が成長する余地は幾らでもあり得た。
主人公気質といえばそれまでだが、敵に回られると鬱陶しいことこのうえない。
(個々人相手ならここまで手間取らないのに――)
言い訳は必要ない、体勢を如何に立て直すか、必死で頭を絞っている。




