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第八十一話 新たな異形の者達

【登場人物】

ジュード 主人公 英雄王ジークの転生体 〈勇者〉

マリリア ジョルジア王マルスの末娘、ジュードの婚約者 〈聖者〉

シルリラ シシリー子爵夫人の娘 〈賢者〉

牛頭 名はゴルドル、牛の頭と脚を持つ異形の者

羽持ち 名はハグバ、鳥の羽と脚を持つ異形の者

蛇女 名はケララケ、腹部以下が大蛇の異形の者

獅子頭 名はゾルダン、獅子の頭と手足を持つ異形の者

馬女 名はクルル、馬の体に女性の上半身が乗った異形の者

鳥頭 名はザンバ、梟の頭と羽を持つ異形の者

港町に新たな軍艦が現れたのはケララケ達が来てから1ヶ月後の事だった。ケララケは桟橋に続くやや広い場所に兵を控えさせ、自身はその前に立った。ケララケの後ろに控える兵の大半は北から来た兵に偽装したハルザンド国軍で、近くの倉庫や商店にも兵が潜んでいる。ジュードとマリリアも兵に紛れていた。新たな軍艦から降りてきた兵はケララケに対峙する様に整列し、その前に3人の異形の者が並んだ。


「よぉ、ケララケ。腕が一本になっちまったな。ゴルドルとハグバはどうした。」


3人の異形の者の真ん中に立つ獅子の頭と手足を持った男が声を掛けた。背丈はゴルドルと同じぐらいだろうか。その右側には馬の体に女性の上半身が乗った者、反対側には梟の頭と羽を持つ者が立っている。


「久しぶりだね、ゾルダン。それにクルルとザンバだったか。ハグバはやられちまったよ。ゴルドルはここから少し先の街にいるのさ。」


「そうかそうか、大変だった様だな。でも安心しな。お前の役目はここまでだ。」


「どういう意味だい。」


「裏切り者は死ねって事さ。ここに来る前にザンバが上空から偵察したんでね。兵を隠してるのも分かってる。あぁ、お前の一族は俺があっちに戻ったら始末しておくよ。安心して死ね。」


「あんた達は支配されたままで良いのかい?」


「愚問だね。これだけの力を与えてくれたんだ。感謝しかないよ。」


そう言うと獅子頭がケララケへ襲い掛かったが、ケララケはその長い尻尾をムチの様に獅子頭の前の地面に打ち付けて威嚇し、獅子頭は少し後退りして身構えた。馬女はまだ様子を見ている。鳥頭は上空へ飛び上がった。馬女も鳥頭もケララケに嫌味な笑みを向けていた。交渉の余地がありそうだとは思えなかった。


「3体1だ。片腕を失ったお前が勝てる見込みはないぞ。」


「さて、それはどうかね。あたいの武器はこの尻尾さ。腕なんて関係ないんだよ。」


「口だけは達者だな。大人しく殺されろ。」


「やってみるんだね。」


ケララケが尻尾で獅子頭を弾こうとしたが、獅子頭は軽くそれを払った。ケララケの尻尾は獅子頭の鋭い爪によって切り裂かれていた。シルリラの魔術による火傷は未だ癒えておらず、そこに受けた傷から流れる血が痛々しかった。それでもケララケは尻尾での攻撃を続けた。馬女は少し離れた所で、鳥頭は上空で2人の戦いの様子を眺めていた。ケララケの傷は増えていったが、獅子頭は大きく攻め込まない。ケララケを痛ぶって楽しんでいる様だった。


獅子頭が連れてきた兵達は2人の戦いを避ける様に大きく横に展開してケララケの後ろに控えるハルザンド国軍に攻撃を開始したが、ハルザンド側は盾兵を面々に並べて防いでいた。倉庫などに潜んでいた兵も現れ、数的にはハルザンド側が圧倒している。徐々に敵兵を押し込んでいった。


「これ以上はやらせないよ。」


馬女が両軍の間に割って入った。鳥頭も上空から近付いていたが、馬女の介入により両軍が引いたのを見て再び上空へと上がった。

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