表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/160

第六十八話 反乱の終焉

【登場人物】

ジーク かつてジョルジアを治めた英雄王 〈勇者〉

イェリアナ イェルシアの孫娘 〈剛者〉

シルリラ シンシアの孫娘 〈賢者〉

ゴードン 名門貴族に唆されて勇者を騙った青年

マチルダ ゴードンの愛人兼副官

マチルダの報告通り国軍の中隊1000名は午後に反乱軍と接敵した。しかし反乱軍は見落としていたが、実際には反乱軍の左右や後方からも幾つかの中隊が密かに接近していた。ジョルジア王家は、反乱軍の布陣と規模を完全に把握し、そして反乱軍を追い詰める為の進軍ルートを正確に割り出していた。一度の戦闘で全てを終わらせるつもりだった。


最初の戦闘は力と力のぶつかり合いだった。反乱軍側は国軍に対して前軍の全員突撃で押し込む。その圧力は一般の民とは思えぬ強さだった。それに対する国軍は、盾兵を並べて反乱軍の突撃を抑え、その後方から槍兵の刺突や弓兵の一斉射撃で反乱軍の前軍を削った。


暫くは両軍の力が拮抗した様に見えたが、次第に数に勝る反乱軍が国軍の中央を押していった。しかしこれは国軍側の作戦だった。中央が下がると同時に左右から騎馬兵が反乱軍を抑え込み、更に左右やや後方からの国軍の援軍が反乱軍に迫る。そうしてあっという間に反乱軍の前軍は包囲され、殲滅されていった。慌てて反乱軍の本軍が救援に向かったが、その本軍が到着する頃には国軍の方も構えを整えていた。


その国軍の前にイェリアナとシルリラが出て、反乱軍の本軍に対峙した。


「聞け、反乱軍よ。お前達の後方にも国軍が待ち構えている。無駄な抵抗はやめ、武装を解除せよ。」


それを聞いた反乱軍の一部がイェリアナの言葉を無視して前進しようとしたが、イェリアナの大剣が放つ衝撃波とシルリラの放つ炎の魔術に前進を阻まれた。その様子を見て、そして衝撃波と魔術を放った2人の女性を見て、反乱軍は衝撃を受けた。2人の女性の胸が光り輝いていた。それは彼らがゴードンを信じるきっかけとなった紋章の光だった。


「我々も紋章を持っている。しかしこの力は英雄王には遠く及ばない。お前達を率いる者が英雄王というのなら、ここに連れて来い。そいつが本物なら、我々など容易に滅ぼせる筈だ。」


「どうか皆さん、武装解除して下さい。抵抗は無意味です。今は皆さんが死ぬべき時ではありません。誰が皆さんを誤らせたのか、そして私達が本当は誰に従うべきなのか。皆さんは生きてそれを見極めねばなりません。」


反乱軍の後方に潜んでいた国軍も現れ、反乱軍は完全に包囲された。それがきっかけなのか、イェリアナやシルリラの言葉が響いたのか、反乱軍は武器を捨て、その場に座り込んだ。反乱の終焉だった。


偽の英雄王がいる筈の天幕には半裸の女性達だけが残されていた。偽の英雄王であるゴードンはマチルダという副官と共に何処かへと逃亡した後だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ