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第五十八話 新しい従者

【登場人物】

ジュード 主人公 英雄王ジークの転生体 〈勇者〉

マリリア ジョルジア王の末娘 〈聖者〉

ガイ 軍務卿の外孫

軍務卿が対応した一連の事件とその結末については公表された。民衆の反応は概ね好評だった。いつの時代も悪者退治はウケが良い。一部では軍務卿の強引な手法を批判する声もあったが、全てをやり終えて潔く身を引いた軍務卿を称賛する声にかき消された。


他の法服貴族も叩けばホコリが出るだろうが、軍務卿と財務卿への処罰を見て、鳴りを潜める筈だ。今の混乱が落ち着けば王都の行政機関の動きは改善すると思えた。


マルス王の勧めでガイという少し年上の青年がジュードの従者となった。何でも辞任した軍務卿の外孫で、曲がった事を徹底的に嫌う性格が災いし、辺境に左遷されていたらしい。以前は王都騎士団に所属し、優れた武術を持つ若手として有名だったとマルス王は説明した。


もう少しで学年末を迎える。ジュードの身体は完治したと言える状態になっているが、マリリアは引き続き王宮でも学校でもジュードの近くにいる。ジュードの部屋に持ち込んだ机や椅子もそのままで、そこで読書する生活も変わらない。そのマリリアにガイを紹介した。


「彼の名はガイ。マルス王の勧めで新しく従者とした。武術に関してはかなり優秀で、さっき腕試ししたが、俺より武具の扱いに慣れていると感じた。マリリアも会う機会があるだろうから、気軽に接して欲しい。」


「分かりました。ガイさん、これから宜しくお願いします。私はもう王族ではありませんから、堅苦しい挨拶や丁寧な言葉遣いは必要ありません。気軽に声を掛けて下さい。」


「初めまして。こちらこそ宜しくお願い致します。」


「ガイが来たし、俺の身体も元通りになったのだから、マリリアは以前の生活に戻ると良い。君は自由だ。必要なら王族籍へ戻すよう俺からマルス王に進言する。」


「自由にして構わないのでしたら、今のままお側に置いて下さい。王族の身分も必要ありません。」


「君は君で自分の将来を考えてはどうかな?」


「私は、スーベニアから帰国する際にミリア様に『もっと自分の気持ちに素直になりなさい』と言われました。それで考えて...」


「ミリアに何か言われて、それでどうしたんだ?」


「それで...私は私が望む様に行動する事にしました。ジュードの側にいる今の状態が私の望む形なんです。」


興奮しているのかマリリアの顔がやや紅くなっている。


「なぜ俺の側に居たいんだ? 自由に過ごせば良いじゃないか。俺の身の回りの事はガイがやってくれる。」


「ガイになど任せられません。ジュードの側でお役に立てるのは私です。」


そう言うとマリリアは涙ぐみながら部屋を出て行ってしまった。こんなマリリアの表情を見たのは初めてではないだろうか。気まずくなってジュードは部屋の外にあるバルコニーへと移動した。ガイがその後について来る。


「彼女はなぜ泣いてしまったんだろうか? 急に話をしたからかな?」


ガイは頭と掻きながら応える。


「私も偉そうな事は言えませんが、ジュード様はもう少し女性の気持ちを理解なさった方が良いと思います。」


「女性の気持ちか...それは難解だ。もう少し俺が理解し易い提案をしてくれ。」


「自分なりに考えを整理してみます。少しお時間を頂戴します。」


「頼む。」


ジュードは空を見上げる。そこには目の覚める様な青空が広がっていた。



第四部 完

これで第四部は終わりです。

ちょっと中途半端な終わり方になってしまいました。

さて、第五部でジュードとマリリアの仲は進展するでしょうか??

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