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鍵屋の倅と付与術師  作者: 藻翰
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魔法の話


 子供の話と言うのは聞いてみるとなかなか疲れてしまう事があって。

 と言うのも、主語が抜けている事や他にも多少の言葉足らずな事があり、聞いているこちらとしてはいきなり話が始まる感じに。


「でねー、授業でいきなりアイテムボックスの魔法を使えるようにするから登録するぞーって話になって、焦っちゃってさー」


 なにがでねー?なのか、こちらが分かるわけもなく。


「いきなりなんだ?」

「いや、だから授業でアイテムボックスの魔法を使えるようにって、登録をしないといけなかったんだけど、ボクは必要ないわけじゃない?でもそれを伝えるわけにもいかないからどうしようか迷って、後ろの方でごにょごにょしていたら、キーファが教えてくれたシスターが手招きしてくれてね……」


 あんのババア……また余計な事をしやがったな。


「で、結局どうしたんだ?」

「前に登録していたって事にしてくれて(・・・・・)大丈夫だったー」

「そういえば、家に初めて来たときも色々と服やらなにやらあったな?」

「そうなのー。一身上の都合により?登録は辞退しないといけないって習っていたから」

「……そうか」


 ぶんぶんと振っている腕には腕輪が付いていて、多分それがクリスのアイテムボックスに違いないわけで。

 クリスは個人的(・・・)にアイテムボックスの腕輪をもっているので登録の必要がなかったみたいですが、誰も彼もがこんないいアイテムを持っていられるわけもなく。

 ただ、それだと荷物のもち運びが不便というのもあって、国がある程度の年齢までに登録をすれば誰でもアイテムボックスの魔法を使えるように、血をつかった登録をすることに。

 勿論この国の人間だけ等と器量の狭い事はなく、他国であろうともギルドに登録をして、申請をすれば誰でもこのアイテムボックスという魔法は使えるようになるので、実はこの国はそれのお陰もあって冒険者の数が減ることなく、むしろ増え続けている状態。

 アイテムボックスの魔法を覚えて、ギルドから脱退したからと言って別に魔法が取り上げられるという事はもちろんないので、大人も子供も基本的にはこの魔法を最初に覚えることが多く、この魔法をきっかけに生活魔法へ進み、そして偉大な魔法使いになったという噂のような伝説もあるぐらい。


「で、みんな魔法は使えるようになったのか?」

「うん。みんなすっごく喜んで、面白い使い方とか考えてた」

「面白い使い方?」

「うん?」


 アイテムボックスは基本的にどんなものでも中に入り、生物などは死んでいないと入らないという制約が付随されているのでそこまで面白い事ができるとは思えないのですが、


「ボールをアイテムボックスに向かって投げて、そのまま相手に同じ威力で返すとか、どのぐらい水が入る?って誰かが先生に聞いたら、やってみるといいって先生が言うから、一人の子がやってみたんだけど、かなりの量が入る事だけが分かったみたい」


 そんな話をクリスはするのですが、そんなに楽しそうには話さない状態に不思議に思っていると、


「ボクはもっと前からコレがあるから、みんながやっていたようなことは一通りやったことあったんだよね……。だから、新しい発見があるかなーって静かに見ていたんだけど、何にも新しい発見が無くてつまらなくなっちゃった」


 あの家に居る間に色々と家から出られないなりにやっていたみたいで、同じ子供達が考えるようなことはやっていたみたいで少しがっかりしているクリス。

 そんな状態でも、出した夕飯である水菜とベーコンの炒め物を口に運びながら炊き立ての白いご飯と肉入りの味噌汁を飲みます。


「お味噌汁が沁みるぅぅぅ」

「どこかのお爺ちゃんかお前は」

「ちがうよー」


 そんな軽口のやり取りをしているのですが、終始クリスは笑顔でアイテムボックスの魔法の事が終わると、また別の話に飛び、さらに一応学校でも友達が出来たという話に。

 その顔を見る限り、対数日前の学校には行かないと言っていた時とは顔つきが違う事が分かります。


「行ってみてどうだ?学校は楽しいか?」

「キーファの側の方が楽しいと思うけど、そこまで悪くないかな」

「悪くない……か。ならいいな?」


 行きたくないではなく、悪くない。

 とりあえずうちに来た理由は今日みたいなタイミングで聞いてもすぐに教えてくれることばかりではなさそうなので後でシスターやアイツに連絡をして確認すればいい話。

 そんなクリスの話を適当に相槌をうちながら聞いているうちに結構時間は早く過ぎるもので、一人で食べている時には気が付かないぐらい遅い時間までクリスと喋っているうちに夕飯が終わり。


「で、週末はここにいるのか?」

「うん!許可取ったー」

「じゃあ、ココを出るのは二日後か?」

「んーん、学校のある日の朝、学校に行けばいいって」

「んのやろぉ……」


 色々と言いたいことが増えるばかりですが、クリスにそれを言ったところで意味はなく。

 ソレも分かっているのでここはぐっと堪えて、話を先に。


「じゃあ、休みの間クリスは何をするんだ?宿題か?」

「まだないよー。基礎魔法の練習をキーファに見て貰えって言われたー」


 勝手に俺が教えることになっているのはどういうわけか知りませんが、基礎魔法の練習は正直言うと自分はかなり不得意。そんな自分がクリスに教えるというのは微妙な気がするのですが、


「えーっと、シスターがね?しっかり教えないと酷い事になるからって」

「……まじかぁ」


 しっかりと脅し文句まで伝言に入っているみたいなので、明日からの週末でグータラとするつもりだったのですがその予定はおじゃん。

 というか不得意な事をナンデさせるつもりなんだという気持ちしかないのですが、こっちの気持ちとは裏腹にここまで来て疲れたのか、安心をしているのか夕食を食べ終わったクリスは眠気に負け始めたみたいでこっくりこっくりと怪しい状態。

 このまま話をしているうちに寝落ちしてしまう可能性が高そうだったので、


「とりあえず宿題の話はまた明日にしてとりあえず風呂入って、寝ろ。部屋はそのままだから分かるな?」

「はーい」


 眠そうながらも元気な返事が返ってきたので、クリスをお風呂に向かわせている間に夕食の片付けをするのですが、いつも通りにパパっと終わらせたのですがクリスは風呂から出てきません。


「そういえばクリスも長湯だったな……」


 数日しかいなかったとはいってもやはり他人が家に居た訳で多少の記憶に残るようなことはあるわけで。

 結構眠そうだったから大丈夫だったかと心配をし始めると、あまり良くない事をどうしても頭の中で色々と想像してしまいます。


 そんな想像をされていると分かっていないクリスはと言うと、


「ここのお風呂、家のお風呂よりも狭いけどやっぱりいいなぁ……ぶくぶくぶくぶく」


 お風呂でゆっくりとのんびり、疲れを癒している状態。

 そんなクリスはクリスで色々と考えているわけで、


「学校で習った基礎魔法って難しかったかなぁ……」


 今日の授業の内容を思い出してみるのですが、理解するにはなかなか難しい内容で。

 火は水に弱く、水は土に弱く、土は風に弱く、風は火に弱い。そしてその逆もしかり。

 風に火は強く、火に水は強く、水は土に強く、土は風に強く。なるという話……だったのですが、ボクにはどうしてもそうだと思えない部分があって。

 凄く強い火、例えば火事などがあった時にいくら水をかけても意味がない事がある事を本で読んだことがあるのでボクは知っていて、凄く強い水が土の壁を壊して街を壊したという話を読んだこともあり、この基礎理論というのがおかしいのではないかと思って先生に質問をしたのですが、帰ってきた返事は「そんなことは無い」という無情なもの。

 確かに自分は本の中の話を参考にしている部分が多くあったので、正しくない可能性もあるはずですが、だからといってそんなにバッサリと無いと言わなくてもいいじゃないかと思ってしまうわけで。


「キーファも一緒かなぁ?」


 なんだかんだと言いながらも今日も家に入れてくれて、美味しい夕飯も食べさせてくれたキーファが先生と同じ事を言ってくるとはあまり思えないのですが、それでもやはり相手は大人なので少しだけ心配してしまう部分もあって。


「ぶくぶくぶくぶく」


 お風呂で考えながらぶくぶくとしていると、外から声が。


「おい、クリス、大丈夫かー?」

「んー?キーファ?どうかしたのー?」

「さっき眠そうだったから、一応な」

「大丈夫ー。あったまったから今から出るー」

「わかった」


 ね?今みたいに心配もしてくれるから多分同じ事にはならないはず。あー、でもキーファ寝るのが好きだから明日の朝は多分ゆっくりだよなぁ……。

 だったら自分でご飯をつく……ったことないから、教わらないと。

 とりあえずやれることからやることを決めて、お風呂を出るクリス。

 お風呂を出たら、お風呂上がりの一杯を楽しんですぐに寝ろとも言われたので自分の布団(・・・・・)に。

 そんな自分の状態を寝る前にふわっと俯瞰して見えたのですが、すっかりとこの家の中も自分の居場所になっていることに気が付きます。



 そんな感じの昨日の夜があって、いつも通りの時間に起きると先に起きていたクリスは朝食を済ませていたみたいで、


「あ、おはようキーファ」

「ん。勝手に食べたな?」

「うん」


 それだけ言うととりあえずこの後の予定を立てることに。


「魔法基礎だっけ?教わりたいの」

「んーん、基礎魔法」

「似たようなもんだろ……」


 とりあえずは基礎魔法を教えるとしても、何処までできるのかが分からないと教えようもないわけで。

 ただ、学校で教える事と自分が教えることがかけ離れ過ぎていても後で大変な思いをするのはクリス。その辺りもある程度考慮して教えないと意味がないわけで。


「基礎魔法ってあれだよな?水出したり、火出したり……」

「うん。それ!」

「だったらいい練習がある。ちょうど家に居ながらも全部できるから一通り覚えてくれ」

「そーなの!?」


 ニコニコとそんな笑顔でこちらを見て来ると少しばかり良心が痛みますが、自分なりの基礎魔法をクリスに教えてあげるとしましょう。




色々と説明をしたい部分はあるのですが、それをしてしまうとつまらなくなってしまいそうで。

話は少しずつ進んでいるのですが、遅々と。

もう少しいいスピードであげられるといいのですが、そうもいかず。申し訳ありません


こっちの連載は月二回のいつもの日を予定しております

もっと書ける人間であればよかったのですが、そうもいかないのでご了承ください<m__m>

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― 新着の感想 ―
[一言] お掃除や洗濯をやる未来がみえる… 弱い魔法って、家事にぴったりだなぁって 魔法がある世界の物語を読むとそう思うのです。
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