変わらない午後と朝の話
間に合った?
というよりは間に合わせた感じが強いので、かなり雑な感じにはなりましたがとりあえず話は進みます。
そして作者の知らないキャラクターがまた一人。
メモ忘れると大変になりそうで戦々恐々です
更新遅くてすみません
遅々としていますが頑張ります
店番という名のやる気の出ない仕事が終わって、あとは夕食をとったら今日やらないといけないことは終わりなのですが、子供というのはなかなか図太い神経をしているみたいで。
「キーファ!ごーはーんー!」
「俺はご飯じゃない」
「お腹減ったー」
話を勝手に終わらせてきたクリスはつい数時間前の事を忘れたかのようにご飯をせびります。一人分というか自分だけであれば外で済ます方法や適当にすることも可能なのですが、一応もう一人居るとなるとそうもいかないわけで。
「クリス、学校は……」
「その話はおわったのー!ごーはーんー!」
終わってないのですが今日はこれ以上この会話をするつもりはないみたいなので小さな溜息を一つだけついて、とりあえず夕食を用意するつもりにはなるのですが、面倒ごとが片付いていない今の状態でそこまで食欲も湧くわけもなく。
「カレーでもどうだ?」
「カレー!好きっ!!」
冷凍庫のストックにカレーのルーがあったのでそれを温めて出せばいいかと思ったのですが、カレーの量はそこまでなかったのでとりあえずクリスの分だけを用意していると、香りに釣られたのかキッチンにクリスがやってきます。
「お皿、一つ?」
「カレーが思ったほど量がなかったからとりあえずな」
「……やだ」
「は?」
「やだやだやだ」
思わず目を閉じて上を向いてしまいます。
カレーのルーはしっかりと温めてしまって今からもう一度冷凍庫に戻すのは面倒。でもってここまで作ってやだやだと言われるとは思っていなかったのもあって、こうなってくるともうどうしたらいいかもわからない状態で。
大きな溜息が出そうになったのですが、ここはぐっと堪えてとりあえず話を聞くとしましょう。
「何が嫌なんだ?」
ぐっと堪えて、さらにすぐに出てこない言葉に対してもぐっと我慢。
普通よりは少し長い沈黙があったのですが、我慢した甲斐があったみたいでクリスが口を開きます。
「…………一緒に食べたい」
「一人で食べるのが嫌って事だな?」
「うん」
嫌だという理由はわかったので、今できることを考えてみることに。
このカレーは一人前しかない状態で、ご飯はもう温めてしまっているのでこのまま戻すのは面倒。そしてこのまま食べることは出来ても一人ではクリスは食べないという状態。
一人前の物を二人前にしてなおかつご飯も使えるとベスト。
そうなって来るととれる選択肢はそこまで多くありません。
「一緒にだったら食べるんだな?」
「うん」
一日中仕事をしていたらイライラも爆発して有無を言わさずに出て行けと言いたかったところですが、今日はゆっくりと一日過ごせていたのもあってそこまでイライラすることもなく。
仕方なくですが、調理プランは変更に。
温めたご飯はそのまま後で食べる分として取っておいて、カレーに足すのは麺つゆとお湯。店じゃないので出汁が冷蔵庫から出てくるわけもなく、家にあるものだけで済ませるようにします。
一人前の分量だったカレーは二人前のカレースープに変わって、冷凍のうどんをここにそのままぶち込めば自動的に麺がほどけてカレーうどんの出来上がり。
コレだけだとちょっと足りない場合はここに焼いた豚肉を足して肉増しのカレーうどんにしてもいいのですが、昨日と今日の昼間の食事量を見て、そこまで食べる奴ではない事が分かっているので多分これで十分。
「少し足りなかったら、あとでここにチーズとごはんを足してリゾットみたいなのにしてもいいし、普通にご飯を入れるだけでも十分だから、足りなかったら言えよ?」
「わかったー」
クリスの表情はコロコロと変わって、今では笑顔。
自分はそこまで食べるつもりはなかったのですが、一緒のタイミングで食べることになってしまって食事をした後は思っていた通り眠気もあって。
「ふぁああ……あくびがとまらねぇ」
食後は各自ゆっくりという事になるのですが、食後の眠気というのはなかなか凄いもので。ちょっと油断するとついつい瞼を落として、舟をこぎます。
食器はそのまま水に浸かっている状態で洗う前のまま。時計を確認するとどうやら一時間ぐらい寝てしまっていたみたいなのですが、自分のお腹の辺りには肌掛けが。
その柄はクリスの部屋の物だとすぐにわかったのでとりあえず肌掛けを持って部屋をノック。返事がないのでそっと音を立てないように注意して扉を開けると毛布にくるまって寝ているクリス。
スースーと静かな寝息で部屋の電気を消さずにねていたみたいですが、毛布の上から肌掛けを掛けるわけにもいかないのでどうしようかと悩んでいると、とろーんとした目でどうやら気が付いたみたいで。
「あれぇ?きーふぁ?」
「肌掛け、ありがとうな?」
「いいのー?」
「ああ。起きたから返しに来た」
「ありがとぉ」
そういうとこっちにふらふらとした足取りで来て、肌掛けを受け取るのですが、体の大きさもあって半分以上を引きずったままにベッドに戻ります。
さすがにこの状態ではちょっとぐちゃぐちゃになりそうだったのもあったので、
「布団、かけてやるからほら、ベッドに寝ろ」
「ん」
緩い動きで頭を縦に。
そしてベッドに横になったので、先に肌掛けを上からかけて、その上にあまりバサバサしないほうがいいのは分かっているのです軽く脇で整えてからふわっと布団も掛けると、その布団をぎゅっと少しだけ握ってまたも静かな寝息をたてます。
「おやすみ」
聞こえない程度に小さな声で一応挨拶をして部屋を出るときに電気を消して。
クリスが寝たのであとは片付けを済ませたら今日は終わり。
そのままの足でキッチンに向かって洗い物を済ませて、あとは風呂に入って寝るぐらいとなったのですが、今日もあっちから連絡が。
「とりあえず、色々と確認したがクリスがぐずって学校に行きたがらないんだが?」
「それは何とかなったから」
「今日、かなりぐずったんだが?」
「知ってるが、大丈夫だ」
色々と言いたいことや聞きたいことはありますが、とりあえず何とかなったという事みたいで。
「じゃあ、明日には引き取ってもらえるな?」
「……多分?」
「多分じゃ困るんだが?」
「……世の中なるようになる。諦めが肝心だというだろう?」
「おいおい?諦めが肝心とか絶対にてめぇ何かしただろ?」
「何の事かな?とりあえず学校についてはどうにかしたから。それとは別の件で今日は連絡をしたんだが……」
「おい、勝手に話を変えるな」
「【セイギノミカタ】が現れたので場合によっては出動してもらうぞ」
「なんでまたこんなタイミングで……」
「知らん。とりあえずお前んところの子供は学校に行く。それと【セイギノミカタ】が現れたという位だ。書類はそのうち誰かが持っていくからまあ確認してくれ」
なにもこんなタイミングで現れなくてもいいのに。
いや、タイミングが良すぎる?もしかして?
話をしている最中ですが、急いでウィンドウを出してみるとトラブルの項目がオンに。
「またか」
「ん?」
「いや、こっちの話だ。じゃあ、書類を確認次第動けばいいな?」
「よろしく」
話は以上だったみたいで、通話がおわって静かに一人部屋の中。
「…………とりあえず寝るか」
今やれることはないので不貞腐れて寝ることに。
翌朝起きると、昨日と変わらずでテレビを見ているクリスがこちらに気が付きます。
「飯は?」
「何食べていいのかわからなかったからまだー」
「残り物がない時はシリアルだ」
「はーい」
勝手にある程度物色はしていたみたいでシリアルの場所は分かっているみたいでじぶんで朝食を整えてクリスは食事を始めます。
なんとなく嫌な予感がして一応寝起きで確認したはずの項目をもう一度確認しますがしっかりと項目はオフのまま。
これならば大丈夫だろうということで、食べているクリスに質問を。
「で、学校だが……」
「行く」
「そうか」
昨日の二の舞になる可能性があったのでとりあえず行くという言葉を引き出せただけでもかなりの前進。
「準備をしたら学校に向かうぞ」
「うん」
今日も午前中は昨日と変わらずお店を開くことにはならず、クリスを学校に連れていくことに。
昨日は教会で、今日は学校。
ペース的に明日もどこかになりそうな気はしますが、見えない先を気にしても仕方は無いので、とりあえずここから近い学校に向かう事に。
普通に考えるとクリスの実家に近い学校が選択肢として上がるはずですが、今のクリスは色々と無い状態。
殆ど戸籍のない子供と近い状態なのでその辺りはアイツが何とかしているはずで、それの片棒を担いでいるのは昨日のシスター。
あの二人がかかわっていい事なんて殆どないのですが、こればかりは文句を言うことも出来ません。
「じゃ、行くか」
朝食を済ませたら家を出て向かうのですが、家から持ってきた荷物は勿論持って行ってもらうつもり。その辺りの話をクリスにしたのですが、クリスも分かっているみたいで大きく頷きます。
そんな支度が済んだら、二人で家を出るのですがパッと見た感じほとんど手ぶらの状態で学校に向かいます。
学校は歩いて十分もしないぐらいの場所にあって、自分が昔通っていた場所というのもあってすこしだけ懐かしさもあるのですが、基本的にはそれほどいい思い出がない場所。
足を止めてしまうとつい溜息が出てしまいます。
「キーファ?」
「いや、何でもないぞ。とりあえず受付を済まそう」
クリスが何かを察したみたいでこちらを見上げてきたので、すぐに話題が変わるようについ早口で言い返してしまったのですが、なにがあったのかは分かっていないみたいでクリスはただ普通に頷きます。
時間は午前中なのですが、普通にこの時間は授業中の時間でもあって、校内はそこまで賑やかというわけでもなく。受付の場所も自分の母校なのでなんとなく分かっている状態。
そのまま学校の中を進んで、職員のいる部屋に。
そこにいたのは自分達の担任をしていた女の先生でありシスター。
「あらあらあらあら」
「うわぁ」
思わず口から出るのはヤバイとかマズイ時に出るようなゲゲゲと近い意味合いを持つ言葉。悪い先生ではないのですが、決していい先生というわけでもなく。
こうやって文字だけで見るとそこまで悪く見えないかもしれませんが、確実にいい先生ではない事だけは知ってもらいたいような先生がそこに。
「ちょっとワケアリですが、この子を学校に入れてもらいに来ました」
「あなた達がワケアリじゃない事なんてありえないでしょ?まあ、事前にこっちにも資料と情報は来ているから……今日からでいいのかしら?」
「ですね。見た目以上には自分の事を自分で出来るみたいなのでそれなりに使える子になると思いますよ」
「そう。じゃあ後はこっちでお話するわ。えーっと、お名前は?」
先生に聞かれたクリスは一度こっちを見てきたので、頷いてあげると、
「ギル……じゃなくて、クリスです」
「いいのよ?ギルバートの名前がなくなったわけではないのだから」
そんなことを言われてもう一度こっちを見てきます。
「悪い先生じゃないから大丈夫だ」
「あらあら。学校で色々としていたこと、忘れた訳じゃないのよ?」
「鍵かけしたはずなのに、誰が開けた?」
「魔法に頼らなくても心が覚えているものよ?」
「なんだよそれ……」
厄介な人に会いながらもとりあえず学校に入れることが出来たので後は先生に頼むことに。
「じゃ、クリスの事よろしくお願いします」
「ええ。頼まれるわ」
そんな会話をしている自分達を少しだけ寂しそうにクリスが見てきますが、正直な話それは一過性の物。数日もしないうちに学校に馴染めば思い出さなくなるはず。ただ、馴染まなかった場合は……その限りでもないわけで。
できればそうなってほしくないという思いはあるので、そんな願いを込めてチラリと先生を見ると、にっこりと特大の笑顔でこちらを見て来るので余計に不安が増すばかり。
「では、お願いします」
それだけ言うと、クリスの手を引いて先生とクリスは学校の奥へ。
これで賑やかだった数日が終わって、やっといつも通りの毎日に戻るはず。
後ろを振り返ることなく学校を後にして、家に戻ると昨日連絡があったアレの資料。
「まーた、厄介な……」
どうやら思っていたよりもアクティブな【セイギノミカタ】みたいで。
早急に対応をしろとの事。
「今日も鍵屋はお休みだな」
いつも閉店になっている札のまま。
ゆっくりする暇のないままとりあえず資料の情報を確認してからこの件を終わらせるためにも動くとしましょう。
今回も読んでいただきありがとうございます
あっちが二周年だったのでこっちも合わせて更新できたらいいなーって事で少しだけ頑張ってみました。
今のところの更新ペースでとりあえず更新を続けられるように無理はせずに頑張るつもりです
遅い進みではありますが、どうぞこれからもよろしくお願いします