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鍵屋の倅と付与術師  作者: 藻翰
2/19

適正とスキル

書いては消してを何度も繰り返しているので筆の進むスピードはとても遅いので……二話目なのにこんなに間が空いてしまってすみません<m__m>


ゆっくりなスピードではありますが、続けるつもりはありますので期待せず気長にお待ちいただけると嬉しいです



 家に帰ってすぐに作った夕飯は鶏肉と白菜の重ね煮。

 凝ったものを作っていると思われるかもしれないが、やってみるとわかるはずで実はそうでもない。

 具材すべてを鍋にぶち込んで火にかけるだけの簡単なものだ。

 なぜこんなものを作ったかと言えば、火を入れている間に話が出来るから。


「で、とりあえずうちに避難という事になったが、上に確認してから今後どうなるかが決まるからそれまでは家で待機だ」

「そんなことはいいから、ご飯は?」

「火にかけている最中だ。もう少し待っていろ」

「お腹減ったー」


 あくまで避難所として預かっているだけなので数日の辛抱。

 とりあえず飯を食わせて、風呂にでも入れて寝かせてからアイツ(・・・)に連絡を取って確認をすればいいだろう。

 そう思っても待っている時間は意外と長く感じるもので、チラチラとこちらを見てくる子供の視線が微妙に面倒に思い始めたのだが、


「多分そろそろ出来あがった?」

「だな」


 こっちを見ているというよりは飯を見ていたみたいで大きめの深皿に出来上がったものを入れて冷蔵庫から取り出したポン酢を置いてすぐに食べ始めることに。


「いただきます」

「はい、いただきます」


 味付け無し、加水もなし。野菜から出てくる水分と鶏肉の旨味出来た鍋なので全体的に薄味なのだが、自分の好みの量のポン酢で食べられるのでまあいいだろうと思っていたのだが、何故かクリスはすぐに食べ始めません。


「食べていいぞ?」

「え、あー。ほら家長が食べてからじゃないといけないんじゃない?」

「あー。そういえばお前は良い所(・・・)の子供だったな。別にこの家では気にしないでいいぞ」

「そうなの?」

「ああ。あと名前も別に呼び捨てでいい。おじさんでもないしな」

「え?そうなの?……キーファ?」

「だぞ?うん。それでいいぞ、クリス」

「わかった。キーファ!」

「ほら、とりあえず食べろ。味は薄いから自分の好みにポン酢を掛けろよ?」

「はーい」


 鶏と白菜の重ね煮自体に味は殆どないのですが、ポン酢の味でさっぱりとしていてかなり食べやすくイイ感じ。

 ある程度食べ終わったらシメにするかどうするか少し悩んでいるところなのですが、それとは別で一応確認しないといけないこともあるわけで。


「お祭りの日に教会は行ったのか?」

「教会?」

「……おいおい?まさか?」

「教会なんて行ったことないけど?」

「マジか……」


 あの父親、思っていた以上に色々と本気(・・)だったみたいで何もしていなかった様子。


「したら、明日はまず教会に行くぞ」

「そーなの?」

「ああ。年齢的にもスキルを貰っているはずだろう?」

「スキル?」

「その辺りの説明は明日教会の人間に聞けばいいから、今は気にするな」

「うー。キーファはなーんにも教えてくれない!」

「避難所は学校じゃないからな。それと、飯はどうする?もう少し食べるか?」

「うん。結構お腹はいっぱいな気がするんだけど、もう少し食べられそう」

「わかった」


 やることは雑なのですが、残っている具材を一度すべて取り出して包丁で小さく切ってから鍋に戻して、水洗いしたご飯を入れて後は卵を回し掛けて蓋をして。

 卵に火が入ればシメの出来上がり。


「ごはーん!」

「これ食べたら、風呂入って寝ろよ?明日は……多分、多少早いぞ?」

「多少早いの?」

「俺が起きたら行くからな」

「だから多少早いの?」

「そうだ」

「ふーん?」


 雑な会話を続けながらも自分も飯を胃に入れるとお腹が膨れて今日の疲れも出てきてか眠気もいい感じに。


「このまま寝るか。風呂は明日の朝でいいし」


 そんなことを思っていたのですが、アイツ(・・・)と話をすることを完全に忘れていたわけで。


「連絡待たないと……ダメだよなぁ」


 思わず溜息が出てしまいます。


「溜息をつくと幸せが逃げっちゃうって聞いたことあるけど?」

「誰のせいでため息をついていると思っているんだ全く」

「しらなーい。っと、美味しかったです。ご馳走様でした」

「はいはい。んじゃ、風呂入って、後は着替えと……」

「大丈夫ー。持ってきたー」


 あまり時間は無かったと思っていたのですが、ココへ来るときにいつの間にか持っていたリュックには多少の備えもあったみたいで。着替えなどが入っていると言ってきます。


「じゃ、風呂を先にどうぞ。で、部屋はこの隣を使え」

「隣?」

「そう」


 食器はそのままにして部屋を見せます。

 置いてあるものはあまりなく、ベッドと目覚まし時計ぐらいしかないかなり質素な部屋。


「コレだけ?」

「そりゃぁそうだろ。客間なんて寝られりゃいいだろ?」

「なんか寂しい部屋だなぁ」

「さっき言ったように明日は早めに動くからさっさと寝ろよ?それと寝る前に風呂と歯磨きと……」

「なんかキーファお母さんみたい」

「男が母親なわけないだろうが。グダグダ言っていないで風呂に入れ」

「はーい」


 クリスを風呂に入れている間に食べた物の片付けを。

 二人で食べたのですが、結構な量が残ってしまったのでそのまま明日の朝ごはんになってもらうつもり。

 片付けがちょうど終わるころに風呂上りのクリスが居間に来て風呂上がりの水分補給をすると、


「じゃ、おやすみなさい」

「はい、おやすみ」


 思っていた以上にクリスの神経は太いみたいで、色々あったこんな日でも寝るみたい。

 というか、色々あったからこそ寝たいのかもしれないのでこちらとしては起こすつもりもなく。


「さてと、そろそろかかって来るかな?」


 今のところクリスがどういう扱いなのかという確認も取らないといけなくなってきたのでさっさとこの話を終えたいところだったのですが、こんな日に限って連絡はすぐに来なくて。待っている間にひとっぷろ浴びることが出来た気がしますが、待つしかないタイミングでは動くことも出来ず。


 そんな感じで待つこと数時間。やっと連絡が来たのは日付が変わるころ。

 結構厄介な話になっているみたいだったのですが、明日の動きを報告だけして、とりあえずはアイツに丸投げすることに。

 かなり文句を言っては来たのですが、こんなにすんなり頷くような人間ではないはずなのに珍しく今回は了解を取り付けて。


 そんなことがあってからやっと寝られるという事でそのまますぐに寝て。





 起きたら結構日が高い気がします。というのもこの部屋は日が高くなると暖かくなる部屋で。寝苦しいという程ではないのですが、だからと言って寝やすい温度というわけでもなく。


「……何時だ?」


 ごそごそとベッドから芋虫のように上にかけていた毛布をそのままに動きながら時計を見ると十一時。


「ちょっと早いとは言えないか」


 とりあえず起きて、居間に行くとそこでは勝手にテレビを楽しみながら昨日の残りのご飯をしっかりと食べて、ついでに洗い物もある程度しておいてくれたクリスが居る状態。


「おはようございます、キーファ。起きないから勝手に昨日の物を温めて食べたけど、よかった?」

「かまわないぞ」

「残っていた分全部食べちゃったから、洗い物も一応やってみたんだけど?」

「助かる」

「冷蔵庫にジュースもあったからそれも飲んでいて……」

「かまわない」


 凄く不機嫌に見えているみたいでかなりこちらの様子をクリスが伺ってくるのですが、寝起きはいつもこんな感じ。

 そういえばそんな話を知っているのも学友ぐらいなわけで。


「寝起きはいつもこんなもんだから気にするな。シャワー浴びたら教会に行くから支度をしておけ」

「わかったー」


 そう言ってクリスはテレビを消して、タタタタと部屋に戻ります。

 それをぼーっと見ながら、自分も動くとします。

まずは風呂場に行ってシャワーを浴びて、鍵屋のローブに着替えてから昨日話を通してくれたという教会に向かうとしましょう。


「クリス、行けるか?」

「イケるー。キーファは?」

「イケるぞ。じゃあ、行くか」

「うんっ!」


 クリスを連れての移動ですが、教会は街に中心に近い所なので歩いてそれほどかからずにつきます。

 ただ、その道中が少し不思議で。


「そんなにキョロキョロとクリスは見ているように見えるが、珍しくもないだろう?」

「いや、珍しいよ?街の中を見るのはこれで二回目だし」

「二回目?ってことは今まで街に出たことなかったのか?」

「ないよー。家からは出してもらえなかったもん」

「じゃあ、何も知らないのか?」

「んーん、教育?はちゃんと受けているから普通の事は多分知ってる!」

「あー、家庭教師が来ていたのか」

「そう!勉強の先生だけだったけどね」

「じゃあ、運動は?」

「家の庭は遊んでよかったから、そのぐらいしか知らない」

「そうか」

「うん。だから、こうやって街を歩くのすっごく楽しい」


 そう言いながら指をさしてアレは?コレは?とはしゃいでいるのは年相応の子供にしか見えません。

 うろちょろするクリスに苦戦しながらもやっとのことで教会に到着。


「うわぁ。でっかい!」

「ここでお前さんのスキルについて聞くんだ」

「スキル?」

「そう。説明も全部してくれるからしっかりと聞けよ?」

「はーい」


 教会の扉は大きさもあって結構重たく、それを開けて中に入ると同じ街の中なのですが少しだけ空気が違って、パリッとしているというか、ピリッとしているというか。

 個人的にはあまり好きな空気ではないのでさっさと済ませたいのですが、クリスが学校に行く為にも必要な事なのでさっさと済ませましょう。


「あら、珍しい方。約束の時間よりはずいぶん遅いみたいですけど?」

「すまない寝坊だ。それに用件があるのは俺じゃなくて、こっちの子供」

「結婚なんてしていたかしら?」

「いや、いつものワケアリ(・・・・)だ」

「遅刻は見逃がしたくないのだけれど、子供(この子)が何も言わないところを見るとちゃんとお世話はしているみたいだし、赦しましょう」

「赦される程の罪じゃねぇだろうが」

「いえいえ?」


 そんな会話をシスターとしていると、クリスがジーっとシスターを見ています。


「あら、怖がってる?」

「ほら」

「いえ、シスターさんはキーファと仲がいいんだなーって」

「仲良くないぞ?」

「そうなの?」

「なぁ?」


 こちらが言葉を振ったのにシスターは頷きもせず声を発することもなく。ただにこやかに笑っているだけ。


「さ、今日はアナタのスキルを確認に来たのでしょう?」

「らしいです。何にも分かっていないので色々と教えてください」


 そう言って頭を下げます。


「あらあら。本当にいい子ね」


 しまいにはクリスの頭を撫でながらこちらを無視して二人で話し始める始末。

 はぁと大きなため息をついて、


「そこに座っているから終わったら声を掛けてくれ」

「え?ここでお話を聞くんじゃないの?」

「奥の部屋で調べるのでここではお話をしないのよ」

「そーなんだ。キーファは聞かなくていいの?」

「あらあら。本当に色々と知らないのね?」


 そういって、何処かからすっと一冊の本を取り出すと、


「ほら、ここ。自らのスキルは出来るだけ秘匿する事って書いてあるでしょう?」

「本当だ」

「スキルには色々な力が備わっているから人のスキルの詮索や吹聴は良くない事なのよ」

「へー」

「そういうことを一からすべて教えてあげるからこちらへどうぞ」

「はい、シスター」


 そういってシスターの手を取って、教会の奥へ。


「本当にアイツ、外面はいいからなぁ……」


 小さい声で言ったのですが、何やら視線を感じます。

 このまま顔をあげたらその視線の答えを知れそうですが、人はあえて知らないでいた方がいい事もあるわけで。


「寝て待つか」


 昨日の夜が遅かったので寝坊をしたのですが、それとは別で眠気はいつもあるわけで。

 ぐっすり寝て待つとしましょう。


 キーファが寝て待っている間、クリスはというと、シスターからスキルについて色々と習う事に。





 この世界は神様がぱぱっと作ったこと。

 生まれた日付に関係はなく、十歳を迎える年のお祭り(・・・)の日にスキルを与えられる事。

 スキルは多種多様でその人がなりたいものと全く違うスキルを貰う事もあるという事。

 スキルを貰った年を一年としてそこから五年間学校に通う事。

 そういった事をシスターが教えてくれます。


「じゃあ、スキルの為の鑑定なの?」

「いいえ、スキルとは別で鑑定をするのよ」

「そーなの?」


 神から与えられるものがスキルとするなら、生まれてから獲得するものもあるわけで。


「スキルはあくまでもスキル。それとは別で得意不得意を確認するためにも鑑定が必要なの。そしてそれが適正と言われるものよ」

「ふーん?」

「あまりわかっていないみたいね?」

「うん」


 そういうとシスターはまたも何処からともなく手元に三角錐を取り出します。


「見える?」

「うん」

「先にこっちの説明からしちゃうと、これが適正を見る道具なの。持ってみて」

「はーい」


 シスターが三角錐を手渡します。


「下の三つの三角の頂点が斬、打、突と自分に合う適正を計ってくれるわ」

「斬、打、突?」

「そう。その名の通りで斬は切る事に長けていて、打は打撃や盾ね。突は弓や槍に長けているという事ね」

「それだけ聞くと探索者にしかなれないように聞こえるんですけど?」


 もしかしてキーファがさっさと家から追い出すために鑑定をしろと言って来たのかという目でシスターを見たのですが、


「違うわよ」


 すぐにそれをシスターは否定します。


「確かに切ることに長けている斬属性は冒険者にも多いけど、それ以上に多いのは料理人よ。他にも屠畜や被服を作る人に斬適正が高い人が多いわ。同様に打は足腰が強いから農家になる人も多く、盾が使えるから騎士を目指す人もいるわ。あとはダンジョン探索者もこの適性が多くいるわね。そして突も長物が上手く使えるという適正があるからこちらも農家さんが喜ぶわね。他にも針子さんやこちらも料理人である串うちさんも喜ぶ適正ね」

「探索者ばっかりじゃないんだね」

「ええ」


 そうなって来ると残りの頂点は何なのか気になってきて。


「残りの一個は?」

「これは魔法の適性ね」

「魔法?」

「そう。魔法の適性。上に高く伸びれば伸びるほど魔力が高いわ」

「魔力が低いと魔法はあんまり使えないの?」

「ええ。でも後天的にも伸びることが証明されているからすべてがその限りというわけではないわよ」

「ふーん?」


 説明を一通り聞き終わると、


「じゃあ、手をかざして適性を計ってみましょうか」

「はーい」


 三角錐を机の上に置いて両手で三角錐を覆うように手をかざすと三角錐の中にスライムのような動きをする水がうにょんうにょんと不規則な動きをして、三角錐を作ります。


「6段階で表示されるのだけど、アナタの数値は平均的よりも少し低め。斬打突共に2ね。でも、魔法は4。魔法適正は高い……という事は、スキルも続けて確認させてもらうわよ」

「はーい」


 シスターはそういうとジーっとこちらを見つめてきます。


「やっぱり、聞いていた通り(・・・・・・・)に付与術師ね」

「付与術師ですか?」

「スキルの説明も必要だったわね?」

「お願いします」


 シスターさんはまたも何処からかボードを取り出すと、そこに色々と書き始めます。

 付与術師は魔法系のスキルで魔力が高い代わりに突出するものが少ない事。

 この国には四家の付与術師の家系がある事など自分の知らないことを色々と書いて教えてくれます。


「ギルバート家は付与術師の家系なの?」

「ええ。王国にある四家のうちの一つがあなたの家ね。まあ、その家を出たアナタは四家からは外れるのだけど、普通に付与術師のスキルを得る人も世の中にはいるから問題はないわ」

「ふーん?」


 付与術師は結構珍しいみたいですが、それでも同じスキルの人がいるという事が分かったのでそこまで困る事もなさそう。


「さっきスキルについては聞いてはいけないって言っていたけど、教えてって聞く事も本当はよくないの?」

「んー、なかなか難しい質問ね。例えにはなるけど、ダンジョン探索をする仲間には基本的にスキルを告げる事は多いわね。他にも仕事に就くときに有利になることもあるからあまり隠さない人も世の中には居るわ。ただ……」

「ただ?」

「スキルがバレたことによって、迫害を受けた人も居る歴史はあるしスキルを言わなくても不利にはならないようになっている部分もあるから、なかなか言葉にするのは難しい所ね」

「そっかー」

「何か気になる事でもあったの?」

「んー、キーファのスキルも気になったし、シスターのスキルも気になったからー」

「あー。そういう事ね?」


 そういうとシスターはわざとらしくこほんと言って、


「私のスキルは看破よ」

「看破?」

「そう、色々なものを見定めるスキルね」

「教えてくれていいの?」

「ええ。教会の人は基本的にそのスキルだと公言しているから問題がないの」


 少しだけ誇らしげにシスターはそういって胸を張ります。


「多少の説明も終わったけど、一応シスターとして言葉を贈るわ。スキルと適正に縛られる生き方も悪くはないけど、人である以上自由に生きる権利はある。だから興味を持ったことややりたいと思った事にはなるべく手を伸ばしてみることをお勧めするわ」

「はーい」


 返事をしたのですが、あまり意味は分かっていない状態で。

 何かわからなければキーファに効けばいいだろうという気持ちもあってそんな返事をしたのですが、


「さてと。一応鑑定も終わったし、後は学校だけど……魔力適正が高いから魔術系の学校が良さそうだけど、どうする?」

「どうする?ってどういうことです?」

「さっき説明した通り学校に通う事になるのだけど、技能学校や騎士学校に総合学校、そして魔法学校と基本的に四つのどれかの学校に入るのだけど、出来るだけ適正に沿って入学が望ましいのだけれど、希望はあるかしら?」

「あー、キーファに決めて貰ってもいいですか?」

「あらあら。信頼しているのね?」

「うん?」


 良く分からない(・・・・・・・)のですが、なんとなく分かっている事があって、キーファは絶対裏切らないという確固たるなにかがあるので決めないといけない事はキーファにお願いするつもりで。


「じゃ、そろそろ戻りましょうか。寝ているでしょうけど」

「寝坊したのに?」

「五分もあれば寝ているような男よ」

「そういうスキルかな?」

「可能性はあるわね」


 シスターはそんな言葉に笑ってくれて、そういえばと手を叩きます。


「そうだ。スキルについての勉強方法を伝えていなかったけど、基本的に教会で行われることが多いわ。後は家系で教えるという事もあるのだけど……」

「家系で教わるという事はボクにはないですね?」

「アナタはそうなりそうね。基本的に教会は殆どのスキルの把握をしているので教えることも可能なのよ。まあ、口が堅いのも仕事の一つという事ね」


 自分の付与術師としての先生はボクの中ではもう決まっている(・・・・・・・・)ので困る事はなさそうで。


「大丈夫です」


 笑顔で返すと、シスターも笑って、


「そう。ならいいわ」


 何も聞いては来ません。

 その後にもう少しだけ雑談を二人で済ませてから、部屋を出ると目を閉じて肩と首をカクンとしたにしながらすーすーと寝息をたてているキーファの元へ。


「終わったよ」


 声を掛けたのですが、すぐに起きる様子はなく。


「寝起きは機嫌が悪そうに見えるだけだから怖くはないわよ?」

「機嫌が悪そうに見えるだけ?」

「そう。起きられていないだけだから叩けば跳ね起きるわ」

「流石にそれはやりづらいかな」

「いいのよ。そのぐらいの扱いで」


 なかなか辛辣な言い回しのシスターの言葉に笑いながら、キーファを起こすことに。

 ボクがいくらやっても起きないのを笑いながらシスターが大きな音を立てて起こすと、跳ね起きたキーファがちょっとキリッとしていて。

 それを笑いながらシスターと見て楽しみました。







前書きにも書いていた通りでもう一個の作品とは違って何度も書いて消してを繰り返しております(笑)

基本的にそういう書き方なのでこれ以上のスピードは見込めそうにないのですが頑張りますのでどうぞよろしくお願いします

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― 新着の感想 ―
[一言] いつでも寝れるスキル、素敵!
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