思った通り?
「って事は、拉致した犯人は別……か」
こうしている間にも子供達は怖い思いをしている可能性があるわけで、そう考えるとゆっくりしている暇はなく。
「私の計画を知っているという事は、お前も仲間だったのか?それならあいつ等みたいに使えないやつじゃないみたいだし十分だ。よ……よし、それでは計画をもう少し詰めるとしよう」
頭が今度こそ本当におかしくなってしまったのか、そんなことを言ってくるクリスの父親ですが、正直ここに子供が居ないことが分かった時点でこいつに用はなくなっているわけで。
「五月蠅い」
鍵を開けたままの身体能力で他の奴らと同じように肘鉄を一撃。
動けなくなっていることを確認したら開けていたものを閉じたいところですが、今はこの身体能力を使ったままの方が好都合。
ただ、ここをこのままにしておくと面倒になりそうだったので少しだけ悩んでいると、何故かここに来たのはアイツ。
ここに来ることは伝えていなかったのですが、家に親父が居た時点でココの情報を聞く事は勿論考えられないわけもなく。
「何か聞いているのか?」
「まあ、色々とな?で、とりあえずこいつらの処理をコッチでしようというわけだ。記憶やらなにやらは後でいいから、とり合えず……動きたいだろう?」
「犯人は?」
「…………」
「何も言わないって事は、そういう事か?」
「…………」
「くそっ」
アイツがかかわっている時点で一筋縄ではいかないハズなのはわかり切っている事ですが、そこへ自分の親父まで関わっているとなるともっと事は大事で。
本気を出せば多分負けない……いや、殆ど負けない……十回に一回ぐらいしか負けないはずですが家の親父まで関わっているとなれば凄く面倒な状態のはず。
そうなって来ると別の心配も色々とあるわけですが、
「とりあえず、安全なのか?」
「僕は知らない。何も聞いていないし、何も教えて貰っていない」
「じゃあ、何しに来た?」
「ここの処理をしに」
アイツの言葉に頷いて返事をすることぐらいしかできることはなくて、小さな頷きを何度もして、
「じゃあ、頼む」
「頼まれた」
アイツに文句を言ったところで意味はなく、裏で手を引いている奴等の思惑通りにしかならないわけで。
であれば、今できる事は動く事。
ここの事はお願いしてさっさと動きたいところですが、その当てが全く無い状態に。
「緊急時だから、いいよな」
誰に確認するわけでもなく、右手で空中に鍵を開ける動作をして、鍵を開けるのは自分の中にあるはずのない才能。
自分が持っている才能であれば、こんなに大変な事にはならないのですが、自分に無い才能はかなり苦痛が伴うもので、頭がガンガンとかなり痛い状態になるのですが、今はそんな事を言っていられる暇もなし。
「これで、よし、見えた。後は……どうだ?聞こえるか?」
今開いたのは精霊を見る事が出来る才能を無理矢理こじ開けて、さらにその精霊と話が出来るようにもう一つ無理をして鍵を開けた状態。
「クリスを知っているか?この街に居るはずだが、教えてくれないか?」
そう言うと、風が少しだけ強く吹いて、その後に一匹の精霊がふわりと浮いて。
「あれー?今日は見えるの?何かあった?どうかしたの?」
質問攻めというか子供の声でマシンガントークの様に言われるとちょっとこちらも疲れてしまいますが、それでも情報をほぼ確実に手に入れる事が出来る可能性が高いのは精霊の目のはずと、聞いてみたところ、
「知ってるよー。今ねーお話してる」
「場所は?」
「えー、教えた方がいい?」
「探しているんだからな?」
「えーっとねー、もうちょっと後ならいいけど、早く知りたい?知りたい?」
前に何度か使った時は周りに仲間が居て、その仲間が何かをしていたことを思い出します。
「ほら、魔力だ」
「わー。えっと、きょーかい?ってところに今は居るみたい」
「きょーかい?……教会か……って、おいおいまさか?」
「おいしー。もうちょっとチョーだい」
「ん。とりあえずこれをあげたらまたな?」
「はいはーい」
何とか場所が分かったので急いで教会に向かう事になるのですが、考えてみると教会はこの街に何個もあるわけで。
その中で当たりをつけないといけないと普通は思うかもしれませんが、家の親父が関わっているとなれば自ずと教会も限られてくるわけで。
「うちの学校の近く……正に灯台下暗し、か」
身体能力向上のままなので急いでこの場所を後に向かうのは学校近くの教会。
親父やアイツが出て来たことを考えると多分そこまで無茶をしないような気はするのですが、自分の親父ながらあまり信用はないわけで。
「早く着くに越したことはなさそうだな」
急いで教会に向かうとしましょう。
一方その頃。
監禁されているという状態のクリスですが、そこには教会のシスターが居て。
「で、本当のところはどうしたいの?」
「そりゃぁ、一緒に住んでいたいけど、あ、シスター、キーファってまだ分かっていないんだよ?」
「えぇ?流石にそれは無いんじゃぁないの?」
「んーん。多分本当にわかってない」
「……一発ぶん殴らないといけない気がするわね?」
「え、あ、殴っちゃだめだよー?」
「うふふふ」
そんな会話をしながらも、シスターの目は全く笑っていなくて。
「他の子たちは?」
「今日はここに泊まるみたいだけど、通いか寮もそこまで悪くはないからね?」
「知ってるけどー」
今回の騒動で居なくなった子供は四人居て、その内の一人はクリス。そしてクリスも知っているノヂシャ、他にもあと二人いたみたいで。
「先生、これって本当に必要な事なの?」
「そうね。色々な意見はあると思うけど、只何もしないで育つ才能ばかりではないのよ?」
「わかるけどー、わからないー」
クリスは半分分かって、半分分かっていないみたいでそんな返事を返します。
「あら、あらあら。思っていたよりも早い動きみたいよ。クリス、そろそろ移動しましょう」
「はーい」
そう言われて、クリスだけが先に移動することになって。
「じゃあ、そういう事になるから」
「はーい」
クリスだけは別の人と何処かへ行くことに。
「さて、そろそろあの子がここに来るのよね?分かってくれるといいのだけれど……」
こんな会話をクリスとしている事を知らないキーファは急いで教会へ。
ただ、先ほどクリスは移動したわけなのでここにいるわけもなく。
「やっぱり先生が動いていたんだな?」
「ええ、まあね」
「で、無事か?」
「勿論。危害を加えるつもりはないわよ?」
「じゃあ、なんでこんなことを?」
「未来の為ね」
「……未来の為だと言えば何をしてもいいとでも?」
「そこまでは思っていないけど、ある程度の事は良いと思っては居るわよ」
どうしても話は平行線になりそうな空気ではあるのですが、キーファとしては自分の落としどころは子供たちの無事の一言に尽きるわけで。
「本当に無事なんだな?だったら、この話は終わりに出来るが……」
「あら、あらあら。聞き分けの良い子になったのねぇ」
「昔の話をされてもな」
「それでも、この計画が何処を目指しているかも知らないであなたがそんなに腑抜けているとは思わなかったわ」
カチーンと来るような事を言ってくるのはいつもの事で、何も知らなければここはブチ切れてしまいそうなところですが、それは先生の罠。
冷静に行きたいところですが、
「冷静な振りは上手くなったかもしれないけど、その顔はちょっとね……」
どうやら顔には出てしまっているみたいで。
「戦うつもりはあまりなかったけど、ここまでコケにされたら流石に怒っていいよね?」
「ふふふふ」
一触即発な空気に。
今の自分は身体強化もしているから先生に負けるはずはないという自負もあって。
「クリスの場所を聞くって理由もあるから、昔のお返しじゃないけど、少し痛い思いしても許してくださいねっ」
ちょっとだけ先生にお仕置きでもしましょう。
思った通りに作者的にはなってません(笑)
ので、年内に何とかどうにかしたいのですが……
予定は未定という事で。
年内が無理だったら……いつもの日ですかね。
どちらか迄にどうにかするつもりはあるので、それを見てから判断を頂けると助かります。
世の中思い通りになる事なんて……殆ど無いんですよね。
それでもかなり私の人生は思い通り。
かなり恵まれているので、なんというか申し訳ないですね(苦笑)
早めにどうにかできるように頑張りまーす




