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鍵屋の倅と付与術師  作者: 藻翰
12/19

学校前で

短くてすみません


 学校の前に居たのは……一応学友というべきなのでしょうか?

 自分達が学校に行っていた時のクラスメイトの一人。何かと絡まれる事の多い学生生活だったので、その内の一人なのですがなんでこいつがこんな所に?というのが正直な所。


「価値無しのキーファが何の用だ?」


 別に結婚をしたわけでもなく、子供がいるわけもないので言われてみると自分がここにいることが不思議に思えてきたのですが、


「……そう言うお前こそなんでこんなところに居るんだ?」


 一応こちとらクリスの送り迎えという名目があるわけですが、噛みついてくるこいつにそんな名目があるのかと言われると微妙に思えて。

 逆に質問を返してみると、ウッと微妙な顔をして言葉に詰まります。


「べ、別に何でもいいだろうが」


 そしてここは通学路で、学校前ということをすっかり忘れていた自分達。

 何事かと学校から出てくるのはシスターやブラザー。


「朝から騒々しいですが、何か?」


 学校から出て来たのは自分が苦手とするシスター。


「シスター、キーファって価値無しなの?」

「あらあらあらあら」


 シスターの目がスゥっと細くなりながら視線はしっかりとその発言をした男へ。


「ぶら下がり坊やが何か言ったようね?」

「ふぐぅ」


 クリスはシスター、自分、さらにぶら下がり坊やと言われた三者をかわるがわるに見ながら、結局シスターに視線を戻して言葉を確認。


「ぶら下がり坊やってなぁに?」

「クリス……はまだ知らなくていいわ。ほら、学校が始まるから中に入りなさい」

「はーい。じゃあ、キーファ行ってくるねー」

「ん、ああ。気をつけてな」

「はーい」


 クリスは学校の中へ入っていくと、大人三人がなんでこんなところにいるのだろうという空気にはなるのですが、その中でもシスターはやはりシスター。ここに居ても何もおかしくないのですが、残りの二人はやはり場違いで。


「ふんっ、価値無しが何しに来たのかと思えば子供だと?」

「あー、まあそう言うわけじゃないんだが……」

「くそっ、アレだけ好き放題してさらにもう子供まで……色々と早すぎるだろうが」

「いや、俺の子供じゃないんだが……」


 こっちの言う言葉など聞く耳を持つつもりはないみたいで、


「みんなに知らせないといけないな。じゃあな、価値無し」


 勝手にそんな事を言って、さっさとこの場を離れる男。

 そしてポツンと残るのは自分とシスター。


「ぶら下がり坊やは相変わらずね」

「相変わらず……ですか?」

「今も色々な下働きをしていて、今回も誰かに使われたのでしょう?」

「……相変わらずですね」


 そう言いながらもお互いに名前が出てこないぐらいの人間で。


「懐かしいわね。価値無しなんて」

「ですねぇ。まあ、実際勝ってないですからねぇ」


 学生だった頃のあだ名を今の年齢で聞く事になるとは思っていなかったので何か思う事はあるのかと言われるとどちらかというと懐かしさの方が強く感じて、侮蔑として相手は言っていたみたいなのですが、その空気はこちらにはなくて。


「あの子には説明していいのかしら?」

「別に構いませんが、わざわざ伝える事ですかね?」

「聞きたいと言われたら教えてもいいのかしらという程度よ。まあ、わかっていない(・・・・・・・)人達に言う事はないけど、今更よねぇ」


 実際学生生活を送っていた時に公式な試合は一切出ることはなく、試験すら戦うものは出なかったので、学生の頃のあだ名は「価値無し」で、試合にも出ないことから「勝ち無し」なわけで。

 誰が上手い事を言えと言う感じでしたが、思っていたよりも広まっていたみたい。

 そもそも自分から行事に出たくないと言ったところでそれが許される学校なわけでもなく。ちゃんとした理由があって、それは自分のスキルにかかわる事で簡単に公表できる訳もなく。


「まあ、アナタが子供と一緒に登校したという事だけがまた独り歩きして面倒な事になりそうですから、ある程度はこちらでも目を掛けますが、そちらでもしっかりと保護をお願いしますよ?」

「……はい」


 思わずため息とともに返事をすることに。


「では、クリスは預かりましたので、また週末に」

「え!?毎週来るんですか?」

「そういう風に聞いていますが?」

「……まじですか」

「そのぐらいいいでしょう?それと、ワケアリとはいえ子供なのですから少しは優しく扱ってあげなさい?」


 もう一度先程と同じように返事をしたら、片手を上げてさっさとここから離れることに。

 まだ寝起きに違いは無いのでぼーっとしたまま家路につくのですが、学校からの帰り道というのは何とも懐かしいもので。

 行きの歩いている時も思ったのですが、帰り道も同じでやはり懐かしさを覚えていて。

 行きよりも目が開いているのもあって、あれこれと入ってくる情報は自分が子供の頃とは少しだけ違って。

 自分の心の中で「あっちの家が変わったな、こっちの家は懐かしい人がそこにいるままだけど微妙に古さを醸し出している」等、たった数年いや十数年程度で色々と変わっていることを思い出させます。


「歳取ったという程じゃないけど、思っていた以上に時間は経っていたんだなぁ」


 ちょっとだけ学生時代を思い出してみると、トラブル、トラブル、そしてトラブル。

 自分の人生がトラブルまみれだった記憶で少しだけがっくりとなりますが、そんな学生生活の上で今の自分がある事を思い出してみると、そこまで悪い気持でもなく。


「あの時頑張った結果がこれなら……まあ、悪くはないか」


 そんな気持ちで家へ帰るのですが、まだ今は週の初めの朝。

 いつぶりかなぁと思う位に珍しくやる気の起きる週初めに。

 家に帰ってお店を開くとしましょう。







言い訳をしてもいいでしょうか?


本当は過去の回想を入れようとしていたのですが、何度やってもいい絵にならず。

いい絵がないという事はつまるところバッサリとカット。

こんなことになってしまいました。


まあ、必要な過去の話でもあるのでそのうち出てくる気はするのですが、今じゃなかったみたいです。

という事で、前書きの通りみじかくなっております。

申し訳ありません

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