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婚約破棄をされたが、私は聖女で悪役令嬢ではない。

作者: 空のかけら

「メイプルを虐めたことは知っている。悪役令嬢たるお前との婚約は、破棄だ」


生徒総会の冒頭に、いきなり壇上に上がって声を張り上げたのは、生徒会長選挙で大惨敗した「自称王子」だ。


「自称王子」は、壇上から指を指したが、誰?という事を言っていないため、体育館の中は困惑した雰囲気になる。


「お前だ。お前。聖女に決まっている」


そこで、やっと私のことだと気がついた。


私は、生徒会長選挙で当選したのだが、今いる場所は「自称王子」の後ろ。


きっと気がつかなかったのか、カッコイイところを見せたかったのだろう。


しかし、いつ婚約したのだろう。


記憶を探っても、そんな記憶はないのだけれど。


しかも、悪役令嬢だって。


ライトノベルの読み過ぎなんじゃ無い?


黙っていると面白いから、しばらくみていましょう。


「ナターシャ、どこにいる。隠れても見つけ出してや…る……ぞ???」


確かに全校生徒の一部が集まっている。


普通の高校と違って、この学校は特殊すぎて、1学年で約300人。


中高一貫校で、6学年と自主的残留生を合わせると2000人を超える。


まぁ、ここにいない人もいるので、探してもいない場合もあるのだが。


でも、「自称王子」は探すつもりでいる。


いつになったら気がつくのだろう。


ずっと気がつかないと面白いのだが。


「ほう、出てこないとは反省もしていないと見える」


体育館に明らかに体育系の先生が集まりつつある。


実力行使というか実力排除というか、さっきまでいなかった理事長もいるわね。


そりゃそうだ、生徒総会の本来から外れているからそれを正すためが目的でしょう。


「見つけたぞ。お前だな」


指し示した先は、たぶん中等部の1年生。


突然自分だと言われた、意味も分からない事で指摘されて困惑すると同時に周囲からとばっちりは嫌だと人が離れてしまい、泣きそうは雰囲気。


ああもう、「自称王子」は何しているの。


ま、私も傍観者になっていたのにも罪はあるか。


さてと、「自称王子」には、答え合わせをしてもらいましょう。


「ちょっとそこの得票数1票の「自称王子」あなたの探しているのは、私のこと?」


「得票数は1票ではない、清く正しい1票だ。それよりも、メイプルを虐めただろうことは調べた。クロだ、有罪だ、罰を受けるべきだ。悪役令嬢め」


「何の冗談?そもそも悪役令嬢って何よ。ラノベの読み過ぎでしょ」


「バカ言うな、あの聖書に間違いは無い!悪役令嬢たるお前との婚約は破棄するのが正しいと書いてある」


あ~完全に汚染されていますね。


ラノベを聖書ということ自体がかなり逝ってしまっているのだけど。


「はぁ、メイプルさんは、どちらのメイプルさん?それに、「得票数1票の清く正しい自称王子」さん。あなたと婚約をした覚えがないのだけど」


「はぁ?虐めた相手は悪役令嬢と決まっている。だからお前は、悪役令嬢。悪役令嬢は我の婚約者で婚約破棄が出来る」


ちょっと待って、何だかおかしなことになってない?


「悪役令嬢で聖女なのも当然だ」


待って、待って、おかしいって分からないのかなこの「自称王子」は。


「当然じゃないわよ。生徒総会で認められた生徒会長が女性の時は、聖女。男性の時は聖人という役職名を知らない訳じゃないわよね」


生徒会長が、清廉潔白+生徒の中の最高権力者?と考えた何代か前の生徒会長が決めました。


ちなみに、去年と今年の2期目の私は、慣れました、慣れてしまいました。


“聖女”という恥ずかしいあだ名は。


だいたい聖女って何ですか!一言ね、文句を言いたい!


まるで私がし…み…たいですよ。


まあいいです。


ごほん。


で、本題に戻りましょうか。


「それで、1票のあなたがその他の全部の私の婚約者だと言うの」


「当たり前だ」


「そんなわけ無いでしょ。いつの時代よ。そんな婚約者なんていう時代錯誤なものは」


一応言っておくと、ここは中世ヨーロッパに魔法を掛け合わせた世界では無い。


歴とした現代世界に神秘という名の魔法が使える世界。


神秘を使えるのは、一部の女性に限られているが、ほんの少しの神秘で何ができる。


せいぜい、鉛筆を転がすとか捜し物の発見しやすいとか、役に立っているのかどうなのか微妙な内容。


私もできますよ。


ただし、気配遮断というもの。


これまた意味が分からない。


距離が近ければ効果なし。


普通、逆じゃない?


それはともかく、


「何を言っているかわからなんな」

「私もあなたが何を言っているか理解不能です」


「お前は悪役令嬢で婚約者。俺はその悪役令嬢からメイプルを救う正義者。悪役令嬢は断罪されて処刑されるべきだ」


「処刑~?」


「絞首刑がいいか?斬首刑がいいか?火あぶりなんていうのもあるな」


繰り返すけれど、ここは現代世界で中世ヨーロッパのように処刑なんてない。


「ばっかみたい」


体育館がざわざわして来ました。


いよいよ強制排除のお時間です。


「なんだと~メイプルを虐めたのは確かだ。婚約破棄だ!」


「それで、メイプルさんは”どこの”メイプルさんなの。私もメイプルなんだけれど」


「あ?」


周囲を見渡す「自称王子」。


「いない。さっきまで後ろにいたのに」


…それって、私のこと?間抜けにも程がある。


「愛しいメイプル。悪役令嬢と破棄したぞ。出ておいで、もう君を害するものはいない」


しかし、体育館の在校生は誰も名乗りを上げない。


そりゃそうだ。


得票数1票の1票は自分で入れたと思われるもの。

メイプルさんも実在しているかどうか。


聖書に酔っている「自称王子」だから。


「さて、「自称王子」生徒総会の私的使用につき拘束する」


先生も「自称王子」とか使っているし。


「離せ~拘束されるのはあっちだ~離せ~………」


先生達に連行されて体育館を出て行く。


わめき声も遠くなっていく。


「さて、「自称王子」による混乱もありましたが、生徒総会を開催します」


全く、悪役令嬢=婚約者なわけないでしょ。


私は聖女。


神秘の力を持つ生徒会長なのよ。


*

当初の設計が狂った結果の小説です。

(当初の計画→恋愛要素あり、悪役令嬢あり、聖女もいた。いわゆる悪役令嬢もの)

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