さがしものはなぁに?
「こまったこまったこまったぞ」
雪がしんしんとふる、よるのまち……
彼はとてもこまっていた、とてもとてもこまっていた。
「いったいどこに? あれがないと、とてもこまる!」
気がつくと、それはなくなっていた……いったいどこに?
足もとには……おちていない……。
まわりを見ても……見あたらない……。
「だれかー!」
むしされた……。
「ちょっとそこのひとー!」
みむきもされない……。
「しかたがない、へい! そこのわんちゃん!」
ちょろろろ……
「やめれ! 私はでんちゅうじゃない!」
マーキングされた……。
………
……
…
なけどもさけべども、だれもきにしてくれない!
「はぁ、こまったなぁ……」
あきらめるしかないのか……そうおもったときだった。
「さがしものはこれ?」
サク!
ちいさな女の子が、めいっぱいせのびして、私の顔にそれをさしこんだ。
「むぉ? これだ、これこれ! これをさがしていたんだ!」
「よかったぁ、むこうにおちてたよ? いつもとちがうからすぐに気づいちゃった!」
女の子はにっこりと笑ってさっていった。
「ありがとう、ありがとう、おかげでたすかったよ」
彼はなんどもお礼をいった……。
鼻をなくした雪だるま……ぶじに鼻がもどったようだ。
彼は、きょうもまちのなかでたたずんでいた。
さがしものはみつかって、よるのまちはふけていく。
おわり
ニョロっと思いついた話をサクッとあげてみました。
ちゃんと童話になっているでしょうか?