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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
肆頁:相互成長の刻

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99.魔法士の油断


 回復士レシスが大袈裟なのは今に始まったことじゃない。勇者ラフナンのメンバーにいた時だけは大人しそうな子だったが、俺と行動を共にするようになってからはおかしな女の子として認識している。


「エンジさま、リウたちもシェラの所に行くのにぁ?」

「あぁ、そうだね。どうせ大したことじゃないと思うんだけど、行こうか」

「あい!」

「レッテももちろん行くでーす!」

「うん、みんなで行こう」


 先に様子を見に行ったルールイが戻って来ないところを見れば、またくだらないことで言い争いをしているのが目に浮かぶ。


 ◇◇


「あなた、そこで何をしていらっしゃるの? アルジさまが心配していらしたのよ?」

「あーうー……ルールイさぁん~たーすーけーてー」

「何か変な女だと思っていましたけれど、あなたいつから壁になることが?」

「違~い~ま~す~……壁に吸い寄せられて~抜け出せないんですぅぅ……」

「ハァッ……仕方ありませんわね。握りたくも無いですけれど、あなたの手を思いきり引っ張って差し上げますわ!」

「すみませぇぇん……」

「――えっ!? な、何ですの……こ、このっ!! わたくしまで引き寄せ……ア、アルジさまっ!!」


 レシスに手を差し伸べたルールイ。だが、ルールイもまた何かの力によって壁に引き寄せられようとしている。


 ◇


「にぁっ!? エンジさま、ルールイの声が聞こえたにぁ!」

「え? ルールイの?」

「レッテも聞こえましたです! 急ぐ方がいいかもです!!」

「そうしよう!」

 

 レシスの声が聞こえて来た辺りに着くと、明らかにおかしい状況が作り出されていた。


 声を張り上げたレシスはもちろんのこと、恐らく彼女を助けようとしたルールイまでもが、壁の中に閉じ込められようとしている。


「にぁにぁ!? ヤバそうにぁ……エンジさま、リウが助けるにぁ!」

「待った!! リウもレッテも動かないで!」

「にぅ?」

「むむっ?」

「――って、壁に触っちゃったのか!? だ、大丈夫?」

「何ともないにぁ」

「レッテもでーす」


 見た感じは何の変哲の無い壁にも見えるが、隠し部屋を見つけたレシスの例もある。

 恐らく何らかの仕掛けが施されているはず。


「あーうー……エンジさぁん~ごめんなさぁい~グズッ」

「アルジさま、申し訳ございません。小娘を助けるつもりが、わたくしまでこんな……し、しかし……」

「痛みは無いんだね?」

「無いですぅぅ~」

「ありませんが、でも……力が全く入る気がしないのです……」

「分かったよ。俺が調べてみるから、大人しくして」


 どういうことかは不明だが、レシスもルールイも魔力を持つ者だ。それに引き換え、リウとレッテにはそれが無いせいか壁から何かをされることは無かったように思える。


 魔法と物理耐性の魔法をかけていたのに、二人は壁に閉じ込められてしまった。

 しかもレシスの絶対防御も発動しなかったようだ。


 そうすると考えられるのは、これが何かの罠か攻撃によるものだと思われるのだが。


「……触れてみるか」


『ひゃっ!?』

『な、何ですのっ!?』


 壁に手を触れてみると、レシスとルールイの二人からまるで俺から直に触れられたかのような反応を見せた。


「も、もう~エンジさんってば、我慢の限界が来ちゃったんですか~? 駄目ですよ、駄目なんですよ~」

「ア、アルジさまったら、そこまで成長されて……それだけに悔しいことですわ」

「ち、違うって!」


 二人のすぐ近くの壁に触れただけなのに、何故かレシスたちに触れてしまったらしい。


「……ん? リウ、レッテ? ど、どうした?」

「エンジさまにはリウがいるのにぁ!! プンプンだにぁ!」

「レッテも頭に来るでーす!!」

「ええ? ま、参ったなぁ……」


 魔法反応なのは間違いないとして、これは一体どうすれば助けられるのだろうか。

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