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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
肆頁:相互成長の刻

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95.魔法士のお仕置き


「ほえほえほえ~……エンジさぁん~もう食べられたくありませぇん」

 

 レシスは未だにどこかの夢の中で俺を登場させて、変なことをさせているようだ。


 無理に起こすのも可哀想だし俺がレシスをぶん投げたのも事実なので、自然に起き上がるまで待つことにした。


「目が覚めたら教えてくれるかい?」

「はいにぁ!」


 眠った状態で仮にレシスに何らかの攻撃があったとしても、何の心配も無いがリウが気にしてくれていたので、リウに任せて魔獣の所に向かってみると――


「ウフフ……コウモリ族にも、研ぎ澄まされた技がございますのよ?」

「ガァゥゥォオオオ!! レッテがトドメを刺すでーす!」


 亀タイプの魔獣はルールイとレッテの容赦ない攻撃により、完全に動きを停止している。

 彼女たちはここにいるメンバーの中でも好戦的な種族なので、魔獣が息絶えるのを確かめた上で俺の元に寄って来た。


「ヌシさま、魔獣討伐したです!」

「アルジさま、お待たせいたしましたわ」

「二人とも、ご苦労さん。怪我は無かった?」

「レッテは全然問題ないでーす!」

「あぁっ! アルジさまぁっ!! はぁはぁはぁ……」

「ルールイ? まさか、どこか……」


 レッテの場合は狼という特性を生かして、素早い動きを見せながら的確に爪を当てることが出来るわけだが、ルールイはどちらかというと敵を掻き乱すタイプだ。


 それが影響してどこかにダメージを負ってしまった可能性がある。


「どこが痛い? 言ってくれればそこに――」

「ここですわ……さぁ!」

「そ、そこは胸……の、谷間なのでは……」

「そうですわ! ここがとっても苦しくて、昂って……今にもはちきれんばかりの!!」


 言ってから気付いたがルールイは他の何を差し置いても、自分の欲望を素直に表す女性。思い出してはいけないが、魔獣に吹き飛ばされて衝突した場所はルールイの谷間だった。


「む~! そういうことなら、レッテも胸が苦しいでーす!! ヌシさまっ、さぁどうぞ!」

「まぁ、図々しいですわね。こういうことは、先に言ったもの勝ちですのよ? 狼族が出しゃばるのは良くないことですわ! アルジさま! 遠慮なく!!」

「ヌシさま、レッテに飛び込んで来てくださーい!」


 また始まったのか。どうしてこうも自分を抑制することが出来ない子ばかりなんだ。

 ここは何とか誤魔化して……。


『フギァァァァ!!! 痛いにぁ~痛いにぁぁぁ!!』


 二人をどうにかしなければ、そう思っていたらリウの悲鳴が聞こえて来た。

 しかも何らかのダメージを負ったようだ。

 二人のおかしな競争は気にせずに、急いでリウの所に向かう。


「リ、リウ!! どうし――」

「エンジさまぁ……痛いにぁぁ。尻尾を離してくれないのにぁ」


 あぁ……全く、この子は。


「リウ、眠くなって横になっていただけなのにぁ。そしたら眠る寸前になって、突然噛まれてしまったにぅ」

「ほげ~エンジさぁん……噛んでも噛んでも、味が出て来ませんよ~」


 完全に熟睡しているのか、レシスはリウの尻尾に噛り付いたまま全く離そうとしない。

 このままではリウの尻尾がベタベタの状態になりそうだ。


「エンジさま~ふにぁ~」

「しょ、しょうがないな。こら、レシス!! お、起きるんだ!」

「えへへへ……だんな様のお仕置きをお待ちしていますよ~」


 駄目だ、無理やりにでも起こすどころかさらに深い眠りに突入しそうだ。こうなれば意外性のあることをして、無理やりにでも起きてもらうか。

  

 間近で見ると綺麗な寝顔を見せていて妙に緊張してしまうが、その口はリウをがっちりと噛んで離さない。壁に寄りかかりながら器用にリウの尻尾だけに狙いを定めているのは、何か隠しスキルでもあるんじゃないのか。


 声を張り上げても体を揺らしてもレシスは深い夢の中を行き来しているようなので、ここは思い切ってレシスの指をガブリと噛んでみた。


『ほっほへぇぇぇぇ!?!?』


 これには絶対防御といえども発動しなかったので、彼女は驚いてすぐに目を覚ました。


「ふにぁ……ようやくにぁ」

「リウ、大丈夫かい?」

「あい!」


 リウの方はいいとして、驚いたレシスは開いた口が塞がらないまま俺を睨んでいる。


「エ、エンジさん……い、一体わたしに何をしたんですか!!」

「お仕置きだよ、レシス」

「エンジさんがわたしにお仕置き……むっむむむむぅ!」


 されたことも無ければそんなことをされるはずがないお仕置きには、さすがのレシスも納得がいかずに怒りをこみ上げさせているようだ。

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