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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
肆頁:相互成長の刻

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94.魔法士、全体防御魔法をコピーする


「にぁっ!? レ、レシスが飛んで来る予感がするにぁ!」

「何を寝惚けたことを言ってる、ネコ……」


 見た目が亀の魔獣に対し魔法攻撃が通らず、それでいて物理も効かない相手に四苦八苦していた俺は、ルールイの助言を得て絶対防御を固定スキルに持つレシスを魔獣に向けて投げることを思いついた。


 属性魔法で弱点を突くことが難しい相手であれば、そんなことすら全て解除しそうな彼女に賭けるしか無い。


 普段から彼女たちの体に触れることをしていない俺だったが、この時ばかりはそうも言ってられず、恥ずかしがって誤解をしているレシスをなだめ、彼女を持ち上げながら持てる力の全てを腕に込めた。


 後で腕力を上げる魔法も覚えておかねばと思うくらい、いっぱいいっぱいだ。


「はわわわっ!? エンジさんの手が~手が~とうとうわたしも正妻に!!」


 変な期待と妄想を口にするレシスをよそに、標的に向けてレシスをぶん投げることに成功する。


『あ~れぇ~~!?!? エンジさんが遠くに見えますよ~~えぇぇぇぇ!?』


『レシス!! 君にかかっている! 素直に飛んで行ってくれ!!』


 魔獣に対し睨みを利かせていたはずのレッテだったが、どうやらまたリウと揉めているようだ。

 それも予感してルールイが向かってくれたかと思うとまた後でお礼をしなければ。


『ま、魔獣さんが目の前に見えますよぉぉぉぉぉぉ!! エンジさん、エンジさ~~~ん!?』


 多少位置がずれてしまったがその辺は向こうの彼女たちが気付くだろう。レシスを飛ばした俺もこのまま見ているだけではどうにもならないので、急いで魔獣の所に向かう。


「ほらほら、やっぱりレシスだにぁ!」

「むー! 一時休戦!! ヌシさまに任されたレッテが、魔獣を止める!」

「にぅ。リウはエンジさまの考えている通り、レシスを直さなきゃいけないにぁ」

「レッテは咆哮と同時に貫く! 邪魔するな、ネコ」


『あなたたち、アルジさまのことを大切に想うなら各々の役目を果たしてごらんなさい!』


 良かった、ルールイの言葉は二人に利いたみたいだ。


『ひいい、たーすーけーてー!』


 リウたちの手前で失速していくレシスは、手足をジタバタさせながら助けを必死に求めている。


『にぅ!』

『リ、リウちゃん!? 何をするの!?』

『こうするのにぁ!! ふんぬっ!』

『うひゃぁぁぁ!?』


 俺の投げる力が足りなかったのとあと一歩の距離にしか届かなかったレシスに対し、リウはすぐに察知して、飛んで来たレシスをさらに飛ばしてくれた。


 ほんの少しの滞空時間の微調整により、レシスの全身は魔獣に衝突した。


『ほへほへほえ~』


 ダメージこそ無いが、レシスは目を回しているようだ。

 レシスにばかり気を取られていたが、魔獣の方に目をやると沈黙している様に見える。

 そこからは素早かった。


 レッテの咆哮でさらに動きを封じられた魔獣は、手足を引っ込めて甲羅部分だけになろうとしている。その機を逃すまいとレッテは鋭い爪を現わして引っ込めさせまいと、手足部分に攻撃を始めた。


『ンギィィィ――!!!!』


 亀魔獣は喚き出していて、引っ込められずにいる手足に気を取られている。


『今ですわっ、アルジさま!』

『よしっ!』


 レシスの絶対防御によって魔獣を覆っていた見えない防御壁は破られた。そこから魔獣は自らを守ることに気を取られ、レッテの攻撃で身動きが取れなくなっている。


 その機会を待っていた俺は、無防備な魔獣に触れてイグザミンを使用。


 ガ・クオンガーディアン 強さ??? 範囲魔法防御SSS あらゆる属性を弾く

 自分を中心とした範囲魔法 トルタルをコピー 魔法士限定魔法 習得完了


 ようやくだ。

 久々に自分を含めた範囲系防御魔法をコピーすることが出来た。


「エンジさま、平気かにぁ?」

「あぁ、リウ。レシスの軌道修正をありがとう!」

「えへへにぁん」

「リウは攻撃をしないのかな?」

「レッテがうるさくなるだけなのにぁ」

「……ふむ」


 レッテとルールイは硬さを失った亀の動きを封じながら、刻み刻みにダメージを負わせ続けている。完全沈黙するのは時間の問題か。


「うきゅぅ……」


 レシスはまだ目を回しているのか、壁にもたれかかっている。

 これは俺の責任でもあるし、彼女が目覚めるまで傍にいてやらねば。

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