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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
肆頁:相互成長の刻

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93.魔獣とオオカミ、対なる熾烈 4


 この感触はかなり前に……いや、ここまで弾力のある柔らかさは今まで経験したことが無い。

 

 ルールイといえば元々は俺を主人として迎えようとしたコウモリ族の長。それが我慢出来なくなっているんじゃ……。


「ぶはっ……!」

「アルジさまなりの甘え方……わたくしは素直に受けましたわ!! それでも、もっと、もっと!! 強く強く! 顔をうずめて頂かないと、わたくしのこの昂ぶりを、どこへ向ければ!?」

「昂った……って」

「うっふふふ……昂ぶりの行方はまたの機会に……アルジさま。よろしければ、わたくしの考えを早急に差し上げますけれど、求められます?」

「ん? 魔獣に手こずっていることを?」

「本当なら、わたくしの谷間を目がけて吹っ飛んで来た……そう言って欲しかったのですけれど、亀に吹き飛ばされておいでになった……そうなのでしょう?」

「そ、そうだね。ルールイは何か手掛かりが掴めている?」


 いつもはくねくねと体を揺らすルールイだったが、すぐ傍で怒りを露わにしているレシスとは別に、案外冷静な判断で俺を見ていたようだ。


 しかも吹き飛ばされて来たことに対しても、何か対策を考えているように見える。


「エンジさんエンジさん! 次は私に吹っ飛んで来てくださいっ!!」

「何でだよ……」

「ルールイさんばかり、ずーるーいー!!」

「遊びじゃないんだが……」

「そんなのは分かってますよー!! エンジさんは、私にだけスパルタじゃないですか! 何でですかー?」

「今それどころじゃ……」

「愛のムチ!? そうならそうと! さぁ、私にも吹っ飛びを!」


 レシスの天然ぶりは魔所に来てからさらに倍増した気がする。


 天然によるものなのか、それとも実は見えないだけで敵からの悪影響を受けて変な性格に成長してしまっているのでは。


「アルジさま、小娘の言う通りにして差し上げては?」

「キミがそれを言っては駄目だろ……」

「いいえ、その小娘には一度とは言わず、何度でも体で教えてあげるべきですわ。わたくしたちには無いモノを小娘は持っているのですもの」

「んんん? ルールイたちには無い? それは俺も含んでかな?」

「そうですわ。アルジさまも一度は持っていたと思いますけれど、妖精に取り上げられたはずですわ。小娘を放り投げ、魔獣にぶつけてみれば自ずと見えて来るはず……」


 妖精に取り上げられた……持っていたモノというと、確かに今はレシスだけしか持っていない。

 俺が持っているのは魔法に関することだけ。


 あぁ、そうか。魔法でも無ければ、現時点では物理でも無い。それを解除出来るモノといえば、レシスが持つモノだけ。


「うふふ……お分かりかしら? その小娘の使い道、使いどころは、それなりにあるということですわ」

「そ、それじゃあ、あの魔獣の弱点は――」

「お望み通り、小娘をお投げくださいませ。すぐにその効果は表れますわ!」

「そうするよ」


 亀の魔獣には一切の魔法が効かないし、物理的な攻撃もまるで通らない。


 攻撃型のレッテとペアになった段階でまず俺の魔法で弱点を突き、そこからレッテによる攻撃をしてもらおうと試みていたが、魔法では弱点を突くことは不可能だった。


 だからこそ魔法攻撃による蓄積で、魔獣からの吹き飛ばしを受けてしまったわけだが。

 恐らく図体のデカい魔獣の周りには目に見えない防御壁のようなものが、絶えず展開されているはず。


 そうだとすればルールイの谷間に吹き飛ばされて来たことは、攻撃の糸口を掴めたことになる。


「エンジさーん! 私を無視し続けないでくださいよー!」

「レシス。君が必要だ! いや、君にしか出来ない。だから俺の傍に寄って来て欲しい」

「はわわわっ!? と、とうとう大人にしてくれるんですね!? 喜んで近寄ります! いやっ、ピッタリと寄り添っちゃいますよ~」

「そう、そうだ。俺に抱きついて来るんだ……」

「ほぉぉぉぉぉ!! ルールイさんに体当たりでは、物足りなかった……そういうことなのですね!」

「……さて、レシス。君を抱っこするよ。だから、少し辛抱して欲しい」

「とうとう――!」


 よし、レシスを抱きかかえて後は投げる姿勢に変えれば。


「アルジさま、わたくしは瞬間後の魔獣に波を仕掛けておきますわね! それでは向こうでお待ちしておりますわ」

「よろしく頼むよ」


 レッテは魔獣の近くにいて、攻撃が通るようになるのをジッと待っている。俺に出来ることはレシスを魔獣にぶつけ、コピーをする隙を得ること。


「エ、エンジさぁん……だ、大胆ですよっ!? ど、どこに触れまくっているのでしょう? いやぁ、でもでも、夫婦となった以上は私も覚悟を~ほへっ?」

「レシス……君のお尻に触れていること、後で沢山謝る。だから、もう少し我慢して耐えて欲しい」

「く、くすぐったい感じですけど、私は全然、何も……あれれれれ? な、何だか目線が高い気がしますけど、私をあやそうとしているんですか!?」

「……君のスキルが必要だ。だから――」


 身が軽いレシスで助かったが、魔獣までの距離を考えればかなり飛ばす必要がある。


『エ、エンジさん……何をを?』

『位置よし、高さよし……レシス。吹っ飛べー!!』

『ほえええええええええええ!?』

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