88.魔所への審判者
リウがまさかの成長、それも少女から少し大人びた姿になるなんて。いつも文句を言うレシスたちも急な変化に戸惑い続けているのか、口出しをしてこない。
「にぁ~」
「うん? どうかした?」
「エンジさまに近づけている気がするにぁ!」
「近付いて?」
「むふふふ……リウに足りなかったのは、色気だったのにぁ。これまで以上にエンジさまのお傍を離れなくて済むにぅ!」
嬉しそうに尻尾をフリフリ、ゴロゴロと喉を鳴らし、ネコ耳を横に寝かせながら俺に甘えまくっている。
突然のことに戸惑いながらも前に進みまくると、またしても堅そうな扉があった。
「コ、コホン! そろそろアルジさまから離れて下さるかしら?」
「そ、そうだぞー! ネコだけずるいー! ヌシさまは平等だぞー!」
あまりにリウがべったりしていることに悔しさが募ったのか、ルールイとレッテが声を張り上げる。
「にぁう!」
「んん? リウ、どうしたの?」
「扉の前に何かがいるにぅ!」
「何も見えないけど、リウには見えるのかい?」
「にぅ」
これもリウの特殊スキルによるものなのだろうか。俺やルールイたちは同時に首を傾げた。
レシスも首を傾げているが、不思議な彼女はリウと同様に何かを感じ取っているようにも見える。
「エンジさん、わたしにも見えますよ~! でもでも、人なのか何なのかは分からないですよ~?」
「え、そうなの?」
「目をこすればハッキリ見えるかもです! よぉし、よぉおし……!!」
何かは分かっていないようで、レシスはゴシゴシと何度も目をこすっている。相変わらず行動が読めないが、魔力感知の無いリウにだけ見えているのは一体どういうことなのか。
「エンジさま、リウが近付いてみるかにぁ?」
「危なくない?」
「攻撃性は感じられないにぅ。リウ、話して来るにぁ」
「それなら俺も一緒に行くよ。レシスとルールイ、レッテはそこで待っててくれないか?」
「えええ~? わたしも微かに見えるかもなんですよ~?」
「ヌシさま、大丈夫ですー?」
「アルジさま、お気をつけてくださいませ」
「危険が無いとはいえ、現状はリウ頼みだからね。俺が付いて行くから、待ってて欲しい」
リウとスキル、ステータスの共有を果たしているのは俺だけだ。
他の彼女たちとは明らかに異なるだろうし、まずはリウのスキルに寄り添いながら見えない何かに接触して見るしか無い。




