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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
肆頁:相互成長の刻

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87.成長と躍動のネコ娘


 純粋すぎるレシスと行動を共にしていたその頃、別の通路を進んでいたリウたちに異変が起きていた。


「リウさん、そちらに矢が飛んで行きますわ! こちらはわたくしとレッテさんがやりますので、あなた一人で対処願いますわ!」

「にぅ! お任せされたのにぁ!! にぁう!」


 俺とレシスが歩いていた通路は魔法による見えない攻撃を受けていた。

 と言っても、ほとんどはレシスが撥ね返していたが。


 どうやらリウたちが進んでいる通路は、物理攻撃や遠隔攻撃がメインになっているようで、彼女たちそれぞれで仕掛けられた攻撃に対していたようだ。


「グオォォーー!!」

 

 レッテの"咆哮"によって、通路上に姿を見せる魔物が次々と恐怖に怯え散っていく。


 ガ・クオン寺院には魔力を持つ姿無きモノと物理攻撃による敵が二分しているらしく、レッテたちに向かって来ているのは、直接攻撃で侵入者を排除する魔物のようだ。


「なっ!? 何ですのっ!?」

「レッテは咆哮が使えるのでーす! コレなら雑魚な敵が、いちいち向かって来ることも無いのでーす!」

「……あなた、狼でしたかしら?」

「そういうルールイはコウモリ?」

「そうですけれど、それが何かありますの?」

「じゃあじゃあ、レッテを抱えて飛んでくれれば一網打尽が出来るでーす!」

「い、嫌ですわ。わたくしが抱きかかえて空を飛ばすのは、アルジさまだけですわ」

「ケチケチっ!」


 ――などと、レシスから解放されたルールイとレッテは仲良く敵を倒し続けている。一方、リウは俺と同様のサーチスキルを使い、遠隔攻撃を仕掛けて来る魔物を次々となぎ倒し続けている。


「にぁんにぁんにぁん!! 沢山いたって、リウは負けないにぁ~!」


 魔力こそ無いがリウの強さは一番信用していて、彼女の成長力には目を見張るものがある。だからこそ、レッテとルールイもリウ一人だけに敵の一部を任せていた。


 そんなリウにまさか異変が起きていたなんて、彼女たちに再会するその時まで気付くことが無かった。


「ふぅぅ~……あらかた片付きましたかしら?」

「ほとんどレッテが倒しただけで、ルールイは飛んでいただけー!」

「な、何てことを言うのかしらね。それより、ネコ娘はきちんと魔物を倒していたかしらね」

「ネコはヌシさまから溺愛されてて気に入らないけど、実力は確か。レッテよりも……」

「ふ、ふーん? 狼であるあなたがそこまでネコをお認めになるなんて、余程の強さということなのかしらね」


 レッテはもちろんのこと、ルールイもリウのことを何だかんだで認めているようだ。


「そろそろ合流地点かしらね? わたくし、先に飛んで行きますわ」

「はいでーす!」


 機動力のあるルールイは、翼を広げてリウの待つポイントに飛び進む。


「あ、あら? お、おかしいわ」

「あれれ? 何で戻って来たのです~? 追いついてしまったですよー」

「ネコ娘ではなく、な、何と言えばいいのかしら……」

「リウじゃなかったですー?」

「何ですにぁ? リウはリウですにぁ」

「ひっいいいい!? リウ!? ええええ?」

「そ、そうなりますわよね……アルジさまはどんな反応を見せるのかしら」


 ◇◇


 レシスのおかげで、何もせずに二つの異なる魔法をコピー出来てしまった。こっちの通路はそれなりに危険な敵が潜んでいたにもかかわらずだったが、リウたちの方はどうだったのだろうか。


「そろそろ二つの通路が合流しちゃいますよー!」

「そっか。じゃあ、そこに彼女たちが待っているのかもね」

「よぉし! どんどんと突き進んじゃいますよー!!」

「こ、こらこら、キミはそうやって進んで行かない! ――って、急に立ち止まってどうした?」

「あ、あわわわわわ!? リ、リウちゃん……え、ええええ!?」


 リウが一体どうしたというのか。まさか彼女に限って重傷でも負って倒れているとかだとしたら、そんなことになったら俺は……。


「エンジさま? どうしましたのかにぁ?」

「リウに何かあったら……」

「リウはとっても元気ですにぁん! 元気を出して?」

「うん……うん!?」


 口調は確かにリウだ。でも声はいつものリウを少し大人びさせたような感じに聞こえる。

 俺を心配して覗き込んで来る女性はどう見ても……。


「リウ!? え、本当に? そ、その姿は……何故、どうして――」

 

 俺の記憶では二手に分かれるその時までは、小さな少女姿だったと記憶している。


「にぁ? リウも分からないのですが~成長してたですにぁ! きっとエンジさまと共有しているからなんじゃないですかにぁ?」

「――え、あ! そ、そうか!」


 一人前の魔法士にランクアップしたことで、リウ自身にも成長の効果が現れた、ということか。いや、それにしたってまさか身体が成長するなんて。


 そんな部分にまで共有が及ぶなんていいのか悪いのか。


「エンジさま、エンジさま!」

「な、何かな?」

「リウ、褒めて欲しいにぁん」

「え、えーと……何だか照れちゃうな」

「ふにぁ?」


 いつもならリウの耳に触れると他の子たちから怒られてしまうのだが、リウの成長ぶりに驚くばかりで、何も言わずにただただ驚く彼女たちの姿がそこにあった。


 少し大人な女性に成長したリウの力はどれくらいのモノになったのか、何だか期待せずにはいられない。


「エンジさまにぁぅ~」


 むぅ、可愛い。

 大人に近付いたリウだけど、やはり彼女と共に俺も成長して行かねば。

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