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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
参頁:駆け出し魔法士の目覚め

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81.駆け出し魔法士、仕方なく賢者を連れて行く


 魔封門の逆側の封じを解除すると、機巧ドールのピエサは何故か俺をまじまじと見つめている。


「じー……」

「え、何?」

「エンジの顔をよく見せて欲シい」

「顔を? い、いいけど……」


 彼女と言っていいのか分からないが、銀色の長い髪に加え灰色の瞳、それに瞳の色に合わせた灰色の服を着ているピエサ。どう見ても彼女は人間の女の子にしか見えない。


 素材不明のリボンまでしているし、何故かヒラヒラの服まで着ている。

 

「……何を見てル?」

「いや、ドールは服を着る必要は無いんじゃないかなぁと……」

「えっち?」

「ど、どこからそんな言葉を!? 俺は素朴な疑問を浮かべただけだからね?」


 言葉の学習も見事なものだ。

 おそらくザーリンから教わったものと思われるけど。


「ヘンタイ?」

「それは俺じゃなくて、そこにいる……」


「アースキン!!」


 そこだけ通じ合うのか。

 もしやフェルゼンの中で賢者はそういう認識?

 人間と同列に考えてはいけないが、ピエサはどのくらいの強さなのか気になる。


「エンジ、ヘンタイも魔所に連れて行く?」

「ここで待っててもらおうかなと」

「アナタの魔法の力を高めるタメに来てもらう方がいい。ダメ?」


 上目遣いとか、本当にどこで覚えてきたのか。


「うっ……いや、駄目じゃないけど。アースキンにそんな隠れスキルが?」

「そう。ネコにも隠れスキルある。気付いていル?」

「何となくは」

「そういうコトだから」


 こういう反応もザーリンぽいな。


「でも、彼はそんなに強い魔法は撃てないよね?」

「ウン、弱い」

「は、はは……」


 ハッキリ言うのもどうなんだと思ってしまうが、とにかく一緒に行ってみるしかなさそう。


「魔所……そこではネコも成長スル」

「え? リウも?」

「エンジの成長は、共有されル」

「あ、そうか。だから君も……?」

「見れば分かル」


 リウはずっと一緒にいるが、彼女にはまだまだ未知数な力があるし成長途中だと見ている。

 しかしアースキンにもコピー以外で隠されたスキルがあるというのは、素直に信じ難い。


「……む? 俺の顔に何かついているのか? 何とか魔所とやらに行くのではないのか?」

「アースキンにも来て欲しいんだけど、いいかな?」

「おぉ! そうか……! 言われると思ってソワソワしていたぞ!」

「と、とにかくよろしく頼むよ」

「うむ!」


 考えてみればレシス以外に人を加えたことが無かった。それがまさかドールの願いで実現することになるとは、正直言って思ってもみなかった。

 

 俺のコピーは主に魔法と目に見えるステータスを転写することが可能だ。だが成長要素と隠れスキルに関しては強制力が無いせいか、全てを見ることが出来ない。


 それだけに賢者固有の隠れスキルについてもピエサから聞かされなければ、全く知ることも無かった。属性石を装備しまくっているアースキンにも何かしらの力が備わっているのだろうか。


「――というわけなんだ。アースキンがいることで、俺も安定した魔法を放てる……ってことだから、みんなもよろしく頼むよ!」

「今さらなことではあるが、賢者として役に立って見せようぞ! みな、よろしく頼む!」


 女の子だけで動いていたところに、人間で賢者の男が加わるとなるとどうなるのだろうか。

 

「リウは問題なしにぁ!」

「むっふっふ! わたしは一筋ですから! エンジさんの企みには負けませんよぉ?」

「……あーうん……」


 心配をよそにレシスとリウはあっさりと受け入れ、アースキンに色々話しかけている。レシスは俺に対して何かの勝負を始めているようだ。

 

 しかし予想通り、レッテとルールイはあからさまに距離を取り始めた。

 アースキンが加わったことで果たしてどうなるものやら。


 魔封門を抜け、しばらくは穏やかな風が吹く草原が続いた。


 本来なら門の所にアースキンを待機させるつもりだった。魔法攻撃が出来るという意味では負担が減りそうなので、先の展開に期待するしかなさそうだ。


「フフフ……アルジさま」

「何かな? ルールイ」

「これから二人でどこかに逃避行しませんこと?」

「ここから先は進むしかなさそうだし、逃げる場所なんて無いと思うよ」

「はぁ……。アルジさまも大概残念な思考をお持ちですのね。そういうことではありませんの」

「そ、そうなの?」


 ルールイは一体何を言いたかったのだろうか。


「はぁぁぁ。とにかくわたくしは変態賢者などではなく、アルジさまをお守り致しますわ!」

「うん、でも魔法に関しては俺に任せて!」

「はふぅん……い、一生懸命に尽くさせて頂きますわ」


 別の意味で危険な彼女に思えてならない。しかし味方になってからのルールイはブレがなく、心強い仲間だ。ルールイが言っている意味はもちろん知っているし、レシスのような思考ではないと自覚している。


「ヌシさま、ヌシさま! レッテも可愛がってくださーい!!」

「……うっ?」


 ラーウス魔所に着く前に彼女たちを甘やかすのも俺の仕事……か。

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