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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
参頁:駆け出し魔法士の目覚め

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79.駆け出し魔法士、悩みまくる


 ゲートに手を触れると同時に、何故か電気が走ったような感じになった。

 一体これはどういうことなのか。

 力を入れたわけでもなく魔法も使用していないのに。


 何かの仕掛けがありそうではあるが、とりあえず誰かに相談してみる。


「エンジさま、どうかしたのかにぁ?」

「えーとね、この扉を……」

「開ければいいのにぁ? にぁっ! ふんぬー!!」


 痺れてしまう可能性もあって思わず身構えていた。だがリウの力込めで、扉は何事も無くあっさりと開く。しかもゲートの向こう側に見える草原らしき場所に、あっさり移動している。


「エンジさまー! 簡単に開いたにぁ!」


 ブンブンと勢いよく手を振るリウ。

 彼女を見る限り特に異常は見られない。


「ヌシさま、レッテも行きますです!」

「あ、うん。気を付けて」


 リウに続き、レッテもあっさりとゲートの向こう側に移動出来た。


「大丈夫でーす!」と嬉しそうな声で、レッテは手を振っている。

 リウとレッテはネコと狼……つまり獣だ。


 彼女たちは魔法耐性が無く、どちらかというと物理耐性に長けている。

 そうなるとルールイはどうだろうか。


「はっ!? アルジさまがわたくしに期待の眼差しを向けていらっしゃる!! 獣では興奮出来ない……そうおっしゃるのですわね?」

「え、そんなことは一言も……」

「いいでしょう、わたくしはアルジさまの求めるフェロモンを出して差しあげますわ!」

「フェ、フェロモン……」

「では颯爽とゲートを通り抜けて差し上げ――きゃぁっ!?」


 興奮状態のルールイは勢いよく翼を広げ、ゲートの向こう側へ勢いよく飛んで行く――はずが。


「ど、どうしたことかしら!? これは、アルジさまがわたくしを行かせまいとする見えない力?」

「落ち着いて」

「あれれ、ルールイさんも飛べないんです?」

「レシスは最初から飛べないと思うけどね……」

「えへへ……そうなんですよ~。飛べないけど、リウちゃんがいる所には行けると思うんですよ。だからお先に失礼しますよ~」


 飛べないけど行けるのか。


「あぁ、うん」

「ではではっ!」


 俺の予感が正しければ絶対防御を持つレシスであっても、目の前のゲートに近づくことすら出来ないはず。


 レシスは意気込み十分な笑顔を見せながら、ゲートに近づき手をかける。

 すると、


「……むむむむっ!?」

「ど、どうした?」

「エンジさん、このゲートに鍵はかかっていましたっけ?」

「いや……」

「おかしいです!」


 おかしいのはレシス……とは言えないが、やはり彼女でもゲートの向こう側に行くことが出来ないようだ。


「アルジさま、どういうことですの? 獣だけが向こう側に行けてわたくしたちだけがここで阻まれているだなんて……何の違いがあってこのような目に」

「うーん……」

「エンジさんもルールイさんも行けない……あっ!」


 レシスのひらめきは妄想に近い。

 それでも聞いてみるのも手か。


「……一応聞くけど、何か思い浮かんでいる?」

「あれですよっ! リウちゃんたちは獣族! そ・し・て! モフモフしているからじゃないでしょうか」

「アルジさま、この娘は何ですの?」

「いやーははは……」


 出会った当初はこんな子じゃなかったのに。

 何故レシスはこんなにも無邪気な純粋(おばか)さんになったのか。


 絶対防御を持つ彼女なら、どんなおかしな状況でもクリアしそうな期待感があった。

 そんなレシスでも無理だったとすれば、リウたちを呼び戻してフェルゼンに戻るべきか。


「リウ、レッテ! ひとまず戻っておいで」


「はいにぁ!」

「了解でーす!!」


 ゲートの向こう側はこちらに似た草原が一面に広がっている。

 彼女たちが特に危険な気配を感じていないところを見ると、周辺には敵の気配は無いと言っていいだろう。


「はぎぁっ!?」

「んがギギギ……ど、どういうことですかー!?」

「ど、どうしたの? リウ、レッテ」

「は、入れないにぁ……すぐ目の前にエンジさまが見えるのに~! 入れないのにぁぁ!!」

「ヌシさまがすぐそこにいるのに、戻れないですー! うぅぅ」

「どうなってるんだ……? まさか一方通行ってことなのか?」


 リウとレッテは、俺の指示に従ってゲートの向こう側に戻ってくる。しかしどういうわけか、こちら側に戻ることが出来ないらしい。


「むぅ……俺とレシス、ルールイが行けないのは何となく察しがつくが、一度通ったら戻れないというのは分からないな」

「アルジさま、これはラーウス魔所なる場所に行くための通行門なのでは?」

「そうだと思うんだけど、問題は俺たちが通れないということだし通れた後に戻れるかどうか……」

「エンジさんとルールイさん、それとわたしが阻まれている……ふむふむ。これはきっとアレですね!」


 また妄想かな。


「期待しないでおくけど、答えは何かな?」

「何てことを言うんですか! わたしはすぐに分かっちゃいましたよ? これは魔封門ではないですか?」


 魔封門というと、その名の通り魔法封じの門ということになるが。

 そうだとすれば合点がいく。


「レシスの言う通りかもしれないけど、何か思いついた?」

「えへへ……全く分からないんですよ~」

「うん……」

「アルジさまはいいとして、何なんですの何なんですの!? 腹立たしいですわ!」

「まぁまぁまぁ……」


 魔力を持つ俺たちが通れず、持たないリウたちは通れる。

 この場合は魔法攻撃を加えたとしても何が起こるか分からないし、どうするべきなのか。

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